Adobe Photoshop
テンプレート:Infobox Adobe Photoshop(アドビ フォトショップ)は、アドビシステムズが販売しているビットマップ画像編集ソフトウェアである[1]。
概要
主に写真編集(フォトレタッチ)としての役割を担うソフトウェアとして、画像加工、イラストレーション、印刷業界などあらゆる画像分野で使用されており、この分野では代表的な存在である[2][3]。主に写真などの加工に適しており[4]、さまざまなフィルタやプラグインを追加することによって、機能を拡張することができる[5]。また、Illustrator や InDesign といった同社の他のソフトとは、シームレスな連携がはかられている[6][7]。
2次元コンピュータグラフィックスを代表するソフトでもあり、編集・加工機能や入稿時のカラーマッチングに優れているPhotoshop、ペンタブレットでの描画機能やナチュラル表現に優れているPainterという位置づけで定着している。
Photoshop の標準画像ファイルフォーマットはPSD形式であり、レイヤーやパス、印刷情報や著作権情報などを付加して保存できる。また多くの画像フォーマットに対応しており、ビットマップ画像だけでなくベクターイメージを扱うこともできる。
歴史
1987年、当時ミシガン大学の学生であったトーマス・ノールが Macintosh Plus 向けにグレースケールの画像を扱うソフトウェアを開発した。これに惹かれたインダストリアル・ライト&マジックの画像編集部門の社員であり、トーマスの弟でもあるジョン・ノールが開発に参加し、ImagePro として完成させた[8]。後にこれをアップルコンピュータとアドビの社員に見せ、1988年9月にアドビがライセンスと販売権の取得を決定し[8]、1990年に最初のバージョンである Photoshop 1.0 が発売された。
アドビ社の印刷業界でのノウハウを生かして、その方面の機能強化や、機材やソフトの連携を練り込まれた Photoshop は、それまで高価な機材が必要だった作業をパソコン上で安価に実現させ、デザイナー・出版業・印刷業などのプロフェッショナル業界に浸透していった。テンプレート:要出典範囲。
バージョン 2.5 からは Microsoft Windows 版も登場し、パソコンの高性能化、低価格化にともないそのハードルは低くなり、プロフェッショナルユーザーだけでなく、アマチュアのイラストレーターや写真家、画像加工に興味ある一般ユーザーにも浸透し、画像加工・調整を行ううえでの事実上の標準ソフトとなっている。英語では動詞にもなっており、"写真を photoshop する" とは、(自分の顔写真を綺麗に見せるためなどで)デジタル写真を Photoshop で加工修正することをいうが、これはAdobe社のイメージダウンになるのでAdobe社は「photoshopという動詞やphotoshopedという用語は使用しないように」とガイドラインで呼びかけている。
2008年に発売された CS4(11) から、Windows 版のパッケージには32ビット版に加えて新たに64ビット版も投入され、これにより使用可能なメモリの量からくる制約が軽減されている。Macintosh 版では Mac OS X の Carbon API に関する制限から CS4(11) では64ビット対応が実現していなかったが、2010年に発売された CS5(12)では Cocoa に移行し64ビット対応がなされた。
バージョン、シリーズ
バージョンの数字の表記は 7.0 まで[9]で、その後は Photoshop CS (Creative Suite) という新ブランドネームに改訂されている。バージョン 5.5 からは当初別パッケージで供給されていたウェブ用画像作成ソフトウェア ImageReady とセットで販売された(CS3 から機能の統合が行われ、セットでの販売はなくなっている)。その後バージョン 6 になって、インターフェースの変更が行われ、同時にこれまで、弱いとされていた画像プリントエンジンの強化が行われた。
1995年、Windows 95 の発売を機に一般の間にパソコンが爆発的に普及してからは、CGイラストやデジタル同人誌制作に必要不可欠なソフトと認識されるようになった。しかしながら、10万円前後という商業利用を想定した価格設定は一個人が趣味のために利用するにはあまりにも高価なものであったことから、主にバージョン 4 から 5.5 の世代において、金銭的に余裕の無い者を中心に CD-ROM などにソフトウェアをコピーし配布するなどの手段による不正使用が横行した。この影響もあり、バージョン 6 以降からは Adobe Online Manager を利用したシリアル番号情報の回収による不正使用状況の調査を開始し、その結果をもとに Windows 版では CS1(8) から、Mac OS X 版は CS2(9) から不正使用を防ぐ為のアクティベーションが具体的に導入されることとなった。
パーソナルユース向けに機能を限定した廉価版として、Photoshop Elements が発売され(過去には Photoshop LE、Photo Deluxe など)、各種のデジタルカメラやスキャナ、ペンタブレットなどに付属ソフトウェアとして同梱されていたり、パッケージとして販売されている。付属ソフトウェア版は商品版よりも実質的に安く入手できるかわりに、通常商品版よりも1世代前のバージョンのものが同梱されていることが多い。通常版との違いは、レイヤー機能の一部に制限があり、トーンカーブ・パス機能がなく、CMYK画像の編集ができない点などがある。画像管理面の機能も付加され、直感的な操作で作業が行えるなど、パーソナルユース向けの性格を強くしている。また、高機能なデジタルカメラの普及にともない、RAW現像に特化したソフトウェアとして、Photoshop Lightroom が Photoshop ファミリーとしてリリースされている。
オンラインサービスとしてFlashベースのAdobe Photoshop Expressがある。利用には無料のアカウント登録が必要で、用意された2GBのストレージに画像や動画をアップロードして編集・管理できる。また、Facebook、Flickr、Photobucket、Picasaなどの外部サービスと連携することもできる。
CS3(10) からCS6(13)まで、通常版のPhotoshopに加え、映画制作やエンジニア、製造、建築、医療、科学分野を対象に3次元コンピュータグラフィックスや動画ファイルの簡易編集機能が付加された Extendedシリーズも提供されていた。(Image Readyは統合された。)
なお、2013年5月に発売されたAdobe Creative Cloudの登場により、パッケージ版の生産が終了し、店頭ではダウンロードカードのみの取り扱いになっている。(Photoshop Elements、Lightroomを除く)
CreativeCloudはCS6かCCのどちらかをダウンロードでき、3ヶ月もしくは12ヶ月の使用期限が切れた場合は再度カードを購入するかクレジットカード決済で継続することが可能である。
リリース履歴
- 1990年 Photoshop 1.0
特徴:- カラー補正
- トーンカーブ
- レベル補正
- スタンプツール
- 1991年 Photoshop 2.0
- パス
- Illustratorファイル向けラスタライザー
- CMYKカラーをサポート
- ダブルトーン
- ペンツール
- 1993年 Photoshop 2.5
- パレット
- 16-bitファイルをサポート
- 1994年 Photoshop 3.0[10]
- レイヤー
- パレットタブ
- 1996年 Photoshop 4.0[11]
- 調整レイヤー
- アクション
- 1998年 Photoshop 5.0[12]
- 国際カラーコンソーシアム(ICC)準拠のカラーワークフロー
- 複数回のやり直し(ヒストリーパレット)
- マグネット選択ツール
- 編集可能なテキストの入力
- 1999年 Photoshop 5.0 Limited Edition
- 1999年 Photoshop 5.5
- PhotoshopにImageReadyを同梱
- Web用に保存の機能機能
- 抽出フィルタ
- スライス/ロールオーバー機能
- 2000年 Photoshop 6.0
- ベクトルシェイプツール
- ユーザーインターフェイスのアップデート
- ゆがみフィルタ
- レイヤースタイル/描画モードのダイアログオプション
- レイヤーセット(レイヤーフォルダ)
- レイヤー作成可能枚数の大幅な増加 (ver5.5 背景レイヤ+99枚の計100枚まで →ver6.0 最大8000枚)
- 2001年 Photoshop Elements 1.0
- 2002年 Photoshop 7.0
- 修復ブラシ
- テキストの完全ベクトル化
- 新しいペインティングエンジン(ブラシを強化)
- ファイルブラウザ
- XMPサポート
- 2002年 Photoshop Elements 2.0
- 2003年 Photoshop CS(1) (8.0)
- シャドー/ハイライトコマンド
- カラーの適用コマンド
- ぼかし(レンズ)フィルタ
- ヒストグラムパレット
- スライスツールを大幅に改善
- レイヤーカンプ
- 包括的な16ビットカラー編集
- ショートカットキーのカスタマイズ
- アクティベーション搭載(Windowsのみ)
- 2003年 Photoshop Elements 3.0
- 2003年 Photoshop Album 1.0
- 2003年 Photoshop Album 2.0
- 2005年 Photoshop CS2 (9.0)
- Bridge 1.0
- スマートオブジェクト
- 画像ワープ
- スポット修復ブラシ
- 赤目修正ツール
- レンズ補正フィルタ
- スマートシャープ
- Vanishing Pointフィルタ
- スマートガイド
- HDR画像サポート
- アクティベーション搭載 (Mac)
- 2005年 Photoshop Elements 4.0
- 2006年 Photoshop Elements 5.0
- 2007年 Photoshop CS3(10.0), CS3(10.0) Extended
- スマートフィルタ
- IntelベースのMacintoshをネイティブにサポート
- クイック選択ツール
- 境界線を調整
- レイヤーの自動整列と自動合成ツール
- トーンカーブパレットでヒストグラム表示
- 白黒調整レイヤー
- (Extended) 3D視覚化とテクスチャ編集
- (Extended) MATLABを統合
- (Extended) 測定と計算ツール
- (Extended) DICOMフォーマットをサポート
- (Extended) モーショングラフィックとビデオレイヤー
- (Extended) ムービーペイント
- (Extended) 3Dをサポートするバニッシングポイント
- (Extended) 画像のスタック処理
- 2007年 Photoshop Elements 6 (Windows)
- 2008年 Photoshop Elements 6 (Mac), Elements 7 (Windows)
- 2008年 Photoshop CS4(11.0), CS4(11.0) Extended (Windows/Mac)
- 調整パネル
- マスクパネル
- よりスムースなパンとズーム
- 流れるようなキャンバスの回転(GPU使用)
- 共通のユーザーインターフェイス
- コンテンツに応じて拡大縮小
- GPUアクセラレーション
- (Extended) 画期的な3D編集と合成
- (Extended) モーショングラフィックの向上
- (Extended) ボリュームレンダリング
- (Extended) データの収集と分析の簡便化
- 2009年 Photoshop Elements 8 (Windows/Mac)
- 2010年 Photoshop CS5(12.0), CS5(12.0) Extended(Windows/Mac)
- 混合ブラシ
- パペットワープ
- コンテンツに応じた塗り
- (Extended) 3D成形
- 2010年 Photoshop Elements 9 (Windows/Mac) ※Pseのパッケージ版はこのバージョン以降ハイブリッドDVDによる提供となっている。
- 2011年 Photoshop Elements 10 (Windows/Mac)
- 2012年 Photoshop CS6(13.0), CS6(13.0) Extended(Windows/Mac)
- コンテンツに応じた移動・パッチ
- Mercury Graphics Engine
- 広角補正
- (Extended) 3Dの直感的なコントロール
- (Extended) 3Dオブジェクトを簡単に整列および分散
- 2012年 Photoshop Elements 11 (Windows/Mac)
- 2013年 Photoshop CC(14.0) (Windows/Mac)
- Creative Cloudとの連携性が向上
- 刷新したスマートシャープ
- 高品位なアップサンプリング
- Photoshop Extendedの機能を搭載
- Camera Raw 8とレイヤーのサポート
- 編集可能な角丸の長方形
- 複数のシェイプとパスを選択
- 手ぶれ補正
- スマートオブジェクトのサポート強化
- 改良された3Dペイント
- 文字スタイル機能の強化
- CSS属性のコピー
- 条件付きアクション
- 改善された3Dシーンパネル
- ワークフローの高速化
- 3D機能の強化
- Webファイルからカラーを読み込み
- システムに応じて文字をアンチエイリアス
- 改良された最小値/最大値フィルター
脚注
関連項目
外部リンク
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- ↑ 8.0 8.1 テンプレート:Cite web
- ↑ 内部バージョンは CS(1)(8.0) 以降も存在する。
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