TOSS
テンプレート:未検証 テンプレート:Amboxテンプレート:DMC TOSS(トス:Teacher's Organization of Skill Sharing(教育技術法則化運動)の略)とは、向山洋一を代表とする、教師の教育技術についての方法(=指導法)を提唱する集団、及びその活動である。古くは「法則化」とも呼ばれていた。TOSSの組織や公開されている指導マニュアルについては、批判も存在する。(TOSSに対する評価と批判の項目参照)
目次
教育技術法則化運動
向山洋一は「よい教育技術があっても、個人の秘密にされたり、師範大学などがなく直接教師が教えられる場面がないため、教師の間にその技術が広まらない」という問題意識を持っていた。
このため、まず、著書『跳び箱は誰でも跳ばせられる』において、「教え方さえ的確ならばどの児童にも跳び箱を3分で跳ばせることができる」とする方法を著した。そのことにより、「なぜこんな簡単な技術が教師の世界の常識にならなかったのか?」という問題を提起した。 多くの教師によりその方法が実際に試され、運動が苦手で跳び箱が全く跳べなかった児童でも、この方法論によって短期間に跳び箱が跳べるようになった事例が多くあったことから、急速に広まった。
その後、向山は、さまざまな教科のさまざまなすぐれた教育技術・方法を全国から集め、検討し、修正し、みんなの財産にしていく運動に取り組んだ。この運動を「教育技術法則化運動」と言う。これに賛同した多くの教師によって都道府県ごとに研究会が組織され、全国に広がった。
なお「法則化」という言葉は多くの批判(非難)を生んだ。「子どもは千差万別なのに、教育技術・方法を法則化しようとはなんたることか」的な批判(非難)が多かった。もちろん向山はそんな「法則化」は考えていなかった。法則化運動の次の理念にあるとおりである。
- 教育技術はさまざまである。できるだけ多くの方法をとりあげる。(多様性の原理)
- 完成された教育技術は存在しない。常に検討・修正の対象とされる。(連続性の原理)
向山は「法則化」と名づけることで多くの人が注目すると考えたのである。注目されれば運動が広まり、全国の多くのすぐれた教育技術・方法が集まり、結果として多くの子ども達に価値ある教育がされるようになると考えたのである。もし「教育技術共有財産化運動」などと命名したらこの運動は失敗していただろうと向山は言う。「法則化」と名付けるからこそ、人が注目し話題になる。「何をバカな!」と思う人もいるだろうし、「何それ?」と興味をもつ人もいるだろうと。それこそが「運動を広める」ための向山の戦略だった。様々な本、雑誌が「法則化」を特集し、話題にし、「法則化」という名前が広まり、市民権を得ていったのである。
「教育技術の法則化運動」は2000年に解散し、TOSSとして生まれ変わることとして、インターネットランド(TOSSランド)(後述)の運営を追加した。また、都道府県の研究会は「サークル」として、全ての都道府県に置かれている。
TOSSの主な指導法
「子どもの事実と教師の実感」を評価基準にしていて、効果があるとされる指導法を集め、よりよくするための研究を行っている。
主に小学生を対象にした指導法が多く、具体的な授業の運営手法は、マニュアルとケーススタディによって提示され、正しい手順を踏めば誰でも同じ結果が得られるとされている。
向山型算数
向山洋一が提唱している算数の教育方法。次のような特徴がある。
- 教科書通りの授業を行う。
- 児童のノートは、丁寧に書かせる。筆算や式の間隔を空け、見やすいノートにする。
- 筆算には、ミニ定規を使わせる。
- 筆算には、面倒でも補助計算などを書かせ、ミスを少なくする工夫がされている。
- 教科書の問題がすべて書かれており、後からでも見直しやすい。
- できない子への手だてとして、赤鉛筆でうすく書きなぞらせる、赤鉛筆指導法がある。
- 「写すのも勉強のうち」として、できない子に写させる。
- 早く問題が解けた子は黒板に書く、といった時間調整の工夫がされている。
- 授業時間内に終わり、教科書の問題を宿題に回すことはほとんどしない。
これらの指導法については、「向山型算数教え方教室」誌(明治図書)に詳しい。
向山洋一による他の算数の教育方法に対する批判
- 百ます計算への批判
- 向山洋一は百ます計算には否定的で、百ます計算では、できない子ができるようにならない、かけ算の学習には有効であるが、それ以外の学習に不向きである、としている。
- また、教室に7%程度いると推定されている軽度知的障害児は混乱してしまう練習方法である、としている。
- 算数の問題解決学習への批判
- 向山洋一は産経新聞の連載(2005/11)において、問題解決学習(現在の算数指導法の主流)を批判している。その主たる論点は、下記のとおりである。
- 問題解決学習では、授業時間中に教科書の問題をすべて解く時間が確保できない。
- 全員に基礎学力を保証することができない。
- 発達障害のある子どもが問題解決学習ではスポイルされてしまいがちである。
向山型国語
向山洋一が提唱している、国語の教育方法。漢字指導に特徴がある。
漢字指導では、あかねこ漢字スキルを推薦している。向山洋一の漢字指導実践の中から生まれた教材である。 子どもへの指導は、教材も重要である。 かつては、漢字ドリルと呼ばれる教材しかなかった。 漢字ドリルと漢字スキルでは、設計思想が異なっている。 漢字スキルは、1日目から5日目までが1サイクルの指導法となっている。
- 1日目 新出漢字半分 指書き→なぞり書き→写し書き
- 2日目 残り半分
- 3日目 10問テスト練習 読み→問題文なぞり書き→写し書き→テスト練習
- 4日目 10問テスト テスト→子ども同志交換して答え合わせ→教師チェック→点数報告
- 5日目 再テスト 間違えた問題だけ
このような、ユースウェアが確立している。
向山・小森型理科
従来「向山型理科」と呼んでいたもの。中学でのすぐれた実践が多い小森栄治も「向山型」の授業を追求してきたものであることから、向山洋一の理科実践と小森栄治の理科実践を合わせて「向山・小森型理科」と呼んでいる。
「理科は感動だ!」をテーマとして、感動のある理科授業を通じて、科学・理科を好きになり、ひいては科学技術立国を目指すわが国の発展に寄与するような人材の育成を理念とする。
研究成果のひとつとして、2006年末に発行された「わくわく図鑑・こんちゅうはかせ」と「わくわく図鑑・しょくぶつはかせ」という図鑑があげられる。
このポケット図鑑は、次のような特徴をもっている。
- 既成の概念を破り、掲載種を極力絞ることで、図を大きくして見やすくしている
- 良く見かける種を厳選して掲載することで、「ぼくにも引けた」という達成感を持たせることができる。
- 写真ではなくイラストを使うことで、余計な情報が入り込むことを極力避けている。
酒井式描画指導法
元小学校教師の酒井臣吾が生み出した、絵画の描画指導法である。
酒井式描画指導法の目的は「その子なりの最高傑作を描かせること」である。 酒井式の指導案は「シナリオ」という。シナリオは、1名も残さずクラス全員が「傑作」を描くための筋道を示すためにある。
酒井式の指導法を整理すると次のような特長がある。
- 触覚描法
- 見て描くよりも、触って描くことを重視する。
- 同心円描法
- 外から内へ描くよりも、内から外へ描き進める。
- 部分配置・つなぎ描法
- 部分を配置しておいて、その部分をつないでいく。
- 斜め描法
- 水平垂直にならぬよう、斜めに描き進める。
- 逆さ描法
- 人の足から描いたり、逆さの顔を描いたりする。
- 質感彩色法
- そのものの質感を表現するための彩色をする。
- 主調色彩色法
- 主調になる色を決めて、効率よく彩色する。
酒井式描画指導法は、子どもに明確な目的を持って学習させることで関心・意欲を高めていると同時に、教師側にも学習方法と学習内容を明確にしたことで、それまでの自由画教育では論じられることがなかった具体的な授業研究ができるという評価がある。 また、酒井式描画指導法で描いた中学生の作品が、ドイツ・ハプスブルグ家に認められ、宮廷画家として迎えられるなどの評価を受けたことがある。
TOSS型英会話
書かない、読まない、訳さない英会話指導法である。説明にも日本語をほとんど使わない。短いパーツの組み立てで、単語やダイアローグを覚える。授業の中で学ぶダイアローグは、実生活のどのような状況で使用するかなどの状況設定を明確にしている。 新出単語の練習、ダイアローグのモデル(状況設定)、アクティビティ(場面練習)やゲームで定着を図る、と3つの構成で行うのがTOSS型英会話の特徴である。これを三構成法という。
TOSSが開発・発掘した教材および指導法
TOSSが開発・発掘した教材・指導法で、教育界に広まったものには上記で説明したもののほか、下記のようなものがある。
- 五色百人一首
- あかねこ漢字スキル
- あかねこ計算スキル
- うつしまるくん
- くるりんベルト
- スーパーとびなわ
- TOSSノート
- 学習点字ペン
- 輪郭漢字カード
- 暗唱・直写スキル
- 話す聞くスキル
- TOSS九九計算尺
- 名文・格言暗唱かるた
- 子どもの板書(参加型板書)
- 個別評定
- 会社活動
- システム化
- 分析批評
- 暗唱指導
- ワーキングメモリ
- 社会的不適応
- 発達の凸凹
- 一時一事
- 空白禁止
- 発問、指示、作業
- わ、き、お の授業
- 「写すのもお勉強のうちです。」
- 裏文化
- セルエスティーム
- 観光立国教育
- ふれあい囲碁
- 統率力
- 逆転現象
- 向山型一字読解
- 知的興奮
- 親守詩
- 教えてほめる
- 変化のある繰り返し
- 3問目を〇付け
- リズム・テンポ
- 話者の指導
- 視点の指導
- 対比の指導
- 主題の指導
- 定蹟(定石)
- 守・破・離
- あれども見えず
- 型
- 基本形
- 集合知
- 板書システム
- 教科書チェック
- ノートスキル
- 難問システム
- かけ算九九計算尺
- エチュード
- シナリオ
- かたつむりの線
- グレーゾーン
- 向山型勉強法
- 達意の文
- 代案
- スマートボード
- 問いの段落の指導
- 問いの一文の指導
- 問いの文字の指導
- 答えの段落の指導
- 答えの文の指導
- 主役・対役の指導
- 作品の構成の指導
- 事件の分析の指導
- キーワードの指導
- 色彩イメージの指導
- 題材の指導
- モチーフの指導
- 「隣近所の人と・・・なさい。」
- 言葉を削る
- 1ミリもはみ出さずに
- そっくりそのまま
- 箇条書き
- ゆび書き・なぞり書き・写し書き
- 教育のプロ
- 教科書を教える
- ソーシャルスキル
- フラッシュカード
- 佐藤式工作
- ふしづくり
- TOSS型英会話
- 状況設定
- アクティビティ
- オールイングリッシュ授業
- 領土の授業
- 郵便教育
- 親学
- 2分の1成人式
- たけのこ読み
- 向山型演劇指導
TOSS授業技量検定
TOSS授業技量検定とは、TOSSによる教師の授業力の検定である。 なお、受検資格はTOSSに加入している者にのみ認められる。 下は39級から上は八段まで47段階の段級位があり、大きく4つの段階に分かれる。(このほかに初級者、初心者の級位もあるが、認定基準はあるものの検定制度がない。また、初級者の級位は中級者Bの級位と一部重複している) いずれも、認定セミナーと呼ばれる検定において模擬授業を開催し、段階毎にTOSSの段級位保持者又は向山洋一が採点、認定を行うこととされている。 なお、中級者A以上の検定はTOSSの中央事務局(中央、関西、九州)においてそれぞれ年1回と定められているが、このほかに向山洋一が特例として認める場合がある。また、向山洋一が直接に認定を行う場合は、下記の受験資格は適用されない。
- 中級者B(30級~21級)
- TOSS授業技量検定の第一段階。得意分野におけるTOSS型、向山型指導法の習得について判定するものとされている。各都道府県単位のTOSSサークルが検定を実施可能。
- 審査は、TOSS授業技量検定の段級位保持者1名以上により行われる。
- 中級者A(20級~11級)
- 全てのTOSS型及び向山型指導法の習得について判定するものとされている。
- 受検資格は、TOSSに1年以上加入し、かつ22級以上の級位を取得していることが条件。
- 審査は、TOSS授業技量検定初段以上の2名以上により行われ、採点の平均点により級位が決定する。
- 上級者(10級~1級)
- 新しい問題提起のある授業、新しい分野、切り口を示した授業の実施能力について判定するものとされている。
- 受検資格は、TOSSに3年以上加入し、かつ12級以上の級位を取得するとともに、雑誌論文10本以上、または単著を著していることが条件。
- なお、ここにおける雑誌論文とは、いわゆる研究論文雑誌ではなく、下記に示されているTOSSが発行する雑誌を指しているものと考えられる。
- 審査は、TOSS授業技量検定三段以上の3名以上により行われ、採点の平均点により級位が決定する。
- 有段者
- 画期的な問題提起のある授業、歴史に残る授業分野を10分間で示せる能力について判定するものとされている。
- 受検資格は、2級以上の級位を取得していることが条件。
- 審査は、TOSS授業技量検定五段以上の3名以上、又は向山洋一により行われ、採点の平均点により段位が決定する。
TOSS授業技量検定について、実態はTOSSの運動論への貢献度であり、授業技量とは関係がないという批判も一部には存在する。
インターネットランド(TOSSランド)
TOSSにより運営されるサイト「インターネットランド(TOSSランド)」は、教師が実践している各教科の様々な指導法を掲載し、情報の共有による授業技術の向上と、追試による指導法の発展を目指すとされている。 TOSSランドに各自のサイトが登録されるためには、登録規約を遵守のうえ、TOSS中央事務局による審査を経る必要がある。 なお、審査の基準として示されているのは、
- 法則化またはTOSSが提唱する授業論であるか
- そのサイトが多くの教師の授業にすぐ役立つ内容かどうか
の二点である。
2011年4月1日現在、約12000のコンテンツが登録されており、2011年10月5日にはアクセス件数が1億回を突破した。
TOSSに対する評価と批判
現在、TOSSの指導法に対しては、評価する意見と批判の両方が存在している。
TOSSを肯定的に評価する意見
TOSSが言うところの法則化とは、「実践によって裏付けられた優れた教育技術をすべての教師の共有財産とする」ことを目的としている、とされている。 跳び箱の事例に見られるように、具体的な指導法を示し、それに従った教師が何らかの成果を見た事で、方法論としては一定の評価を受けている。 特に、新任早々授業を担当しなければならない新人教師や、学級崩壊等の問題を抱えて悩む教師には即効性のあるマニュアルになるという見方がある。
マニュアルと並んでよく言われるのが、「教育は技術ではない」ということである。TOSSでも「教育技術がすべてである」などとは、述べたことなどはない。向山洋一は、「教育にとって技術は大切だが、7〜8パーセント程度だ」と述べている。同時に向山は、「しかし、技術は小さなものだがなしではいけない」ということも述べている。教育技術を医療技術にたとえ「盲腸を手術する技術は外科医には小さな技術であろうが、盲腸を手術できない外科医を誰も外科医としては認めない」としている[1] 。
TOSSに対する批判的意見
酒井式描画指導法に対する批判
TOSSの運動に批判的な教師や保護者からのものに、マニュアル教育そのものに対する批判があるが、代表的なものとして、酒井式描画指導法に対する批判がある。
酒井式描画指導法は、絵描き歌のように、「同じ手順で」「同じ対象物を」「紙面の同じ場所に」「同じ時間で」「教師の指示通りに」書くことを基本としているため、結果として得られる作品は画一的である。
この酒井式描画指導法には、次のような批判がある。
- 観察・考察・想像といった制作の前段階が無視されている
- 子どもの心の自由への侵害である
- 個性がなくなる
- 技術の向上に役立つものではない
- 教師の自己満足に過ぎない
- 学習指導要領を満たしていない
これが問題視されたのは、酒井式描画指導法によって描かれた作品が、全国的なコンクールなどに大量に出品されたことで、主催者等からの批判が相次いだことをきっかけとしている。コンクールにおける上記の批判を受けて、TOSSでは「一学校につき同一テーマでは3作品まで」といった出品制限を指導することにより、コンクールにおける酒井式描画指導法への注目を弱めることを狙ったが、こういった行為はコンクール出品への根本的な問題解決にはなっていない。
近年はさらに、2〜3歳の幼児にもこの指導法が広められており、一部で危惧されている。
また、批判者に対する過剰な反応の言葉を、Webサイト上や雑誌「教室ツーウェイ 2006年8月号」に掲載するなどし、TOSSに対する不信を助長する結果となっている。
この背景には、特に個人の能力や感性に差が大きい芸術分野の科目において、技術の習得と芸術性をどう評価するのかという方法論が、教育界全体において未だ確立していない一方で、限られた授業時間で何らかの成果物を作らなければならないとする教師の観念や社会の要請が、目的と手法を見誤らせていることが考えられる。
疑似科学の拡大助長に対する批判
TOSSと疑似科学の親和性は以前から批判があった[2]。これは、TOSSがEM(有用微生物群)についてその当初から環境教育として積極的に採り入れてきたことによる。そもそも、TOSS設立以前から向山はEMを積極的に環境教育に採り入れてその普及を図ってきた[3]が、そのEMの微生物群としての有機物分解能力の(他の土壌改良資材と比較して優れているわけでもない)有用性についてのみならばともかく、EMの開発者である比嘉照夫のEM技術についての波動測定装置による有効性検証とするものや、「八〇〇度でも死なない」といった言葉までも無批判に信じて教育に採り入れている点が、疑似科学を教育現場に持ち込むものとして批判されたものである。
その後、「水からの伝言」への疑似科学批判のなかで、「水からの伝言」についての授業実践例がTOSSランドに登録され、TOSS関連書籍の中でも紹介されるなど[4]、TOSSの活動のなかで用いられ、そこからTOSS以外への教師へ広まっていったことが確認された[5]ことによって注目された。
これについて、
- 疑似科学を授業に用いるべきではない
- 二分法で『いい言葉』『悪い言葉』を分類するのは無理
- 水の結晶に良い悪いを判断させるというのは、物事を形だけで判断するのは良くないという道徳と矛盾
と言った観点からの批判が相次ぎ、現在はTOSSランドから削除されている。しかし、そもそもTOSSはなぜ水からの伝言を用いた授業を登録したのか、なぜ削除に至ったのかといった経緯を明らかにしていないため、水からの伝言に係る誤解は放置されたままであり、依然として学校の授業において実践される事例が後を絶たない。
また、科学者の間では疑似科学であるとの評価が定着したゲーム脳もまたTOSSでは広く取り上げられ、関連書籍や雑誌で紹介されてきた[6][7][8][9]。 そして、ゲーム脳を扱ったコンテンツは2007年3月まで数件登録されたままであった[10]。
加えて、前記のEMについて、TOSSランドに環境教育のサブカテゴリとしてEMを明示して多数のコンテンツを登録している[11]。こうしたことから、TOSSは疑似科学を排除したわけではなく現在でも拡大助長していると批判する人々は判断している。そのほか、疑似科学と一般に判断されているものでTOSSで扱われているものに脳内革命が挙げられる[12][13][14][15][16][17]。 これらの疑似科学は、主に道徳や総合的学習において取りあげられる割合が高い。背景には、教師側に単純で判りやすい正解を求める傾向があり、科学的な検証を経ることなく、無批判、盲目的にTOSSの指導法を信じているものと考えられ[18]、TOSSが本来目指しているとされている「追試による指導法の発展」が、全く機能していないことを示す結果となっている。
なお、より厳しい批判としては、向山とTOSSが確信的なオカルティズムに基づいているとし、これを愚民教育であるとする意見もある。[19]
関連雑誌
- 月刊『教室ツーウエイ』誌(明治図書)
- 月刊『家庭教育ツーウェイ』誌(明治図書)
- 月刊『向山型算数教え方教室』誌(明治図書)
- 月刊『教育トークライン』誌(東京教育技術研究所)
- 季刊『TOSSインターネットランド』誌(東京教育技術研究所)
- 隔月刊『向山型国語教え方教室』誌(明治図書)
脚注
- ↑ テンプレート:Cite book
- ↑ 斎藤貴男『カルト資本主義――オカルトが支配する日本の企業社会』(文藝春秋、1997年/文春文庫、2000年)第5章
- ↑ テンプレート:Cite book
- ↑ 師尾喜代子編『TOSS女教師の読み聞かせシリーズ2 教室がシーンとなる“とっておきの話”100選 中学年編』(明治図書、2002年)において、『水も感じる「ありがとう」の言葉』という話が掲載されている。師尾はTOSS中央事務局に所属している。
- ↑ 菊池誠『「ニセ科学」入門』(第六十一回物理学会年次大会シンポジウム「『ニセ科学』とどう向き合っていくか?」、2006年3月)で言及されている。また、毎日新聞『理系白書の理系白書’07:第1部 科学と非科学/2 教室にニセ科学 - 毎日jp(毎日新聞)』(2007年2月7日)にも同様の記述がある。
- ↑ テンプレート:Cite journal
- ↑ テンプレート:Cite bookの中で「ゲームのし過ぎで脳が壊れる!〜ゲーム脳の恐怖〜(TOSSランドNo2210270)」が紹介されている。
- ↑ テンプレート:Cite bookにおいて、『ゲーム脳の恐怖』が取り上げられている。
- ↑ テンプレート:Cite book
- ↑ 例えば、テンプレート:Cite web など。一方、テンプレート:Cite webは2007年3月以前にTOSSランドからは削除されていた。なお、2007年3月中旬になって、TOSSランドの検索結果でゲーム脳関係のものが表示されなくなった。
- ↑ タブなし → 環境の授業 → EMで2007年2月末で17件登録。
- ↑ テンプレート:Cite book
- ↑ テンプレート:Cite book
- ↑ テンプレート:Cite book。該当箇所が明治図書のウェブサイトで確認できる。
- ↑ テンプレート:Cite book。該当箇所が明治図書のウェブサイトで確認できる。
- ↑ テンプレート:Cite bookの中で複数の「脳内革命」を使用したTOSSランドのサイトが紹介されている。
- ↑ テンプレート:Cite journal
- ↑ 左巻健男「お手軽化が蔓延する教育現場の怪」(『論座』2007年2月号)
- ↑ 左巻健男「お手軽化が蔓延する教育現場の怪」(『論座』2007年2月号)及び斎藤貴男『カルト資本主義』。