エノキタケ

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エノキタケ(榎茸、学名:Flammulina velutipes(Curt.:Fr.)Sing.)はキシメジ科キノコの一種。子実体は古くから食用とされ、エノキダケナメタケナメススキユキノシタとも呼ばれ、特に食用のものについてはしばしば「えのき」と縮めて呼称される。 レシピなどで「えのきだけ」という表記がよく見られるが、キノコの意味の「タケ」は連濁しない(キノコの図鑑に「~ダケ」という名のキノコは一つもない)ので、誤りである。

特徴

エノキ、カキ、コナラ、クワ、ポプラ、ヤナギなどの広葉樹の枯れ木や切り株に寄生する木材腐朽菌。子実体の発生時期は気温の低い季節であり、晩秋から初春にかけて、雪の中からでも発生する。かさは直径2 - 8 cmで中央が栗色あるいは黄褐色で周辺ほど色が薄くなり、かさのふちは薄い黄色またはクリーム色である。かさの表面はなめらかで強いぬめりと光沢がある。かさは幼菌では丸みが強く、のちしだいに広がり、まんじゅう型からのち水平に近く開く。ひだは上生・ややまばらでクリーム色あるいは白。柄は高さ2 - 9 cm 、直径2 - 8 mmで中空・繊維質である。太さは上下ほとんど同じ。柄の表面は細かい毛におおわれビロード状、上部は茶色で下に行くほど色が濃くなり根元は黒褐色となる。この柄の特徴がこのキノコを見分ける最大の特徴であり、このため「アシグロナメコ」の名で呼ばれることがある。香りは温和。

売られているエノキタケのほとんどは光を当てずに栽培したものである。菌類は光が要らないと思われがちであり、実際、光合成は行なわず、成長そのものには不必要ではあるが、多くの菌類は子実体胞子形成において光の影響を受ける。光のあるところに出て胞子を作る方が胞子を広く飛ばせる可能性が高いため、光を求める性質を持っているのである。従って、光のない場所で子実体形成を行なわせれば、光を求め、もやしのように細長く頼りない姿になる。エノキタケも光のある場所では、柄が短くしっかりした傘を持つ濃い色のキノコの姿になる。

食用

野生のものは加熱すると粘りが出るため、それを生かした料理に適する。鍋物や炒め物、煮物に使われる。中国では便秘の特効薬として使われる。

また、瓶栽培(後述)したものを煮てとろみをつけて味付けしたものが「なめ茸」「ナメコ」などの名称で瓶詰め等として市販されている。

なお、生のエノキタケに含まれる蛋白質のフラムトキシン(加熱により分解)には、強心作用も有ると言われているが、溶血作用があるので必ず加熱して食べる必要がある[1]

また、シイタケなどほかのキノコ類と同様に[2]、栽培用培地の成分により発生する子実体に含まれる栄養成分は変動する[3]ため、栄養価として一般に公開されている成分は目安となる。

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100g中の食物繊維[4]
項目 分量
炭水化物 7.6 g
食物繊維総量 3.9 g
水溶性食物繊維 0.4 g
不溶性食物繊維 3.5 g

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栽培

今日、工場における瓶栽培によって1年中出回るきのこであるが、野生のエノキタケと非常に異なる姿のモヤシ状態に育てたものが一般に出回る。そのため、野生、或いはほだ木栽培(原木栽培)のエノキタケと、瓶栽培(菌床栽培)のエノキタケでは味覚も極端に異なる。瓶による人工栽培法は長谷川五作が考案し、1931年(昭和6年)頃から長野県松代町で始められ、1942年(昭和17年)に一時中止となったが1953年(昭和28年)に再開、1960年代には全国に広がった[5]。金額ではシイタケに及ばないが、日本でもっとも多く生産されるキノコである。2010年(平成22年)に140,951トン、328億円が生産された[6]

研究

  • 栽培室内のオゾン(O3)濃度は子実体の発生量とビタミンB、ビタミンCの含有量に影響を与える[7]
  • 長野県による疫学調査では、エノキタケ生産農家のガン発生率は有意に低い[8][9]

類似の毒キノコ

  • コレラタケ - エノキタケの廃培地から発生することもあり、「食用キノコを収穫した後に生えるから大丈夫」と誤解され、食中毒を起こす。

参考画像

脚注

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関連項目

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外部リンク