Happy Hacking Keyboard
Happy Hacking Keyboard(ハッピーハッキングキーボード)とは、株式会社PFUより販売されているパソコン用キーボードである。和田英一とPFU研究所との共同開発により生まれた。1996年12月より販売が開始された。
また、2004年度には商品デザイン部門、パーソナルコンピュータおよび関連商品においてグッドデザイン賞を受賞した。
特徴
テンキーやファンクションキー、矢印キーなど、従来の一般的なPCキーボードに搭載されている一切の無駄なキーを極力取り除き、必要最低限のキーのみで構成されているのが特徴である。そのため極めてコンパクトな印象を受けるが、キー自体のサイズはフルキーボードと同等の19.05mmであるため、打ち易さなどを犠牲にしていない。
また、ショートカットキーなどで多用するコントロールキーがAキーの左隣、ESCキーが1キーの左隣にあり、スペースバーの両隣にメタキー(コマンドキー)が配置されているなど、UNIX文化に極めて親和性の高い配列となっている。
ファンクションキーやPage Up/Page Downキー、Print Screenキーなどの特殊キーはノートパソコンのようにFnキーとのコンビネーションにて行う。そのため入力時における手の移動距離が少なくて済むが、これは若干の操作性が犠牲となる。しかし、Fnキーとの同時押しで入力するキーは、使用可能な環境が限定的と考えられるキーや形骸化しているが互換性のためについているキーばかりであり、HHKを使用すると想定されるユーザにとっては「使わないキー」であると考えられている。例えば、矢印キーによるカーソルの移動は、HJKLキー(vi)やCtrlとPNFBキーの組み合わせ(Emacs)などで同機能が実現できる(しかも矢印キーのように指をホームポジションから離す必要がない)ため、Unixユーザの多くにとっては必要性が低い。とはいえ、これらの操作に慣れていないユーザにとっては、使用に若干の慣れが必要となる。
キートップに刻印が全くないモデルも存在する.
ラインアップ
スイッチに東プレのRealforceと同じ静電容量無接点方式を採用し、東プレからOEM供給されている高級版ともいえる Professional 2、JIS配列版であるProfessional JP、Professionalシリーズを元に高速性と静粛性を高めたProfessional Type-S、廉価版ともいえる Lite 2 という2つのグレードに分けられており、Professional Type-S は3モデル、Professional 2 は4モデル、Professional JP は2モデル、Lite 2 は8モデルが販売されている。モデルの違いは、キー仕様、キー配列、キー刻印の有無、色の差異による。
開発経緯
東京大学の和田英一名誉教授の著した1995年度WIDEプロジェクト研究報告書にある個人用小型キーボードを株式会社PFUが具現化したものである。和田によれば、
- キーボードは基本的入力デバイスで生涯使えるものなので、猫の目のように配列が変わらないこと。
- 必要最小限のキーにより、持ち運びの可能な小ささを実現すること。
- UNIXプログラマ向きのキー配列
を重視して作られたとのことである。
和田名誉教授によると「Happy Hacking Keyboard」の代わりに「キー坊」も名称の候補であったという。[1]
製品仕様
製品名 | Professional Type-S | Professional 2 | Professional JP | Lite 2 |
---|---|---|---|---|
キー数 | 60個 | 60個 | 69個 | 英語配列:65個 / 日本語配列:68個 |
キー仕様 | 静電容量無接点 | メンブレンスイッチ | ||
押下圧 | 45g | 55g | ||
ストローク | 3.8mm | 4mm | 3.8mm (カーソルキー:2.5mm) | |
キーピッチ | 19.05mm | 19.05mm (カーソルキー:14.29mm) | ||
キーレイアウト | シリンドリカル・ステップスカルプチャ | |||
サイズ (mm) | 294(W) x 110(D) x 39.9(H) | 294.0(W) x 120.5(D) x 38.6(H) | ||
重さ | 530g | 520g | 680g | |
接続方式 | USB |
Macキット
Lite2 には、Macintoshに対応させるための専用キットである「Macキット」が別売で用意されるほか、スノーホワイトの専用モデル、「HHKB Lite2 for Mac」が販売されている。
Macキットの内容は、コマンドキーやオプションキー、日本語配列の場合に使用する英数、かなキー等、Mac専用のキーが刻印された交換用キートップ、その交換作業に使用する交換用器具、Mac OS / Mac OS X専用のドライバが収録されたCD-ROMが同封されており、HHKB Lite2 for Macではキートップが交換済みになっている。
販売終了モデル
- Happy Hacking Keyboard
- Happy Hacking Keyboard 2
- Happy Hacking Keyboard Lite
- Happy Hacking Keyboard Professional
沿革
- 1996年12月20日 - Happy Hacking Keyboard として発売
- 1997年11月20日 - Macintoshに対応したモデル Happy Hacking Keyboard 2 発売
- 1999年10月13日 - Happy Hacking Keyboard Lite 発売
- 2001年04月02日 - Happy Hacking Keyboard Lite 2 発売
- 2001年08月08日 - Happy Hacking Keyboard Lite 2 2モデル追加
- 2002年08月12日 - Happy Hacking Keyboard Lite 2 2モデル追加
- 2002年12月25日 - Happy Hacking Keyboard Lite 販売終了
- 2003年02月07日 - Happy Hacking Keyboard Lite2用 Macキット発売
- 2003年04月24日 - Happy Hacking Keyboard Professional 発売
- 2004年06月10日 - Happy Hacking Keyboard Lite2 日本語配列 <かな無刻印モデル> 発売
- 2004年10月01日 - 2004年度 グッドデザイン賞受賞
- 2005年02月14日 - Happy Hacking Keyboard Professional 新色追加
- 2005年12月27日 - Happy Hacking Keyboard 販売終了
- 2006年03月24日 - Happy Hacking Keyboard Professional 2 発売
- 2006年03月24日 - Happy Hacking Keyboard Professional 販売終了
- 2006年10月12日 - Happy Hacking Keyboard Professional HG / HG JAPAN 受注販売開始
- 2007年01月25日 - Happy Hacking Keyboard Lite2 for Mac 発売
- 2008年11月14日 - Happy Hacking Keyboard Professional JP 発売
- 2011年06月29日 - Happy Hacking Keyboard Professional Type-S 発売
外部リンク
- 公式サイト
- PFU Technical Review Vol.3,No.1(Feb.1992) pp.1 − 15
- 個人用小型キーボードへの長い道
- 和田英一@日本初ハッカーはちょっと変わった絵を描く
- HHKノートPC 武井信也@マーズフラッグCEO