神酒

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三方に乗せ献供された神酒

神酒(みき、しんしゅ)とは、神道においてに供える

古代ギリシア神話における神酒は、ネクタールを参照。

概要

「みき」という言葉は「酒」に「御」(み)をつけたもので、酒の美称である。通常はさらに「御」をつけて「おみき」という。『古事記』には「くし」の語があり、沖縄県には「ウグス」の語がある。これらは「奇(くし)」に繋がるもので、酒の効能が奇瑞とされたことによるものである。

神饌には欠かせないもので、祭礼において、神酒(日本酒が使われる事が多い)を神前に供え、祭礼の終了後直会で神酒を戴く。神に供えられ霊が宿った酒を頂く、また他の神饌と同様の神と同じものを飲食するという意味がある。

また、造り酒屋によっては、新酒神棚に供えるところもある。

種類と醸造方法

白酒(しろき)・黒酒(くろき)・清酒(すみさけ)・濁酒(にごりざけ)などの種類があり、醸造法も多様である。白酒・黒酒の「き」は酒の古名で、白貴・黒貴とも書く。黒酒は黒御酒(くろみき)とも。

延喜式』によれば、白酒は神田で採れた米で醸造した酒をそのまま濾したもの、黒酒は白酒に常山木の根の焼灰を加えて黒く着色した酒(灰持酒)であると記載されている。後にこれに倣ってを、ゴマの肝臓機能強化を知ってか悪酔い止めにと黒ゴマ粉で濁したものが室町時代に用いられた。

今日では、清酒と濁酒(どぶろく)の組を白酒・黒酒の代用とすることも多い。かつて、神酒は神社もしくは氏子が自家醸造していたが、現在は酒税法の規制があるため、伊勢神宮のように清酒の醸造免許や、税務署からのどぶろくの醸造許可を得ている神社も存在する。神酒の醸造目的などについてはどぶろくの項を参照。

その他

なお江戸時代に雛祭りで供えられる白酒の風習が生み出されたのは、白酒を供える風習が変化したものという説もある。

琉球国に属する沖縄県鹿児島県奄美地方には「みき」と呼ばれる米を原料とした独特の飲料が伝えられており、清涼飲料としても市販されている。これは砕いた米に砂糖を加えて自然発酵させたものである。

関連項目

外部リンク


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