絆創膏

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絆創膏(ばんそうこう)とは、傷口や患部の手当てに用いられる衛生材料の一種である。

種類

絆創膏には、救急絆創膏、水絆創膏、テープ絆創膏などの種類がある[1]

救急絆創膏

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救急絆創膏を裏返したところ
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救急絆創膏のテープを剥がしたところ

粘着部のシートの中央部に不織布製のパッドが取り付けられたもので創傷面の保護に用いられる。傷口を清潔にした状態にし、剥離紙をはがしてパッド部分を創傷面に貼りつけて細菌の侵入や感染を予防する。近年では湿潤療法に合わせた商品も増えてきている。日本においては救急絆創膏は薬事法によって医薬品医薬部外品医療機器の3つの種類に区分されている[1]。パッド部分に殺菌消毒薬(アクリノール、塩化ベンザルコニウムなど)を含み殺菌消毒効果を有しているものが医薬品医薬部外品に、パッド部分に薬剤を含んでいないものが医療機器に分類される[1]

バンドエイドジョンソン・エンド・ジョンソン)、カットバン祐徳薬品工業)、サビオニチバンライオン)、オーキューバン(ニチバン)、リバテープ(リバテープ製薬)、キズガード(大正製薬)等の商品が知られており、それぞれの販路の地域で救急絆創膏の一般的呼称として現在浸透している。

水絆創膏

水(みず)ばんそうこう。液体絆創膏とも。コロジオンを主成分とした接着剤のような液体を患部に塗布し、乾燥させることで被膜を形成し細菌の侵入等を防ぐ。被膜が患部に密着するため皮膚の屈伸に強く、また、にも強いという特長を有する。コロスキン(東京甲子社)、サカムケア小林製薬)、リュウバン大木製薬)等の商品が知られている。

なお、塗布時に一瞬しみることがある旨の注意書きが控えめになされている。

最近本製剤を縫合が必要な深い傷に塗用した後に病院を受診する患者が増加している。本製剤を深い傷に使用すると創傷治癒を妨げる事があり、膿瘍形成の原因となったりケロイドを生じる可能性がある。また塗用後に縫合するには本製剤を除去する必要があるため、デブリードマンを要する。あくまで本製剤の適応は「浅い切り傷」であり、注意書きにもあるように「深い傷には用いない」ように留意する必要がある。

テープ絆創膏

サージカルテープ、粘着包帯、伸縮性粘着包帯などがテープ絆創膏に分類される[1]

歴史

絆創膏は初め、粘着テープであった。粘着テープの始まりは膏薬(Plaster)である。18世紀以前は硬膏、たとえばダイアキロン硬膏などは棒状で売られている膏体を熱して軟らかくし布や皮に塗布して使っていたが均一に塗りにくく、膏体にひび割れが入るなど不便であった。18世紀後半にはドイツ松脂蜜蝋などを加え柔軟性と粘着性が改良された「松脂硬膏」が開発され、便利になる。その後、松脂硬膏は薬剤や配合剤が加えられ各種の膏薬が開発されたがまだ膏体そのものは粘着剤とはいえなかった。

19世紀半ばになりゴム工業が盛んになると、これらのゴム技術を用い樹脂と蜜蝋に天然ゴムが加えられる。これにより膏体の粘着性は画期的に良くなる。ゴムの入った膏体をヘンリー・デイが開発し、1845年にW.H.シカットと2人でU.S.特許を得ている。2人が開発した膏体は天然ゴムを配合したためよく貼り付き、きれいに剥がれる性質を示し粘着剤の特性を持っていた。アメリカではこの時、膏体という薬品名がAdhesive Plasterに変更されイギリスではResin Plasterといまだに呼ばれていた。

救急絆創膏は1921年にアメリカ・ニュージャージー州のアール・E・ディクソン(後のジョンソン・エンド・ジョンソン社の副社長)が考案した「バンドエイド」が最初といわれる[1]。その後さらに改良を重ね、今日まで色々な種類の絆創膏が開発されるようになっている。日本では1948年に初めてニチバンニチバンQQ絆創膏という商品名で救急絆創膏を発売[1]。以降、各社から発売されている。

脚注

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  1. 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 テンプレート:Cite web