オリゴ糖
オリゴ糖(オリゴとう、oligosaccharide)とは、単糖類同士がグリコシド結合によって結合した化合物の中で、多糖類というほどは分子量が大きくない糖類のことであり、分子量としては300 - 3000程度のものを指す。
オリゴはギリシア語(ὀλίγος / ラテン文字転写olígos / カタカナ読み「オリゴス」)で少ないを意味する語であることから、少糖類(しょうとうるい)と呼ぶこともある。二糖である砂糖や、麦芽糖などもオリゴ糖の仲間である。オリゴ糖の定義は世界共通ではなく、二糖類もオリゴ糖に含まれるが3個以上の単糖が結合しているものをオリゴ糖と称することが多い。オリゴ糖の上限については幅があり、10-20個以上の単糖が結合しているものは多糖と呼ばれることが多い。
構造
天然の動植物中にもともと含まれているオリゴ糖は、ほとんどがスクロース、ラクトース、トレハロース、マルトースなどの二糖類であり、三糖類より多くの糖が結合しているものの量は少ない。 天然から見出されているものとしては三糖類ではラフィノース、パノース、マルトトリオース、メレジトース、ゲンチアノースなど。四糖類ではスタキオースなどが知られている。また、ブドウ糖が環状に結合したオリゴ糖としてシクロデキストリンがある。
発見と利用
100年以上前から、母乳栄養児が人工栄養児よりも下痢などの病気にかかり難く、かかっても軽症で速やかに治癒することが知られていた。1899年、パスツール研究所のティシエ(Tissier)により、健康な母乳栄養児の便からビフィズス菌を分離した事がきっかけとなり、腸内細菌の研究が進み、母乳中のビフィズス増殖因子と呼んでいた物がオリゴ糖であった。数々の研究を経て様々なオリゴ糖が発見された。
機能性
様々な研究より、ビフィズス菌などの腸内善玉菌を増やす効果がある事が確認され、さまざまな生理活性作用が期待され、健康食品に利用されている。このように、腸内善玉菌を増やす効果がある物質をプレバイオティクスと言い、整腸作用を期待し特定保健用食品として利用されている。安価に単体で純度を高めることが困難なため、市販品の多くは液体で流通している。プレバイオティクスには、ガラクトオリゴ糖(GOS)やフラクトオリゴ糖(FOS)、マンナンオリゴ糖(MOS)などがある。
- ラフィノースの高純度粉末品は医療用で移植臓器の保存性向上剤としても利用されている。[1]
- フラクトオリゴ糖(原料-ショ糖)は、腸内細菌研究の第一人者として知られる光岡知足によりビフィズス菌の増殖活性に優れていることが確認された。[2]
工業的製法
例えばアミロースをアミラーゼで分解すると二糖類のマルトースと三糖類のマルトトリオースなどの混合物が得られる。得られる糖はアミラーゼの種類により異なる。
脚注
関連研究
- ビフィズス増殖因子としてのミルクオリゴ糖の研究小史とガラクトオリゴ糖 -ヤクルト本社中央研究所
- 寒天オリゴ糖は、体内の有害物質を解毒する酵素群を増強し、体内を綺麗にする作用を示すことを発見 - タカラバイオ株式会社
- オリゴ糖開発と酵素 - (株)林原生物化学研究所
関連項目
外部リンク
- イソマルトオリゴ糖 - 「健康食品」の安全性・有効性情報 (国立健康・栄養研究所)
- ガラクトオリゴ糖 - 「健康食品」の安全性・有効性情報 (国立健康・栄養研究所)
- キシロオリゴ糖 - 「健康食品」の安全性・有効性情報 (国立健康・栄養研究所)
- 大豆オリゴ糖 - 「健康食品」の安全性・有効性情報 (国立健康・栄養研究所)
- ニゲロオリゴ糖 - 「健康食品」の安全性・有効性情報 (国立健康・栄養研究所)
- 乳果オリゴ糖 (ラクトスクロール) - 「健康食品」の安全性・有効性情報 (国立健康・栄養研究所)
- フラクトオリゴ糖 - 「健康食品」の安全性・有効性情報 (国立健康・栄養研究所)