包絡線

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

包絡線(ほうらくせん、envelope)とは、与えられた曲線族と接線を共有する曲線、すなわち与えられた(一般には無限個の)全ての曲線たちに接するような曲線のことである。 身近なところでは、AMラジオ放送に利用されている振幅変調の電波信号の包絡線が音声信号である。

包絡線は、次のようにして求められる。

媒介変数 t で添字付けられる n 次元ユークリッド空間 Rn 上の曲線族 {Ft(x1, ... ,xn) = 0}tR に対する包絡線は、連立方程式

<math>

\begin{cases}

 F_t(x_1,\dots,x_n) = 0 \\
 \cfrac{\partial}{\partial t} F_t(x_1,\dots,x_n) = 0

\end{cases} </math> から t を消去して得られる曲線 φ(x1, ... ,xn) = 0 に等しい。

包絡線の例

実数値の媒介変数 t で添字付けられる直線の族 {Lt}tR Lt : y = sin(t)x + cos(t) の包絡線を、実際に上の方法で求めてみる。 まず、Lt を sin(t)x - y + cos(t) = 0 の形に変形し t について偏微分すれば、

<math>\frac{\partial}{\partial t}(\sin(t)x - y + \cos(t)) =
 \cos(t)x - \sin(t)

</math> となるから、包絡線を求めるための連立方程式

<math>

\begin{cases}

\sin(t)x - y + \cos(t) = 0, \\
\cos(t)x - \sin(t) = 0

\end{cases} </math> を得る。式を変形して x2 - y2 + 1 = 0。これが直線族 {Lt}tR の包絡線である。この場合、包絡線は双曲線であることがわかる。

関連項目

脚注

テンプレート:Reflist

参考文献