検案
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死体の検案(けんあん)とは、医師が死体に対し、死亡を確認し、死因、死因の種類、死亡時刻、異状死との鑑別を総合的に判断することをいう。
死体検案の結果、死亡を確認し異状死でないと判断したら、医師は死体検案書を作成する。異状死の疑いがある場合は警察に連絡し、検察官または警察官が検視を行うことになる。検案には解剖を行うことは含まれない。
死体検案書の意義
- 人間の死亡を医学的・法律的に証明する。
- 死因統計作成の資料となる。
- 刑事・民事事件の証拠や保険の認定、査定の資料となる。
死体検案書と死亡診断書
医師が治療中の患者が、その傷病で死亡した場合は、死亡診断書が作成される。なお、この場合、治療中の患者を死亡直後に医師が診る行為は「検案」ではなく「診察」とされる。[1]
それ以外の場合(医師が治療中でない人が死亡した場合、治療中の傷病以外の原因で死亡した場合)には、死体検案書が作成される。[1]
検案の根拠法令と医師の義務
- 作成交付義務
医師法19条2項により、検案を行った医師は遺族に死体検案書(死亡診断書)を交付する義務がある。
- 異状死体等の届出義務
医師法21条により、死体に異状があった場合には、検案した医師は24時間以内に所轄警察署に届け出る義務がある。
戸籍との関係
戸籍法86条2項により、市区町村の戸籍係に死亡届を提出するには、死体検案書または死亡診断書が必要である。ただし、やむをえない理由があるときは、死亡を証明する書面を提出し、死体検案書または死亡診断書が提出できない理由を届出書に記載することで死亡届を提出することができる。(戸籍法86条3項)
脚注
- ↑ 1.0 1.1 厚生労働省死亡診断書(死体検案書)記入マニュアル