火災旋風
火災旋風(かさいせんぷう)とは、地震や空襲などによる都市部での広範囲の火災や、山火事などによって、炎をともなう旋風が発生し、さらに大きな被害をもたらす現象である。しかし、旋風の発生条件や発生メカニズムは未解明である。一方、旋風の温度は1000℃を越えるとされ輻射熱による被害も生じる[1]。竜巻に似た外観になることあるが、竜巻は上空の大気状態により発生する全く別のものである。
概要
個々に発生した火災が空気(酸素)を消費し、火災の発生していない周囲から空気を取り込むことで、局地的な上昇気流が生じる。これによって、燃焼している中心部分から熱された空気が上層へ吐き出され、それが炎をともなった旋風になる。さらに、これが空気のあるほうへ動いていき、被害が拡大していく。火災旋風の内部は秒速百メートル以上に達する炎の旋風であり、高温のガスや炎を吸い込み呼吸器を損傷したことによる窒息死が多く見られる。火災旋風は、都市中心部では、ビル風によって発生する可能性が指摘されている。
過去、1755年リスボン地震、1923年の関東大震災で約4万人が焼死した本所被服廠跡[2]をはじめ多数発生しており、1943年のハンブルク空襲、1945年のドレスデン大空襲、東京大空襲、広島市への原子爆弾投下、長崎市への原子爆弾投下などの大規模な空襲によっても発生が確認されている。近年では、カリフォルニア州で発生した大規模な山火事に伴い発生した小規模の火柱が映像として捉えられ、メディアにも取り上げられた。
第二次世界大戦後に発生した事例
- 1995年 阪神・淡路大震災
- 2003年 カリフォルニア州南部の山火事(Cedar Fire)
発生が指摘されている例
東京湾を震源とする南関東直下地震が、18時ごろに発生した場合、都内数千箇所で火災が起こると試算されている。風速15mの風が吹いていた場合、東京の住宅街・オフィスビル周辺などに巨大な火災旋風が発生するおそれがある。ただし、1923年の関東大震災は、夏場の昼に地震が起き、火災旋風も発生している。火災が密集していれば季節に関係なく発生する可能性がある。
脚注
- ↑ 火災旋風の研究日本流体力学会誌「ながれ」 Vol.19(2000) No.2 P 81-87
- ↑ 相馬清二:被服廠跡に生じた火災旋風の研究地學雜誌 Vol.84(1975) No.4 P 204-217
外部リンク
- テンプレート:PDFlink 京都大学 数理解析研究所 数理解析研究所講究録 1081巻 1999年 180-191
- 火災旋風 ふじみ野市消防団