対義語
対義語(たいぎご 英:antonym)とは、意味が対照的な言葉。または、意味が反対になっている言葉。アントニム。反義語、反意語、反対語、対語などともいう。ちなみに、「対義語」の対義語は「類義語」、「同義語」などである。
概要
対義語・アントニムはあらゆる言語に普遍的にみられる意味構造であり、とくに意味構造においてペア(対)と認識されるものをさす。初等教育では初学者の語彙力を強化する目的で対義語や類義語の学習をしばしばおこなう。対義語対の分類については一般的・慣用的に用いられているものを蒐集したものが冊子(教本)化されている。
感性語の取り扱いにおいて対義語ペアを軸とした情報処理は画像検索システムなどに応用されている。「進化」と「退化」のように、進・退と漢字一文字の意味が対になっている語が使用されるばあい、先験的に対義語ととらえてしまう[1]ことが、非科学的な認識や偏見のもとになることがしばしばある[2]。対義語や類義語のもつ意味構造はしばしばレトリックとして利用される(充填された語)。
分類
対義語対は一般・慣用的に用いられているものを蒐集したものが教本化されたものであり、そのなかには一定の法則性が存在していることが指摘されている。
漢字二文字からなる対義語は、次の4パターンに分かれる。
- 「短所」と「長所」のように、漢字一文字の意味が反対になっているもの。
- 「拡大」と「縮小」のように、漢字二文字の意味が反対になっているもの。
- 「成功」と「失敗」のように、熟語全体として意味が反対になっているもの。
- 「平凡」と「非凡」のように、打ち消しの漢字(不・無・未・非)を使って一方の意味を消しているもの。
意味での分類は3パターンある[3]。
- 一方を否定すれば必ず他方になる関係。(男-女、生-死)
- 程度の差を表すもの。(大-小、遠-近、良い-悪い)
- 一つの事柄を見方や立場を変えて表現するもの。(売る-買う、教える-学ぶ)
但し、互いに対義語とされる2語が同じ品詞ということは必ずしもない[4]。
この他にも、アントニムのもつ構造上のあいまい性は多く指摘されており例えば色調(黒-白)の対義語対については
文脈によっては明確に対義語と認識できても本来の対義語とみなせるかどうか不明なもの
など、どのペアを対義語ととらえるかはその言語がもつ文化的背景や、その言語が使用される文脈に大きく影響される。
脚注
- ↑ 退化は進化における一様態(側面)であり、別のもの(反対のもの)ととらえるのは進化論の見地から適切ではない。詳しくは退化を参照。
- ↑ 例えば「値上げ」「値下げ」など。商品Aの単価が「値下げ」になったとしても、その商品の容量が減り(実質的には)値上げになっていることもある。「増税」「減税」、「改善」「改悪」など字句上では対義語として蒐集・教本化されているものが実際に文脈の中で使用される場合、その意味が正確に適用されているかどうか「対義語」の意味コレクションはなんら保障しない。
- ↑ goo辞書「対義語」[1]
- ↑ 日本語の場合、ラ行五段活用動詞である「ある」の対義語とされている「ない」は形容詞であり、互いに異なる品詞である。また、英語の"in"は、前置詞とされているが、「~の中」の意としての対義語となる"out of"は複数語句の組み合わせとなる。
文献情報
- 「反意考 A Note on Antonymy」氏家文昭(日本大学文理学部人文科学研究所第17号研究紀要1975年)[2][3]
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