広鼻下目

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広鼻下目(こうびかもく、学名:Platyrrhini)、または広鼻類広鼻猿(類)は、霊長目サル目直鼻猿亜目タクソンの一つ。最近は広鼻小目(こうびしょうもく)とされることもある。

南米に生息するグループであることから、別名「新世界ザルNew World Monkey と呼ばれる。これに対して、ユーラシアアフリカに分布する狭鼻猿類のうち、ヒト上科に属する類人猿およびヒトを除いたもの、すなわちオナガザル上科に属するオナガザル類とコロブス類のことを、「旧世界ザル」と呼ぶ。

クモザルマーモセットなど、約50種が現生する。鼻の穴の間隔が広く、穴が外側に向いていることが特徴である。

旧世界ザルとの平行進化および起源

アジアやアフリカにすむ狭鼻下目(旧世界ザル)とは独立して進化したが、両者には社会構造や習性などに共通点が見られる。これは平行進化によるものである。たとえば、旧世界ザルのコロブスと、新世界ザルのクモザルは、ともに前肢の親指が退化してしまっている。旧世界ザルのフクロテナガザルと新世界ザルのホエザルは、発声器官が発達し、非常に大きな声を発する。さらに、旧世界ザルのチンパンジーヒトと、新世界ザルのオマキザルは、知能がたいへん発達しており、道具を使用する。以上のように、多くの平行進化の例が、旧世界ザルと新世界ザルの間で見られる。

新世界ザルは中新世にはアジア・アフリカに住む旧世界ザルとは既に分岐していた。この時代の南米大陸は海によって周囲から隔絶された島大陸であった。そのため新世界ザルの祖先は海を経由して他の大陸から南米に渡ってきたと考えられる。小型のサル類ならば流木等に乗って漂着できた可能性も高いためである。当時、北米大陸においてはサル類が既に絶滅していた。そのため南米の新世界ザルの祖先はアフリカ大陸から大西洋経由で南米大陸に渡って来たとの説が有力であるが(アフリカ大陸と南米大陸は当時は既に分裂していたが、両大陸間の大西洋は現在よりは狭く距離は近かった)、北米のサル類が絶滅する直前に南米に渡ってきて進化した可能性もある。

霊長類真猿下目狭鼻下目旧世界ザル)と広鼻下目(新世界ザル)とが分岐したのは3000-4000万年前と言われている[1][2]

広鼻下目のヨザルは1色型色覚でありホエザル狭鼻下目と同様に3色型色覚を再獲得している[3]が、これらを除き残りの新世界ザル(広鼻下目)はヘテロ接合体X染色体を2本持つメスのみが3色型色覚を有し、オスは全て色盲である。これは狭鼻下目のようなX染色体上での相同組換えによる遺伝子重複の変異を起こさなかったためである[1][2]

分類

脚注

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関連項目

外部リンク

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  1. 1.0 1.1 三上章允霊長類の色覚と進化2004年9月18日。 京都大学霊長類研究所 東京公開講座「遺伝子から社会まで」のレジュメ
  2. 2.0 2.1 Surridge et al. Trends Ecol. Evol. 18, 198-205, 2003
  3. 研究の背景 テンプレート:リンク切れ