長崎電気軌道360形電車

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テンプレート:鉄道車両 長崎電気軌道360形電車(ながさきでんききどう360かたでんしゃ)および370形電車(370かたでんしゃ)とは、1961年1962年に導入された長崎電気軌道路面電車である。2009年現在、361 - 367と371 - 377の合計14両が存在する。

車両概説

360形は1961年に日本車輌製造にて7両が製造、370形は1962年に同じく日本車輌製造にて7両が製造された。番号の36は昭和36年(=1961年)、37は昭和37年(=1962年)から取られている。本来は1963年にも380形を7両導入する予定であったが、財政難から導入は370形までで打ち切られた。両形式とも基本的な仕様は共通である。

長崎電気軌道初の全金属車両で、西鉄1000形電車広島電鉄2000形電車の影響を受けて、前面は3枚窓で中央が大きくなっている。長崎電気軌道初の前中戸車になった。車体は軽量構造となり、従来の200形や300形などに比べ約1t軽量化されている。台車は360形がナニワ工機製のNK-25を、370形が日本車輌製造製のNS-17をそれぞれ装着する。

360形の納車後ほどない1962年7月8日、363号が蛍茶屋車庫を出庫する際に無人で暴走し、先行していた365号に追突する事故が発生した。2両とも復旧されている。この事故をきっかけに補助ブレーキが開発、装備された。

370形では先述の衝突事故のためバンパーなどが強化されたほか、排障器の形状が変更され、方向幕の上下寸法が20cmに拡大された。また360形では尾灯が前照灯の左下に1個装備されていたが、370形は方向幕の横左右に尾灯を1個ずつ装備している。

360形は1969年よりワンマン車に改造、1983年に冷房改造された。370形は1968年にワンマン車に改造、1978年に冷房改造された。

1983年から1984年にかけては、一部車両にFMチューナーが装備されていた。

塗装はクリーム色と緑色のツートンカラーが基本だが、広告塗装やラッピングを施されていることも多い。1985年頃には2000形及び1200形の標準塗装に塗り替えられた車両も存在した。

長崎スマートカードへの対応が遅れており、全車両への導入が完了した2008年12月まで大半の車両で使用できなかった。 近年、前照灯がハロゲン灯に順次交換されている。

参考文献

  • 『長崎の路面電車』(長崎出版文化協会・崎戸秀樹)
  • 『ローカル私鉄車両20年 路面電車・中私鉄編』(JTBパブリッシング・寺田裕一) ISBN 4533047181
  • 『日本の路面電車I』(JTBパブリッシング・原口隆行) ISBN 4533034209
  • 『長崎のチンチン電車』(葦書房・田栗優一、宮川浩一) ISBN 4751207644
  • 『長崎「電車」が走る街今昔』(JTBパブリッシング・田栗優一) ISBN 4533059872

外部リンク

テンプレート:長崎電気軌道の路面電車