岩手開発鉄道日頃市線
|} 日頃市線(ひころいちせん)は、岩手県大船渡市の盛駅から岩手石橋駅に至る岩手開発鉄道の鉄道路線である。同じく岩手開発鉄道の路線で盛駅から赤崎駅に至る赤崎線(あかさきせん)についてもここで述べる。
両路線とも貨物線で、実質的には1路線として機能している。大船渡市内陸部にある大船渡鉱山で採掘した石灰石を岩手石橋駅で積み込み、盛駅を経由して同市赤崎町にある赤崎駅まで輸送し、太平洋セメント大船渡工場まで運んでいる。 かつて日頃市線では旅客営業が行われていたが1992年に廃止されている。
路線データ
- 路線距離(営業キロ):
- 日頃市線:盛 - 岩手石橋間 9.5km
- 赤崎線:盛 - 赤崎間 2.0km
- 軌間:1067mm
- 駅数:
- 日頃市線:4駅(盛駅・岩手石橋駅および途中駅含む)
- 赤崎線:2駅(盛駅含む)
- 複線区間:なし(全線単線)
- 電化区間:なし(全線非電化)
- 閉塞方式:自動閉塞式
※特記無ければ両路線とも同じ。
運行形態
石灰石輸送貨物列車が岩手石橋 - 赤崎間に運転されている。以前は深夜まで運行されていたが、産出量減少のため2003年頃から平日の日中のみの運行になっており、土曜・日曜は全便運休となっている。
旅客列車は、1992年の旅客営業廃止直前時点で朝2往復、夕方1往復の計1日3往復が運行され、うち朝の1往復は盛 - 日頃市間の区間運転であった。
- Akasaki Station Premises.JPG
赤崎線終端部から赤崎駅構内を望む。
(2006年10月9日) - Iwate Development Railway Rolling Stock Factory.JPG
盛駅の岩手石橋側に設けられた車両工場
(2006年10月9日) - Sakari Station Premises-3.JPG
旅客営業廃止後も残る盛駅のホーム。
(2006年10月9日)
歴史
地域振興や林産資源などの輸送のため、大船渡線盛駅から遠野市にある釜石線平倉駅までを結ぶ鉄道として計画された。1941年に着工したが太平洋戦争中は工事が中断。戦後再開し、1950年に日頃市線として盛 - 日頃市間が開業した。1957年にはセメント工場のある赤崎までの赤崎線が開設され、セメント輸送を開始した。その後、日頃市線が長岩鉱山のある岩手石橋まで延伸され、小野田セメント(現在の太平洋セメント)の石灰石輸送を開始した。
日頃市線では開業当初から旅客営業も行っていたが、利用者がきわめて少ない上に運賃を安価に設定するなど、収益を期待できるものではなかった。貨物輸送の減少から旅客輸送を行う経営的余裕がなくなり、1992年に廃止された。なお、沿線のほぼ全線にわたって国道107号が並行しており、岩手県交通大船渡営業所のバスが運行しているため、代替バス路線の設定は行われなかった。
- 1950年(昭和25年)10月21日 - 日頃市線 盛 - 日頃市間が開業。
- 1957年(昭和32年)6月21日 - 赤崎線 盛 - 赤崎間が開業(貨物営業のみ)。
- 1960年(昭和35年)6月21日 - 日頃市線 日頃市 - 岩手石橋間が開業。
- 1992年(平成4年)4月1日 - 日頃市線 盛 - 岩手石橋間の旅客営業廃止。猪川駅廃止。
- 2011年(平成23年)3月11日 - 東日本大震災で被災。津波で大きく被害を受ける。
- 2011年(平成23年)11月7日 - 赤崎線が復旧。両路線とも運行再開[1]。
駅一覧
日頃市線
盛駅 - 猪川駅 - 長安寺駅 - 日頃市駅 - 岩手石橋駅
貨物は岩手石橋駅でのみ扱っており、それ以外の駅では貨物扱いはなく、実質的には列車行き違いのための信号場として機能している。旅客営業廃止後も各駅の駅舎、ホームは残っているが、猪川駅はホームが撤去されて、道路から駅に通じる階段が残るのみである。
赤崎線
盛駅 - 赤崎駅
接続路線
輸送・収支実績
年度 | 旅客輸送人員(千人) | 一日1Km平均通過人員(人) | 貨物輸送数量(トン) | 鉄道業営業収入(千円) | 鉄道業営業費(千円) |
---|---|---|---|---|---|
1979 | 104 | 4,462,606 | 947,264 | 820,506 | |
1982 | 90 | 121 | 3,427,391 | 834,372 | 793,477 |
1984 | 77 | 101 | 3,209,871 | 776,931 | 684,560 |
1985 | 66 | 82 | 3,311,396 | 801,545 | 667,138 |
1986 | 61 | 77 | 3,483,266 | 842,598 | 601,242 |
1987 | 55 | 68 | 3,802,288 | 829,854 | 613,675 |
1988 | 46 | 57 | 4,178,736 | 852,477 | 617,688 |
1989 | 34 | 37 | 4,230,042 | 748,341 | 558,223 |
1990 | 32 | 37 | 4,468,178 | 794,237 | 597,585 |
1991 | 48 | 50 | 4,434,518 | 828,200 | 635,219 |
1992 | 4,462,092 | 825,188 | 630,018 | ||
1993 | 4,595,440 | 850,503 | 680,375 | ||
1994 | 4,573,442 | 846,464 | 690,821 | ||
1995 | 4,491,468 | 833,635 | 714,588 | ||
1996 | 4,359,888 | 811,316 | 772,809 | ||
1997 | 3,929,618 | 723,346 | 745,417 | ||
1998 | 3,366,578 | 633,452 | 694,244 | ||
1999 | 2,966,942 | 565,361 | 626,658 | ||
2000 | 3,166,468 | 601,101 | 626,516 | ||
2001 | 2,813,976 | 534,619 | 519,304 | ||
2002 | 2,647,478 | 494,074 | 497,633 | ||
2003 | 1,996,956 | 376,254 | 367,229 | ||
2004 | 2,117,520 | 385,726 | 353,309 |
- 民鉄主要統計『年鑑世界の鉄道』朝日新聞社、1983年『年鑑日本の鉄道』鉄道ジャーナル社、1985、1987-2007年