AOR
テンプレート:独自研究 AORとは、(1)Audio-Oriented Rock(オーディオ・オリエンテッド・ロック)、 (2)Album-Oriented Rock(アルバム・オリエンテッド・ロック)、または、 (3)Adult-Oriented Rock(アダルト・オリエンテッド・ロック)の略語であり、音楽のジャンルの一つである。
目次
歴史
Audio-Oriented Rock
まず、1970年代から1980年代初めにかけて、米国で(1)「Audio-Oriented Rock」という言葉が使われた。 これは「音を重視するロック(音志向ロック)」の意で、パンクムーブメントやHM/HRといった若者向けのラウドなロックとは方向性が異なり、クロスオーバー的なサウンドと大人向けの落ち着いたヴォーカルが特徴である。ミュージシャンとしては、ボズ・スキャッグスやクリストファー・クロス、74年以降のシカゴがあげられる。
日本へは70年代後半に、「AOR(Audio-Oriented Rock)」として略語で音楽ジャンルとして簡単に紹介されたため、その意を正確に理解されないまま普及した。
Album-Oriented Rock
その後、1980年代の米国では「Airplay-Oriented Rock」という「エアプレー重視のロック」という語も使われる一方で、(2)「Album-Oriented Rock」という「シングルチャートを意識したものではなく、アルバム全体としての完成度を重視したスタイル」という言葉が普及した。後者の代表的なアーティストとして、ピンク・フロイドやイエスなどが挙げられる。
Adult-oriented Rock
日本ではAORという言葉が、70年代半ばから80年代前半にかけて、音楽用語としてよく使用された。さらに後の1988年にボビー・コールドウェルの大ヒット曲「Heart of Mine」が紹介される際に、(3)「Adult-oriented Rock」の略語として「大人向けのロック」と独自解釈され、1990年のボビーのジャパン・ツアーに際しては、日本の広告代理店が「AORの代表」と称した。以前から「Adult-oriented Rock」のジャンルにおいては、TOTOとボズ・スキャッグスがその代表であるとされていたが、さらにその印象が強められた。米国では、このジャンルは「Adult Contemporary(AC)」と呼ばれ、ノラ・ジョーンズなどが解りやすい例と言える。ACは近年では更にHot、Soft、Light、Urbanなどと分類されている。 ボズ・スキャッグスは、以前はルーツ・ミュージック志向のロックを演奏し、ヒット曲のないシンガーだった。だが、1976年発表のアルバム『シルク・ディグリーズ』で、後にTOTOを結成するスタジオミュージシャンたちを起用しヒット・アルバムにしたことで、大人向けのACのシンガーとして認知されるようになった。
以上から「AOR」をまとめると、
- 音を重視するのが、Audio-Oriented Rock(主に1970年半ば-1980年代)。
- アルバム全体としての完成度を重視するのが、Album-Oriented Rock(主に1980年-1990年代)。
- アダルト現代音楽は、Adult Contemporary(AC)(1980年代以降)。
近年はAdult Contemporaryの語を除いて、どれも使われなくなってきている。
AORの代表曲の例
- スティーリー・ダン
- 「麗わしのペグ」(1977年)
- ボズ・スキャッグス
- 「ジョジョ」(1980年)
- ボビー・コールドウェル
- 「風のシルエット」(1979年)
- TOTO
- 「ジョージー・ポージー」(1978年)
- 「99」(1979年)
- Chicago
- 「遥かなる愛の夜明け」(1974年)
- 「渚に消えた恋」(1974年)
- 「愛ある別れ」(1976年)
- 「朝もやの二人」(1977年)
- 「HARD TO SAY I'M SORRY」(1982年)
(シカゴはかつては勢いのあるブラス・ロック・グループだったが、74年ごろからAOR路線を歩み始めた。従来のファンや反体制的な音楽を好む層からは『軟弱化』と看做された。)
- CHRISTOPHER CROSS
- 「セイリング」(1980年)
- 「ARTHUR'S THEME (BEST THAT YOU CAN DO)」(1981年)(バート・バカラック作曲)