特殊メイク
特殊メイク(とくしゅメイク、Special Makeup/Special Effects Makeup)とは映画のSFXのひとつで、主に俳優の顔に色々な人工物を付けて別の顔に作り上げる技術のこと。顔だけではなく体中に施される場合もある。具体的には、怪我をしている皮膚の表現や、狼男やフランケンシュタインのような怪人の顔・体の表現などに用いられる。アメリカ映画「猿の惑星」では特殊メイクによって俳優が猿を演じた。
技法
最もポピュラーな技法として『アプライエンス(装具)メイク』という物がある。これは、フォームラテックス(液状の特殊ゴム素材=ラテックスをミキサーで撹拌・発泡させた後、オーブンで焼き上げ、柔らかいスポンジ状にした物)やシリコン、ゼラチン等から作られた様々なパーツを演者の身体に貼り付ける事で行われる。
その他に、メイク用のパテを直接顔などに盛り付けて成形する『ビルドアップメイク』などがある。
アカデミー賞にはこのような技術を評価するためのメイクアップ賞がある。
難点としては、メイクに時間が掛かる上に(複雑な物では10時間近く掛かる例もある)、一度メイクを施したらなるべく多くのシーンを撮影する事が望まれるため、役者を長時間に渡って束縛する必要がある。近年はこの分野もCGへの置換が進んでおり、身体のパーツの一部をCGに置き換える例や、『アバター』の様にモーションキャプチャーで役者を丸ごとCGキャラクターに置き換えてしまう例などがある。
英語では『special makeup』、『special effects makeup』などと表記される。映画によって表記に細かい違いがあるが、特殊メイクであることに変わりはない。ただし『prosthetics』、『prosthetics makeup』、『prosthetics effects』などは特殊造形、またはそれに近いものを表す。
他にも『creature effects』はクリーチャー(モンスター)造形(もしくはクリーチャー系の特殊メイク)、『dental prosthetics』は義歯、『animatronic effects』はアニマトロニクス、『mechanical effects』は特殊装置(もしくは前述のアニマトロニクス)を表す。何れも明確な定義はなく、混同されているケースも多いので、マイナーな作品や古い作品では注意が必要である。
著名な特殊メイクアーティスト
著名な特殊メイクアーティストには、ディック・スミス、リック・ベイカー、スタン・ウィンストンなどがいる。
- ディック・スミス
- リック・ベイカー
- スタン・ウィンストン
- トム・サヴィーニ
- ADI(Amalgamated Dynamics, Inc.) (アレック・ギリス、トム・ウッドルフJr.)
- KNB EFX(ロバート・カーツマン、グレゴリー・ニコテロ、ハワード・バーガー)
- ロブ・ボッティン
- ジャンネット・デ・ロッシ
- セルジオ・スティヴァレッティ
- ケヴィン・イェーガー
- スティーヴ・ジョンソン
- リチャード・テイラー
- ジョン・カール・ビュークラー
- オラフ・イッテンバッハ(映画監督だが、特殊メイクアーティストでもある)
- ヴィ・ニール
- マシュー・マングル
日本の特殊メイクアーティスト
- 松岡象一郎(特殊メイク・特殊造形 特殊衣装 光ファイバーオブジェ 株式会社ジーエムアトリエ設立)
- 米塚尚史(特殊メイク・特殊造形 有限会社ハウンテッド設立)
- 原口智生
- 松井祐一
- 江川悦子
- スクリーミング・マッド・ジョージ
- 辻一弘
- 福岡洋一
- 若狭新一
- 織田尚
- 小西修(特殊メイク・特殊造形 有限会社アトリエシュウ設立)
- 西村喜廣
- ピエール須田
- 梅沢壮一
- AKIHITO- TVチャンピオン3連覇達成
- TOMO
- 藤原鶴声
- JIRO - TVチャンピオン2連覇達成(特殊メイク・特殊造形 有限会社 自由廊 設立)
- 征矢杏子
- 大村公二
- 中田彰輝(特殊メイク・造形工房 M.E.U元主催者、現ZOMBIE STOCK代表取締役)
- 宗理起也(特殊メイク・特殊造形・特殊衣装 the Picture's Frogs.)
- 仲谷進
- 矢田弘(2013年、エミー賞の特殊メイクアップ賞を受賞)
- 飯田文江(特殊メイク・特殊造形 株式会社エム・イー・ユー代表)
TVチャンピオン「特殊メイク王選手権」
TVチャンピオンで行われた「特殊メイク王選手権」(2007年4月19日放送)では梅沢壮一(2度目の出場)が優勝した。 現在のチャンピオンは梅沢壮一、歴代出場者はピエール須田(初代王者) AKIHITO(二代目王者) JIRO(三代目王者) TOMO 藤原鶴声 など