協同組合
テンプレート:国際化 協同組合(きょうどうくみあい)は、共通する目的のために個人あるいは中小企業者等が集まり、組合員となって事業体を設立して共同で所有し、民主的な管理運営を行っていく非営利の相互扶助組織。連帯経済の主要な担い手である。
世界の協同組合
1491年、世界で初めての協同組合であるThe Shore Porters Societyがスコットランドのアバディーンに設立された[1]。
1844年、最初の近代的な協同組合とされる消費組合ロッチデール先駆者協同組合がイギリスのマンチェスターの郊外で設立された[2]。
1895年、イギリスのロンドンで、国際協同組合同盟 (the International Co-operative Alliance: ICA) が設立された。2011年8月現在、本部はスイスにあり、94カ国の254団体が加盟し、傘下の協同組合の総組合員人数が10億人を超える世界最大の非政府組織 (NGO) となっている[3]。
ドイツ農村では金融を主とする信用組合が発達し、留学中これを見た平田東助は感銘を受け、日本の報徳社の事例とあわせて、産業組合法を作成した。
日本の協同組合
日本では、事業内容ごとに個別の法律(特別法)で種々の協同組合が規定されており、協同組合に関する一般的な規定は存在しない。法人税法では、協同組合等(きょうどうくみあいとう)に分類され[4]、全所得に対して、軽減税率の適用を受ける。また、事業分量配当金の損金算入が認められている。これは法人税法の別表第3に掲げられている。一部では協同組合基本法の制定を求める声もある[5][6]。
日本では、1956年に日本協同組合連絡協議会 (Japan Joint Committee of Co-operatives: JJC) を設立して、各種協同組合運動の連携とICAの総会等への参加をはじめとした協同組合の国際活動に伴う連携・協力等の活動を進めている[7]。現在、日本のICA会員組織であるJA全中、JA全農、JA共済連、農林中金、家の光協会、日本農業新聞、日生協、全漁連、全森連、全労済、日本労協連、大学生協連および労金協会の13団体が加盟している。
一方、個人で構成される組合組織(農協、生協等)とその連合会とは異なり、主に中小企業の経営に関する指導支援や業界調整の役割を担う中小企業団体中央会などの中央組織もある。これらは、ICAに加盟していないものの、歴史的な経緯や相互扶助の原理原則という側面では、他の組合組織と概ね共通している。
個別法に基づく協同組合またはこれに類する組織には、例えば以下のものがある。
- 生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律
- 農業協同組合法
- 農林中央金庫法
- 水産業協同組合法
- 森林組合法
- たばこ耕作組合法
- 消費生活協同組合法
- 中小企業等協同組合法(組合法、中協法)
- 中小企業団体の組織に関する法律(団体法、中団法)
- 商店街振興組合法
- 商工組合中央金庫法
- 信用金庫法
- 船主相互保険組合法
- 内航海運組合法
- 輸出入取引法
- 輸出水産業の振興に関する法律
- 労働金庫法
この他、現時点で法的根拠を持たない協同組合として労働者協同組合(ワーカーズコレクティブ)がある(「『協同労働の協同組合法』法制化をめざす市民会議」と「協同出資・協同経営で働く協同組合法を考える議員連盟」が法整備を求めている)。
協同組合原則
国際協同組合同盟 (ICA) は、100周年記念大会(1995年9月、マンチェスター・イギリス)で、「21世紀に向けた世界の協同組合の活動指針を示す新しい協同組合原則」を採択した[8]。
- 定義
- 協同組合は、人びとの自治的な組織であり、自発的に手を結んだ人びとが、共同で所有し民主的に管理する事業体をつうじて、共通の経済的、社会的、文化的なニーズと願いをかなえることを目的とする。
- 価値
- 協同組合は、自助、自己責任、民主主義、平等、公正、連帯という価値を基礎とする。協同組合の創設者たちの伝統を受け継ぎ、協同組合の組合員は、正直、公開、社会的責任、他者への配慮という倫理的価値を信条とする。
- 原則
- 協同組合原則は、協同組合がその価値を実践するための指針である。
- 第1原則「自発的で開かれた組合員制」
- 第2原則「組合員による民主的管理」
- 第3原則「組合員の経済的参加」
- 第4原則「自治と自立」
- 第5原則「教育、研修および広報」
- 第6原則「協同組合間の協同」
- 第7原則「地域社会(コミュニティ)への関与」
注釈・出典
関連項目
外部リンク
- 財団法人協同組合経営研究所
- 全国中小企業団体中央会(中協法、中団法関連)
- 「協同労働の協同組合」法制化をめざす市民会議