百万塔陀羅尼
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百万塔 陀羅尼(ひゃくまんとう だらに)とは、日本の奈良時代に、鎮護国家と滅罪を祈願するために、100万の小塔に納めて、仏教寺院に奉納された陀羅尼である。塔は百万塔と呼ぶ。
背景
天平宝字8年(764年)に藤原仲麻呂の乱を平定した称徳天皇は、戦死した将兵の菩提を弔うと共に、鎮護国家を祈念するために、6年の歳月を掛けて宝亀元年(770年)に『無垢浄光大陀羅尼経』に基づいて、陀羅尼を100万巻印刷し、小型の塔に納めて10万基ずつ大安寺・元興寺・法隆寺・東大寺・西大寺・興福寺・薬師寺・四天王寺・川原寺・崇福寺の10大寺に奉納した。
これらの塔はそのほとんどが火災で焼失、あるいは散逸し、2005年現在、法隆寺に4万数千基が残っているほかは、博物館や個人に数基所蔵されているのみである。
概要
陀羅尼を版(木製か金属製かは不明)に凸状に彫り、その上に幅4.5cm、長さ15cm~50cmの虫食い防止のために黄檗で染められた紙を載せて印刷した。また、紙を下にして捺印方式で印刷したという説もある。ちなみに、2005年現在、確認出来る世界最古の印刷物である。 これほど大量の印刷物を1つの木版で印刷することは、木版が磨耗するために不可能であることから複数の版を使って印刷したことだけは確かである。 その際に複数の木版を彫ったのではなく、鋳造で複製した金属活版を用いて印刷した可能性も指摘されている。
陀羅尼を納める塔は、小さな三重の塔で、中国より伝来したロクロを使用した木製で、白い染料が塗布されている。