硫酸アルミニウム
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硫酸アルミニウム(りゅうさんアルミニウム、Aluminum sulfate)はアルミニウムの硫酸塩で、化学式 Al2(SO4)3•16H2O で表される無機化合物。
概要
比重1.96の無色の針状結晶。熱すると泡をだして結晶水を失い無水塩 Al2(SO4)3 (比重2.71)となる。水に可溶。工業的にはボーキサイト、粘土などを硫酸で処理してから不純物を除いて作る。鉄イオンを含まない高純度品は精製水酸化アルミニウムを硫酸に溶解させて製造する。
水溶液から結晶化する際-19—95℃で16水和物が得られるが、他にも27、18、10、6水和物も知られている。
合成・製造
- <math>
\rm 2Al(OH)_3 + 3H_2SO_4 + 10H_2O \longrightarrow Al_2(SO_4)_3.16H_2O </math>
硫酸アルミニウム(14%固形換算値)の2008年度日本国内生産量は 757,780 t、工業消費量は 111,337 t[1]。
用途
水の浄化剤(凝集剤)、皮なめし剤、媒染剤、レーキ顔料の製造、製紙用の定着剤(歩留向上剤)やピッチコントロール剤、医薬(収斂剤)などに広く用いられているほか、化学泡消火器、コンクリートの硬化促進剤や殺なめくじ剤などにも使用される。製紙用薬品として重要であるが、硫酸アルミニウムを使用した紙には硫酸根が残り、これによって紙の酸性度が高まるため酸性紙と呼ばれ、数十年で劣化しやすく、長期保存上の問題が生じることがあるほか、塗工紙をリサイクルして原料とした場合、表面に塗工されている炭酸カルシウムと反応して硫酸カルシウムが生じ、装置にスケールと呼ばれる石膏状の付着物を生じさせる問題もある。
脚注
参考文献
- 水町 邦彦、「硫酸アルミニウム」、『世界大百科事典』、CD-ROM版、1998年。