TATSUJIN

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テンプレート:InfoboxTATSUJIN』(たつじん)は、1988年アーケードに登場した縦スクロール・シューティングゲーム。販売はタイトー、製作は東亜プラン。海外名はTRUXTON。1992年には続編の達人王がリリースされている。

概要

長らくタイトーの下請けとして活動していた東亜プランは、本作のリリースを皮切りに自社ブランドを前面に押し出し、「東亜系シューティング」のスタイルを確立してゆく。日本国内でのセールスは非常に好調で、その理由として開発者の弓削雅稔は当時のテーブル筐体の画面を覆い尽くす5本のサンダーレーザーのインパクトを挙げている。一方で海外での評価は芳しくなかったという。[1]

サンダーレーザーの他、本作で登場した特徴的なシステムとしては「ボンバー」(達人ボム)がある。『TATSUJIN』の名の通り、本作は達人シューター向けの高難易度でも知られるが、達人ボムの採用はその相殺という一面もある。ボンバーというシステム自体は東亜プランの『タイガーヘリ』が初出だが、ボタンを押してからボンバーが発動するまでにタイムラグがあった『タイガーヘリ』に対し、ボタンを押した瞬間に即発動する(ただし若干のラグがあり、デモで被弾後にボムが爆発するものがある)ボンバーが採用されたのは本作がゲーム史上初である[2]。攻撃よりも防御、戦略性よりも緊急回避性を重視したこのタイプのシンプルなボンバーは以後登場するほぼすべてのシューティングゲームで採用されている。

高難易度とそれを相殺するボム、ボタンを押しただけで敵を倒せるシンプルさ、武器のビジュアル的なインパクトという、以後のほぼすべてのシューティングゲームで踏襲される要素を確立した本作は、近代シューティングの基礎を築いた作品であるとゲームライターの箭本進一は評している[3]

一方で、本作以後の東亜シューティングを含めたシューティングというジャンルはますます高い難易度とビジュアルインパクトを追求し、結果的にマニア向けのジャンルと化すこととなる。

ゲームシステム

8方向レバーで自機を操作し、メインショット(空中、地上どちらも攻撃可能)と達人ボム(いわゆるボンバー)を駆使し1面あたり40エリア(画面)全5面の全200エリアを攻略する[4]。道中の5体のボスを倒すごとに通常BGMが変わるため、メガドライブ版では5ステージ構成としている。ボスでミスすると一定の復活ポイントまで戻される。敵や地上物を倒すと様々な効果を持ったアイテムが出現し、それを取得する事によって様々な効果が得られる。

パワーアップアイテム

それぞれの文字が書かれたアイテムを取得する事により様々なパワーアップを行う。

P
このアイテムを5個取得するとショットボタンで発射する武器が1段階パワーアップする。最高2段階まで。自機がやられても4個まではストックが効く。ただし最高段階までパワーアップしてしまうとそれ以上ストックができない。
通常は本アイテムの色はシルバーだが、4個ストックした状態(あと1つ取ればパワーアップする状態)のときはピンクになる。
S
取得するごとに移動速度が上がる。4個で最高速になり、5個目からは5000点のボーナス得点となる。
B
達人ボムを1発補給する。基本的にボタンを押したその場で効果を発動させるタイプなので緊急回避や弾消しに重宝するが、ダメージを与える場合、近距離で使用する必要がある。(アーケード版は自機を中心にボムが作用する、メガドライブ版は画面を中心にボムが作用し、画面全体に均等にダメージを与える。)ごく僅かなタイムラグがある為、自機がやられた直後に爆発する事もある。自機を中心に巨大なドクロ状の爆炎を起こす。10発までストック可能。残り使用可能数は画面右下にドクロマークを並べて表示する(メガドライブ版はスコアやボム数などの情報を右側の帯状のエリアに表示される)。10個ストックされた状態で取ると5000点のボーナス得点となる。
1UP
自機を1機追加。特定の武器でしか壊せない地上物に入っている。全3箇所。1回取ると次以降の周ではショットアイテムに変化する。
2UP
自機を2機追加。一定エリア連続ノーミス時にゲーム中1回に限り出現する。最初からノーミスの場合、3面の最初のアイテムキャリアが2UPになる。[5] なお、1UPと2UPは他のアイテムと違い、その場に留まらずに空中を浮遊する。

武器チェンジアイテム

メインショットは取得する武器チェンジアイテムの色によって3種類に変更する事が可能[6]。装備している色と同じ色のアイテムを取るとボーナス得点が入る。武器チェンジするタイミングによって敵の硬さを変えることができる。

赤アイテム(パワーショット)
扇状に3WAYのバルカンを撃つ。パワーアップにより3方向の弾がそれぞれ3発×3WAY→5発×3WAY(MD版では9WAY→9WAY+バリア)になる。敵を貫通しない性質で、近距離で撃つと複数のショットが集中して当たる為、敵に効率的にダメージを与えられる。ショット一発の威力が弱い為、遠距離で耐久力ある敵には苦戦する。
緑アイテム(達人ビーム)
短いビームを真正面に発射する。耐久力の小さい敵は貫通して破壊する。パワーアップにより3連装→5連装になる。直線的な武器である為、横からの攻撃には苦戦を強いられる。
青アイテム(サンダーレーザー)
稲妻状の途切れの無い長いレーザーを発射する。ショットボタンを押しっぱなしにすることにより継続で発射される。耐久力の小さい敵を貫通し、耐久力の大きい敵に対しては破壊するまでロックオンし続ける。パワーアップにより3連装→5連装になる。ロックオンすると自機めがけて突っ込んでくる敵もいる。

移植

  • メガドライブ版(1989年12月9日発売)
    • セガから発売された。上述の通り、パワーアップに多少のアレンジがなされている。東亜プランのメガドライブ初参入作品であり、メガドライブ用ソフトとしては初期の作品である。以後、東亜プランが開発したコンシューマ作品がメガドライブのみでの供給なのは、当時の東亜プランがコンシューマを重視していなかったのと、メガドライブのCPUがアーケード版と同じMC68000を使用していたからである。サウンドのテンポが異様に早いのは、弓削がメガドライブのサウンドの仕様を知ったのがマスターアップ直前で、調整不足だったためである[7]
  • PCエンジン版(1992年7月24日発売)
    • タイトーからHuCARDで発売された。

脚注

テンプレート:Reflist

参考文献

  • シューティングゲームサイド vol.4』マイクロマガジン社、p.42
  • 『シューティングゲームサイド vol.4』p.22
  • 『シューティングゲームサイド vol.4』p.10
  • 『メガドライブのすべて』p.20
  • 『メガドライブのすべて』p.21
  • 各武器の基本的な性質は『メガドライブのすべて』p.21参照
  • 『シューティングゲームサイド vol.4』p.48