春節
春節(しゅんせつ)とは旧暦の正月である。中華圏で最も重要とされる祝祭日であり、新暦の正月に比べ盛大に祝賀され、中国や台湾のみならずシンガポールなどの中華圏国家では数日間の祝日が設定されている。
この項目では中華圏での旧正月としての春節を取り上げ、その他の地域での旧正月については旧正月の項目を参照されたい。
表現
春節は中国では過年とも表現され混同されているが、民間での習慣では過年は旧暦12月23日の祭灶(一部地方では12月8日の腊祭)から旧暦正月15日の元宵節までの期間を示すものである。
春節は正月初一を示す言葉であり、古代においては元旦と称されていた。元とは始まるの意味であり、旦とは日の出を示す象形であることから、元旦は最初に日が昇る一日、すなわち正月を示す言葉となった。
また春節は年、月、日の始まりであることから「三元」とも、それぞれの最初の朝であることから「三朝」とも称されることがある。
由来
旧暦の正月を祝う風習は文献資料で四千年以上前にさかのぼることが出来る。古代中国の王であった舜は、臣下を率いて天を祭祀した記録があり、これが春節の起源とされるが、前漢武帝の時代以前は元旦の日付が統一されていなかった。夏代は夏暦の元月を正月としていたが、殷代になると夏暦の十二月を正月とされ、周代になると十一月を正月、秦代になり十月を瑞月(始皇帝の嬴政の名諱により同音の「正」を「瑞」に改めた)とした。前漢の武帝の代に行われた太初改暦の際に夏暦の元月を正月に定められ、それは清滅亡まで続いた。
清滅亡後に成立した中華民国では暦法に西洋諸国と同じグレゴリオ暦が採用され、1912年1月1日を民国元年1月1日とする暦法が採用された。その後の国共内戦を経て中華人民共和国が成立する直前の1949年9月27日、中国人民政治協商会議第一次全体会議において、新中国成立の際にはグレゴリオ暦を採用することが決定され、新暦の1月1日を元旦、旧暦の正月初一を春節とすることが決定され現在に至っている。
伝承
古代中国では年末年初に腊祭を行い先祖や衆神への祭祀が行われ、合わせて豊作を祈念することが一般的に行われていた。春節の来歴に関しては万年という人物の伝承が民間に伝わっている。
勤労かつ善良な少年であった万年は生活の中で樹木の陰影が時期により移動することや水滴の滴る様を見て時間に対する規律性を発見した。当時の民衆は時間に対する規律性を知らなかったために農業などで大きな不便を感じていた。万年はこれらの事象から四季を区別し草暦を編み出した。草暦を知った天子はこれを賞賛し春を一年の最初とし春節と名付けることを命じた。
その後万年は不完全であった草暦を完全なものとするため研究を続け、老人になり更に正確な暦を作成、その功労として天子によりそれは万年暦と命名され、万年は寿星に封じられた。人々は春節を迎えることを過年と表現し、家々では寿星図を準備し万年の功績をしのんだとされる。[1]
習慣
春節での習慣としては、起床後に年配者に対して長寿を祝う言葉を述べ、その後近隣住民や知人と春節を祝う言葉を述べ合うものがある(拝年)。
また正月料理も存在しており、一般に鶏(吉と同音)や魚(余と同音)を食べるとされるが、広大な中国の中では地方により正月料理も大きく異なる。北方では餃子が知られており、南方では一年が甘くなるようにとの願いを込めて糖蓮子や元宵、糖年糕を食べる習慣がある。
また家庭では春節用の衣装を用意し、新年の華やかさを演出するだけでなく、新年に幸運をもたらす意味を持たせている。
そのほかの習慣に関しては関連項目も参照のこと。
春節(初一)
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法律
中国
中華人民共和国では春節は国定祝日とされ、2008年1月に施行された新しい『労働契約法(労動合同法)』では春節から3日間を祝日と定めている。
一般に企業は春節の前後7日を長期休暇としており、その前後は都市部から地方に帰省する人々で中国の公共機関は大混雑となる。
脚注
- ↑ 趙紅 祁賦『中国伝統節日習俗』安徽文芸出版社 2007年
関連項目
外部リンク