LAME
LAME (レイム)は、MP3への変換に用いられるフリー(GNU LGPL)のアプリケーションソフトウェア。名称は「LAME Ain't an MP3 Encoder」[1][2]の再帰的頭字語。1998年から開発が続けられている。
特徴
LAMEはMP3に変換するのに使われるソースコードの中でも特に優秀とされ、LAMEを採用しているエンコーダは他のエンコーダよりも品質のよいMP3ファイルを作ることができるため、広く支持されている。また、バージョン3.90からギャップレスを実現している[3]が、これを実現しているのはLAMEとiTunesのみである[4]。
オープンソースコミュニティによって開発されており、無料で利用できる。当初はMike Chengにより8hz-mp3に対するパッチという扱いで配布されていたが、1998年10月4日にリリースされたバージョン2.0からはISOのサンプルコードを改良するという形に開発体制が移行し、LAMEはパッチではなく現在のように完全なソースコードの形式で配布されるようになった。開発が進み、最終的には2000年5月8日にリリースされた3.81 Betaにおいて、ISO由来のコードが完全に取り除かれるに至った。
オープンソースであることから様々なOSで動作することも特徴である。UNIXやUNIX互換OS上[5]だけではなく、WindowsやAmiga、OS/2、BeOS、さらには疑似コンソールを使用したMac OS(Mac OS Classic)用のアプリケーションも存在する。
推奨ビットレートは192kbps以上だが、かつてはこれでもVorbisの128kbpsには及ばないなどと言われていたテンプレート:要出典。しかし、新しい心理音響モデルのnspsytuneの導入 (バージョン3.88beta) や、可変ビットレート(VBR)モードの改良等が行われ、現在に至るまで品質を向上させる努力が行われている。これらの成果は、Hydrogenaudioにおいて行われた複数のリスニングテストで示されている[6]。
LAMEから派生したエンコーダとして午後のこ〜だがあるが、これはLAMEをベースとしてMMX、SSE、3DNow!といったx86プロセッサ向けのSIMD命令を積極的に用いて最適化を行ったものである。エンコード速度が非常に高速である反面、ベースとなっているLAMEのバージョン (3.88) が古いため、近年の音質向上の試みが反映されていないという欠点がある。この午後のこ〜だの成果の一部は、かつて評価版として配布されていたLAMEバージョン4.0に取り入れられ、さらに LAME 3.98 beta 1 に本格的に導入され[7]、現在に至っている。
また、Mike ChengによるMPEG Audio Layer 2のエンコーダのTooLAME(現:TwoLAME)も1998年11月7日にリリースされた。[8]
バージョン3.97をマルチスレッド化して高速化しようという試みもあったが、ビットリザーバが無効になるなど音質面での欠点があり、ベンチマーク以外の用途では普及するには至っていない。
脚注
- ↑ 「LAMEはMP3エンコーダではない」の意味。実際、開発者らが公開しているのはソースコードで、エンコーダーではない。
- ↑ なお、本来の英単語の「lame」は、「足の不自由な」「時代遅れの」という意味である。
- ↑ デコーダ側の対応を必要とするので、すべての環境でギャップレスを保証するものではない。
- ↑ LAMEとiTunesのギャップレス対応の実装は異なるが、iTunesはLAMEを用いてエンコードされたMP3ファイルのギャップレス再生情報にも対応している
- ↑ GNU/Linux、*BSD、Mac OS X、Solaris、IRIX、Plan 9等。
- ↑ Hydrogenaudio『Hydrogenaudio Listening Tests』
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ TooLAME HISTORY
外部リンク
本体
関連サイト
関連ソフトウェア
- RazorLame - LAMEのフロントエンド(日本語化)
- Lame Ivy Frontend Encoder - LAMEのフロントエンド
- CDex(日本語化)
- Exact Audio Copy(日本語化)
- AltiVec accelerated LAME binray for Mac OS X - PowerPC G4以降に搭載されたベクトル演算ユニットAltiVec(G5ではVMX)を使用し、高速化を図ったバージョン
- iTunes-LAME - Macintosh上でiTunesと連携して動作するフロントエンド