AO入試
AO入試(エーオーにゅうし、アドミッションズ・オフィス入試)は、出願者自身の人物像を学校側の求める学生像(アドミッション・ポリシー)と照らし合わせて合否を決める入試方法である。A.O.(Admissions Office)とは「入学管理局」の意。
概要
1990年慶應義塾大学の湘南藤沢キャンパス(SFC2学部)が、他に先駆けて導入した。学科試験の結果で合否が決まる一般入試とは異なり、志望理由書、面接、小論文などにより出願者の個性や適性に対して多面的な評価を行い合格者を選抜する。
同様の選抜方式が一律にAO入試と称されている訳ではなく、自己推薦入試(AO入試とは別に自己推薦入試という名前の入試が存在する大学もある)、公募推薦入試、一芸入試等[1]、各学校、各課により名称は様々である。
一部の学部(主に医学部・歯学部・薬学部等)においては、入学後の学業遂行の為必要とされる最低限の学力の確保として大学入試センター試験または大学独自の個別筆記試験を課すことがある。ただし、AO入試はあくまでも点数よりも人物を重視する入試であるので、テンプレート:要出典範囲。例えば、長崎大学医学部医学科の2012年度AO入試では、センター試験で80%以上の点数を取っていなければ合否の選抜対象に入らない。
課題
「中教審」(中央教育審議会)の場で、「AO・推薦入試」が、「大学生の学力低下につながっている」と危惧する声があり、学力を担保するために、新たに設ける学力試験「高大接続テスト」(仮称)を実施すべき[2][3]との検討がなされている。
また、多くの私立大学においてAO入試が、学校経営安定の為の入学者の早期確保の手段となってしまっているという指摘がある。旧来型の推薦入試では出願が11月以降という決まりがあるが、AO入試にはこの規制がないため、夏休み前に合格者を出しているケースも少なくない[4][5]。一方で、入学までに空白期間が生じることを利用し、「入学前教育」を実施している大学が多く出てきている。ベネッセが2005年度にAO入試を実施した大学を対象に調査したところ、74%の大学が入学前教育を行っていた[6]。また、早稲田大学が人間科学部の自己推薦入試を廃止し、教育学部も定員を3分の1にして評定平均の基準を引き上げるなど、各大学にはAO入試から離れる動きもある[7]。
一方、AO入試で入学した学生の方が、一般入試で入学した学生よりも学力が優れているという報告もある。例えばテンプレート:要出典範囲、また、早稲田大学においても、「(AO入試による)入学者の入学後の学業成績も、一般入試による入学者に比べ概ね良好である」と報告している[8]。
また、AO入試で入学した学生の6人に1人が退学しているという調査結果も存在する[9]。
関連項目
脚注
テンプレート:Navbox- ↑ 例:亜細亜大学の一芸一能推薦入試など
- ↑ 「高大接続テスト 大学生の学力低下をどう防ぐ」 読売新聞 社説 2009年1月7日
- ↑ 「学力確保へ高校でテスト 大学と連携して検討」朝日新聞2009年2月8日
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ 「AO入試 青田買いの手段ではならぬ」読売新聞社説 2008年5月12日
- ↑ 『第2部・「全入時代」の幕開け/3 入学前教育』 毎日新聞、2006年12月6日東京朝刊
- ↑ http://sankei.jp.msn.com/life/news/110923/edc11092321330001-n1.htm
- ↑ テンプレート:PDFLink 早稲田大学教務部 2005年度 自己点検・評価報告書、Ⅲ-01-21頁(PDF19頁)
- ↑ AO入試合格者、6人に1人が退学…読売調査 http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20140709-OYT8T50073.html