ナトリウム
テンプレート:Elementbox ナトリウム(独・テンプレート:Lang-la-short[1][※ 1][※ 2]、テンプレート:Lang-en-short[※ 3])は原子番号11の元素。元素記号は Na。アルカリ金属元素の一つで、典型元素である。医薬学や栄養学などの分野ではソジウム(ソディウム)[※ 3]とも言う。また、ナトリウムの単体金属を指す。消防法第2条第7項及び別表第一第3類1号により第3類危険物に指定されている。
目次
歴史
1807年、ハンフリー・デービーが水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)を電気分解することにより発見した。ナトリウムという名称は天然炭酸ソーダを意味するギリシャ語の νίτρον[2]、あるいはラテン語の natron(ナトロン)[3]に由来するといわれる。
ドイツ語では Natrium、英語では sodium と呼ばれ、何れも近代にラテン語として造語された単語である(現代ラテン語では natrium が使われる)。日本にはドイツ語から輸入され、ナトリウムという名称が定着した。元素記号はドイツ語から Na になった一方、IUPAC名は英語から sodium とされている。
単体
性質
常温、常圧での結晶構造は、BCC 構造(体心立方構造)。融点は98 テンプレート:℃で、沸点は833 テンプレート:℃(他に883 テンプレート:℃、881 テンプレート:℃という実験値あり)。比重は0.97で、わずかに水より軽い。
非常に反応性の高い金属で、酸、塩基に侵され、水と激しく反応する。下記に示される化学反応過程を経て水酸化ナトリウムとなるため、素手で触れると手の表面にある水分と化合し水酸化ナトリウムとなって皮膚を侵す。さらに空気中で容易に酸化されるため、保存する時は灯油に浸ける。後述化学反応に示すようにアルコール等のプロトン溶媒とも反応するがエーテルや灯油とは反応しないため、灯油等を保存液体として使用する。イオン化する時は一価の陽イオンになりやすい。炎色反応で黄色を呈する。
200 GPa(約200万気圧)の高圧下では、結晶構造が変化し、金属光沢を失い透明になる[4]。
生産
水酸化物や塩化物を融解塩電解することによって単体を得られる。カストナー法(原料 NaOH)、ダウンズ法(原料 NaCl)が知られる。2006年まで、新潟県に立地する日本曹達二本木工場が、国内で唯一工業的規模の金属ナトリウム製造を行っていたが、現在は操業を停止している。海外ではフランスのMAAS社とアメリカのDuPont社がダウンズ法で生産している[5]。日本の輸入量は2007年で3055トンであった[6]。またカストナー法は工業生産としては使用されていない。
用途
熱伝導率がよく、高温でも液体で存在するため、単体としては高速増殖炉の冷却材として用いられる。高性能自動車エンジンの排気バルブのステム内部に封入し熱伝導を向上させる用途にも使われる。そのほかに、負極にナトリウム、正極に硫黄を使った、NaS電池がある。これは大型の非常用電源や、風力発電のエネルギー貯蔵に利用される。ナトリウムからの発光(ナトリウムのD線、D1: 589.6 nmとD2: 589.0 nm)はナトリウムランプに使われている。
生体にとっては重要な電解質の一つであり、ヒトではその大部分が細胞外液に分布している。神経細胞や心筋細胞などの電気的興奮性細胞の興奮には、細胞内外のナトリウムイオン濃度差が不可欠である。細胞外濃度は 135–145 mmol/l程度に保たれており、細胞外液の陽イオンの大半を占める。そのため、ナトリウムイオンの過剰摂取は濃度維持のための水分貯留により、高血圧の大きな原因となる。
主な化学反応
- 水と反応して水素を発生させながら水酸化ナトリウム (NaOH) になる。
- Na + H2O → NaOH + 1/2 H2
- 発熱反応・低融点のため水に固体ナトリウムを投げ込むとナトリウムが反応熱で溶融し細粒化して反応面積が激増して爆発する
- アルコール、カルボン酸、フェノール類などのヒドロキシ基と反応して水素を発生させながらアルコキシドなどを与える。
- Na + ROH → RONa + 1/2 H2(アルコール:R = アルキル基、フェノール類:R = 芳香族置換基)
- Na + RCOOH → RCOONa + 1/2 H2
- ハロゲンの単体と結合(反応)して、塩になる。
- Na + 1/2 Cl2 → NaCl
化合物
記事カテゴリ Category:ナトリウムの化合物 も参照。
オキソ酸の塩
- 炭酸水素ナトリウム(重曹)(NaHCO3)
- 炭酸ナトリウム(炭酸ソーダ)(Na2CO3)
- 過炭酸ナトリウム (2Na2CO3・3H2O2)
- 亜二チオン酸ナトリウム(亜ジチオン酸ナトリウム、ナトリウムハイドロサルファイト)(Na2S2O4)
- 亜硫酸ナトリウム (Na2SO3)
- 亜硫酸水素ナトリウム (NaHSO3)
- 硫酸ナトリウム(芒硝)(Na2SO4)
- チオ硫酸ナトリウム(ハイポ)(Na2S2O3)
- 亜硝酸ナトリウム (NaNO2)
- 硝酸ナトリウム (NaNO3)
ハロゲン化物
酸化物・水酸化物
その他の無機塩
- 水素化ナトリウム (NaH)
- 硫化ナトリウム (Na2S)
- 硫化水素ナトリウム(水硫化ナトリウム)(NaHS)
- 珪酸ナトリウム (Na2SiO3)
- リン酸三ナトリウム (Na3PO4)
- ホウ酸ナトリウム (Na3BO3)
- 水素化ホウ素ナトリウム (NaBH4)
- シアン化ナトリウム(青酸ナトリウム)(NaCN)
- シアン酸ナトリウム (NaOCN)
- テトラクロロ金酸ナトリウム (Na[AuCl4])
有機酸塩
同位体
脚注
注釈
出典
関連項目
外部リンク
- ナトリウムの特性(原子力百科事典 ATOMICA)
- ナトリウム冷却システム(原子力百科事典 ATOMICA)
- ナトリウム取扱い技術(原子力百科事典 ATOMICA)
- ナトリウムの安全性(1次系ナトリウム)(原子力百科事典 ATOMICA)
- ナトリウムの安全性(蒸気発生器および2次系ナトリウム) (原子力百科事典 ATOMICA)
- ナトリウム - 「健康食品」の安全性・有効性情報 (国立健康・栄養研究所)
- ナトリウムと水の反応動画
- DuPount社Reactive Metals部門HP
- ↑ http://www.encyclo.co.uk/webster2/search.php
- ↑ 近角、木越、田沼「最新元素知識」東京書籍、1976年
- ↑ 桜井「元素111の新知識」BLUE BACKS、講談社、1997年。 ISBN 4-06-257192-7
- ↑ Yanming Ma et al., "Transparent dense sodium", Nature 458, 182-185 (2009). テンプレート:Doi
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite book
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