OpenType
OpenType (オープンタイプ)はコンピュータで扱うスケーラブルフォントの標準規格。TrueTypeの次期フォントとしてアドビシステムズ、マイクロソフトが共同で設計し、アップルコンピュータがそれに賛同する形で開発された。OpenType はマイクロソフトの登録商標であり、OpenType のロゴはアドビシステムズの登録商標である。
OpenTypeとはTrueTypeとPostScriptフォントの両方の総称であるが、PostScriptフォント形式のみをOpenTypeと呼ぶことも多い。
規格
OpenTypeはTrueTypeを発展させ、PostScriptフォントのデータ形式も内包できるようになった。両者を択一してフォントを作る。そのため形式によって拡張子も異なり、TrueType形式で作成されたものは「.TTF」もしくは「.TTC」、PostScript形式で作成されたものは「.OTF」となる。TrueType形式のOpenTypeフォントについてはTrueTypeも参照のこと。
PostScriptベースのOpenTypeの規格
JIS X 0208などの漢字コードでは、微小な字形差の多くが包摂規準により同じ符号位置に統合されているため、微小な字形差を表現し分けることができない。これに対しOpenTypeでは、微小な字形差なども含めて対応できるのが特徴であり、日本ではグリフ集合としてAdobe-Japan1シリーズを用いることで、微小な字形差を分離していることが多い。
日本語のグリフ集合においては、Adobe-Japan1-3 のグリフ集合に対応したものをOpenType Standard、Adobe-Japan1-4に対応したものをOpenType Proという。内包されているグリフ数はAdobe-Japan1-3が9,354グリフ、Adobe-Japan1-4が15,444グリフである。
異体字セレクタやタグによる字体切替は、TrueTypeベースのOpenTypeでも対応しているものがある[1]。
また、アップルは独自に拡張したグリフ集合APGS (Apple Publishing Glyph Set) を定め、Mac OS X v10.1で採用した。Adobe-Japan1-4からの追加内容としては、JIS X 0213:2000のサポート、表外漢字字体表字形のサポートがある。現在APGSに対応する形でAdobe-Japan1-5(20,317グリフ)が制定され、さらにAdobe-Japan1-6(23,058グリフ)に拡張されている。アドビシステムズ・モリサワがAdobe-Japan1-6に完全対応する OpenType フォントを販売している。
アップルがMac OS Xに採用してヒラギノOpenTypeフォントを標準搭載し、アドビシステムズがDTPソフトAdobe InDesignでフル機能を搭載したのをはじめ、Adobe Illustrator などのソフト、マイクロソフトのWindows 2000以降などでも対応ソフトで利用できる。ただし、本来のOpenTypeの実力を発揮するためには対応アプリケーションが必要である(詰めが効かない、行間の調節が必要、微小な字形差を指定できないなど)。
出力における従来のフォントとの違い
従来のOCFフォント、CIDフォントは、ともにダイナミックダウンロード出力はできない(不可能ではないが不安定)。日本語を含む2バイトフォントをDTP出力するためには、イメージセッタやプリンタなど出力機側に専用のフォントをあらかじめインストールしておき、出力時には、文字コード情報やフォント(書体)名の情報のみを出力機に送り、文字の形の情報は出力機側で計算する、という方法を用いてきた。これは、コンピュータやネットワークの性能が低かった状況下では負荷を減らせる利点があったが、機能向上とともにその必要はなくなった。
OpenTypeは、TrueTypeフォント同様にダウンロード出力ができるため、コンピュータ側にフォントがインストールされていれば出力が可能である[2]。
TrueTypeフォントとの違い
PostScriptのOpenTypeフォントはTrueTypeフォントと比較して下記の特徴を持つ。
- ベジェ曲線で表現される。
- CIDを使用できる。
- Windowsでは使用できないアプリケーションも多く、GDI+では標準で対応されないため.NET FrameworkのWindows Formsなどでは標準で使用できない。WPFでは大部分の機能に対応した。