折形
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折形(おりがた)は、贈答や室礼などの際に用いられた、紙を折って物を包む日本の礼儀作法の1つ。折り方や折型とも書く。 折形の名称は、現在では折紙と呼ばれている紙を折ることや折ったものの江戸時代中期頃の呼称で、江戸時代初頭は折据(おりすえ)、明治時代には折り物と呼ばれていた。現在、折形と呼ばれるものは、折紙のうち儀礼折紙や実用折紙と呼ばれる範囲である。儀礼折紙や実用折紙を折形と、遊戯折紙と分けて呼ぶようになったのは昭和初期頃とされる。礼法学者、美学者であった山根章弘は、本来折紙礼法(おりがみれいほう)と呼ばれていた礼法折形が、遊びの折紙と混同され本来の姿を留めなくなってきたため、遊戯折紙と折紙礼法を明確に分ける為に、「折る方法」と読まれ誤解を招きやすい呼称「おりかた」を「おりがた」と呼び直した。
歴史
平安時代より贈答をする際には進物を紙で包むようになり、室町幕府には各武家で独自の折形が設定されている。江戸時代に入って和紙が安価に大量に出回り、庶民に広まるようになると数が爆発的に増えたとされる。赤飯に添えるごま塩包み、香包み、金包み、扇包み、のし包みなど、それぞれの紙の折り方が考案されて、それぞれの各家や流派によって伝承された作法がある。吉事には2枚、凶事には1枚で折るという作法など、ほとんどの流派で共通している作法も多い。
平安時代の朝廷には進物所が、鎌倉幕府には進物奉行・贈物奉行が、室町幕府には折紙方が設置されて、折形を研究し、江戸時代には伊勢流礼法などの礼法が誕生した。
時代や流儀によって異なるが、紙は大高壇紙、奉書紙、美濃紙、半紙などを格式によって使い分けられることが多い。文様を描いた紙などが用いられることもあり、江戸時代には千代紙などを使った遊戯折紙も発展した。