アイソスタシー

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2次元モデルで示したアイソスタシーの説明図。比重の大きいマントルの上に、比重の小さい地殻が浮かんでいる。
1: 山岳、2: 高地、3: 普通の大陸、4: 大洋底、5: 海洋面、6: 地殻、7: マントル

アイソスタシーテンプレート:Lang-en-short)とは、比較的軽い地殻が、重く流動性のある上部マントルに浮かんでおり、地殻の荷重と地殻に働く浮力がつりあっているとする説。地殻均衡(説)ともいう。

ヒマラヤ山脈での鉛直線偏差を説明するために、ジョージ・ビドル・エアリー(1855)とジョン・ヘンリー・プラット(1859)が唱えた説で、後にクラレンス・エドワード・ダットン(1889)が「アイソスタシー」と命名した。

概要

アイソスタシーにおいて、地球表層である固体の層をリソスフェア、リソスフェアをその上に浮かべている液体の層をアセノスフェアと呼ぶ。地球内部には、我々の生活する地殻とその下のマントルの2つの層が存在するが、地殻とマントルの固体部分リッドが結合した岩石の塊がリソスフェア、マントルの液体部分がアセノスフェアである。より厳密に言えば、地震波の観測[1]によると、マントル全体は固体である。すなわち、マントルは、巨大な質量の荷重といった長い年月によるゆっくりとした力には液体の性質を示し、瞬間的な力には固体の性質をもつ。

アイソスタシーは、我々が普段目にする海底といった地形の形成に重大な役割を果たす。アイソスタシーにおいて、地殻の厚さでその土地の標高が決定するからだ。固体であるリッドは、アセノスフェアに比べて密度が大きく、リッドだけではアセノスフェアに沈む。密度の小さい地殻がその上に接着することにより、浮力が生まれる。浮力は物体の体積が大きければ大きいほど強くなるため、厚い地殻はより強い浮力を得て、標高を高くする。上の図では、地殻の厚さとその土地の標高の高さが一般的に比例することを示している。巨大な岩石の塊①は高くそびえる山岳となり、逆に薄い岩盤④は海底となる[2]

地球表層の大部分でアイソスタシーは成立している。ただし、アイソスタシーが成り立たない地域もある。収束型境界のような大きな水平圧力が地殻に働いている場合や、氷床といった巨大な質量が消失し、地殻の質量の変化に対応して新しいアイソスタシーが生まれる途上などである。例えば、かつて巨大な氷床に覆われていたスカンジナビア半島[3]では、現在数ミリメートル単位で隆起が続いている。

脚注

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関連項目

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テンプレート:プレートテクトニクス
  1. 地震波にはP波S波の2種類が存在するが、S波が伝わらずP波のみ伝わる地球内部の物体は液体、S波も伝わる物体は固体であるとされる。
  2. 浮力とは別に、物体の浮き沈みはその物体の密度も関係し、一般に物体の密度が大きくなると物体を沈めようとする力も大きくなる。このことから、山脈の下の物質は他の土地に比べ密度が小さいとされる。大陸上部地殻は海洋地殻よりも一般的に密度が小さく、これはP波速度の測定で証明されている(テンプレート:Cite book)。
  3. スカンジナビア半島は2,000mの氷床に覆われていたが、氷期が終わり、氷床が溶けたため、上部マントルにかかる地殻の荷重が小さくなった。そのため、荷重と浮力の均衡を保つために、現在スカンジナビア半島は年に1 - 2cmの速さで隆起している。