DAPS
DAPS(Datawest Active Picture System)は、データウエストがCD-ROM黎明期の1990年に世界に先駆けて(?)開発した商用の動画再生を利用したソフトウェア群に採用されたシステムの商標。
それまでのFM TOWNS用ゲームではアニメーションや音楽再生中にCD-ROMからのデータ読み込みが同時並行に出来無い欠点があった。この欠点を克服することから開発された動画エンジンを核に、インタラクティブな機能を付け加えた独自のハイパーテキストのプレイヤーとその開発システム一式のことである。
割り込みの優先順位等が通常のTBIOSとは変更されたものが付加され、CD-ROMから実メモリ空間にバックグラウンドでDMA転送される様なシステムが構築されていた。また、音声再生や音楽再生もこのルーチン内で処理され、PCM楽器サウンドには非常に良質でコンパクトなデータが使われ、DAPSでは内蔵音源のみでBGMを実現していた。
同社制作の各種ゲームや学校教材で使用された。同社の看板ゲーム、サイキック・ディティクティブシリーズや第4のユニットシリーズ等では、デジタルペイントされたセル画アニメーションが使用された。
同社独自のビデオキャプチャ機材も開発され、実写映像も利用可能になると、「平成一のファジイ男」という作品の制作を発表したが諸般の事情で制作できず、NHKエデュケーショナル、トッパンが発売した銀河宇宙オデッセイの第2作目で使用された。その後石見銀山や大阪や神戸でロケハンを行ったミス・ディテクティブシリーズ2作品が制作された。
この動画エンジンは同社の手により、CD-ROMを搭載したSUPER CD-ROM2・メガCD・PC-9821などの各機種にゲームとともに移植されたが、他社のソフトで使われることはほとんどなかった。Windows3.1や次世代機の時代になると、AVIとCinepak、MPEGなどのコーデックの登場により、同社も独自の動画圧縮システムを使用しなくなったが、同社のインタラクティブなゲームには全てDAPSの記載がある。 PC-9821での作品展開では、同一CD-ROMをFM TownsとPC-9821のどちらでも読める仕様でフロッピーディスクをキーディスクと呼ばれる起動方式で、それぞれの機種用キーディスクを添付することでハイブリッド化させた。
ポリゴン画像をリアルタイム表示する「ポリゴンDAPS」なども存在したが、これはセルアニメエンジンの流用であった。
なお現在は、この登録商標資源の有効活用のため、Datawest Automotive Pro-comsumer System. の略であるという意味を付加し、カーナビシステムを販売している。