銀のロマンティック…わはは

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テンプレート:Sidebar with collapsible lists銀のロマンティック…わはは』(ぎんのロマンティック…わはは)は川原泉による少女漫画1986年花とゆめ」(白泉社)3号-7号に連載。単行本は花とゆめコミックスより全1巻。また、白泉社文庫版では「甲子園の空に笑え!」に併録されている。

フィギュアスケートを題材とし、解説も詳しい。また数ページごとにサブタイトルがついている。

あらすじ

クラシックバレエのプロダンサーの子でありながら、自分でもクラシックバレエに向いていないと感じている由良更紗。また、「世界の太もも」「黄金の脚」と呼ばれた日本スピードスケート界の期待の星であったにもかかわらず、不幸な事故で引退した影浦忍。その二人がひょんなことから出会い、またひょんなことからペアを組んでフィギュアスケートの世界に挑戦していく。

国内大会は日本のペアの選手層の薄さもあり、2人の才能も相まって優勝を飾ることができた。しかし、世界大会の壁は厚かった。2人は長所を活かし、ペアでの4回転(クワドラプル)アクセルジャンプに挑む。

登場人物

由良更紗(ゆら さらさ)
天才バレエ・ダンサー由良紘一の娘。父親に教わったバレエより、母親に教わったスケートの方が好きなようである。父親の説教中もバーを使うことなくトウで立ち続けるなどバレエの技量的な才能はあるが、抒情的な表現力は大きく欠ける。
初めてのジャンプでトリプルアクセル(3回転半)を跳んでしまうジャンプ力がある。聖ミカエル学園高等部在学中。
影浦忍(かげうら しのぶ)
元スピードスケーター。競技中に相手選手の走行妨害による事故で負傷し再起不能すれすれになり、一旦は引退を考えるが、ひょんなことからフィギュアスケートに転向。彼もまた初めてのジャンプでトリプルアクセルを跳ぶ。大変な負けず嫌い。時間にうるさい。スカウトされた当初はフィギュアスケートに変な観念があり、辞退しようとしていたが、山田コーチに諭される。由良がお嬢様学校の聖ミカエル学園に在学していると知ると「俺の夢を壊した」と泣く。
スピード現役当時、「世界の太モモ」と称えられていた足が、皮肉にもハンデとなってしまう。
終盤、フィギュアの練習のため上記の負傷が悪化。再起不能の診断を受けながらも、麻酔注射によって最後の世界選手権に出場する。
烏山公明・巴(からすやま きみあき・ともえ)
由良・影浦のコーチ。キラキラ・スケート・クラブ所属。兄妹であり、元ペア・スケーター。
表題である「銀のロマンティック」とは烏山がフィギュアに賭けるロマンティシズムなどを盛り込んだ用語であることが、作中で明らかにされる。
兄弟揃って、独身。
由良紘一(ゆら こういち)
バレエ・ダンサーであり、同時に振付家・演出家として活躍。亡くなった妻に操を立てている。また、影浦の太ももを地獄の特訓によってバレエ・ダンサーの脚にする。「すがりつくような目」で見つめられるのに弱く、ポチを拾ったのも、影浦の太ももの矯正を引き受けたのも、これがきっかけ。
ちなみに、影浦の特訓合宿の前には、「うちのバレエ団の根性のない団員2名を連れて行った」(更紗談)とのこと。
ポチ
由良家の飼い犬。光るものが大好きで、更紗に首輪にしてもらった金メダルを恩義に感じている。野生の感性で嬢ちゃん、坊ちゃん(由良・影浦)の4回転(クワドラプル)ジャンプの踏み切りタイミングのずれに気がつき危険をかえりみず身をもって伝える。
犬と人間の壁にぶつかり怪我を負いながら無償の愛を更紗に捧げる白い犬(ポチ)は、誰からも愛されないが我が道と交わる人の情けが身に沁みて夕陽に涙するダミアン笑う大天使)と好対照でもある。誰からも愛されない黒い犬はこの作品で交際が生まれた三原順のテーマの一つでもある。
山田コーチ(やまだ)
影浦のスピードスケーター時代のコーチ。影浦のフィギュアスケート界入りを勧める。後にキラキラ・スケート・クラブ幼年組のコーチになる。
鈴木・佐藤(すずき・さとう)
ペア・スケーター。性格が悪い。自分たちの移籍後にキラキラ・スケート・クラブに入った由良・影浦ペアがマスコミに取り上げられたのが面白くないので、影浦の脚がフィギュアスケートに通用しないと言い、精神的打撃を与える。しかし、克服した影浦の脚を見て、ショックを受ける。
穴田アナ(あなだ)
フィギュアスケート実況を担当。「穴田の部屋」という番組も持ち、紘一がゲストとして登場した。

書籍情報