WorldWideWeb
テンプレート:Infobox WorldWideWeb(ワールドワイドウェブ)は、世界初のウェブブラウザであり[1]、WYSIWYGのHTMLエディタである[2]。後に World Wide Web との混同を避けるため Nexus と改称している。それが書かれた当時、ウェブを閲覧する手段は WorldWideWeb しかなかった[1]。
ソースコードが1993年にパブリックドメインとしてリリースされている[3][4]。
歴史
1990年後半、CERNに勤務していたティム・バーナーズ=リーがNeXT製コンピュータ上で[4] WorldWideWeb を書き始めた。2カ月後の1990年12月25日、最初の全体のビルドが成功した[5]。その後もバーナーズ=リーや同僚が修正とビルドを繰り返し、インターネットのニュースグループで公表したのは1991年8月のことである[5]。その時点でプロジェクトには、Bernd Pollermann、ロバート・カイリュー、Jean-Francois Groff[6]、ラインモードブラウザを書いた Nicola Pellow といった人々が参加していた[5]。
NeXTのシステムから他のオペレーティングシステムへの完全な移植は難しかったため、チームは編集機能を省いた「パッシブ・ブラウザ」を開発した[2]。X Window System はチーム内の誰も使ったことがなかったため、移植できなかった[2]。
バーナーズ=リーとGroffは多くのWorldWideWebのコンポーネントをC言語で書き直し、libwww APIを作り上げた[7]。
他にも ViolaWWW のような初期のブラウザもあったが、1993年には NCSA Mosaic がそれら全てに取って代わった。最初の創造に関わった人々は別の仕事に取り掛かっていった。World Wide Web に関する開発についての標準やガイドラインの制定など(たとえば、HTMLや、様々な通信プロトコル)である。
1993年4月30日、CERN は WorldWideWeb のソースコードをパブリックドメインとして公開し、フリーソフトウェアとした。いくつかのバージョンは evolt.org's browser archive からダウンロード可能である。バーナーズ=リーは当初これをGPLライセンスでリリースしようと考えていたが、結局商用での利用を考慮してパブリックドメインとした[8][9]。
技術的情報
WorldWideWebは NEXTSTEPプラットフォーム上で開発されたため、プログラムはNEXTSTEPのコンポーネントを利用している。たとえば、WorldWideWebのレイアウトエンジンはNEXTSTEPのTextクラスを活用している[1]。
機能
WorldWideWebは基本的なスタイルシートを表示することができる[4]。NeXTシステムのサポートするいかなるファイルタイプ(PostScript[2][4]、動画[4]、音声[4])でもダウンロードしたりオープンしたりでき、ニュースグループを閲覧したり、スペルチェックしたりできる。最初、NEXTSTEPのTextクラスが画像オブジェクトをサポートするまでは、画像は別ウィンドウで表示されていた[4]。
このブラウザはWYSIWYGエディタとしても機能する[1][2]。複数のウィンドウでウェブページを表示しつつ、同時にそれらを編集したりリンクしたりできる。"Mark Selection" という機能でアンカーを生成し、"Link to Marked" という機能で選択したテキストを直近にマークしたアンカーとリンクすることができる。リモートからページを編集することはできなかった。HTTP PUT メソッドがまだ実装されていなかったためである[1]。ファイルはローカルなファイルシステム内で編集され、その後HTTPサーバによってウェブとして公開される。
WorldWideWebの操作パネルにはNextとPreviousというボタンがあり、これにより最後に見たページの次か後のリンクをたどることができる。Operaの Rewind と Fast Forward ボタンに近い。つまり、リンクの並んだページからあるページを選んで表示させたとき、Previousボタンを押すとリンクの並び順の前のリンクが指しているページが表示される[1]。これは当時は便利な機能だった。というのは、多くのページがそのような一覧でリンクされていたからである。しかし World Wide Web が成長するにつれ、そのような習慣はなくなり、後のWebブラウザからもそのようなボタンはなくなった。
WorldWideWebにはブックマークのような機能はないが、似たような機能なら備えていた。あるリンクをセーブしておきたい場合、それをユーザー自身のホームページにリンクしてセーブすることができる。ホームページを階層化してブックマークのフォルダーのようにすることもできる[2]。
WorldWideWebは、FTP[1]、HTTP(バーナーズ=リーが1989年に発明)[1]、NNTP[1]という複数のプロトコルを使っており、URLでローカルファイルも扱える。
名称
バーナーズ=リーは当初 The Mine of Information[10] や The Information Mesh[10] という名称を提案していたが、最終的に WorldWideWeb が選ばれている[1]。
脚注
参考文献
- Weaving the Web (ISBN 0-06-251587-X), Webの概念に関するバーナーズ=リーの著書
外部リンク
- Tim Berners-Lee: WorldWideWeb(英語)
- A Little History of the World Wide Web(英語)
- Berners-Lee's blog
- World Wide Web downloadable here
- ソースコード
- CERN, Where the Web Was "WWW" born