力の指輪

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力の指輪(ちからのゆびわ、Rings of Power)とは、J・R・R・トールキンの『指輪物語』に登場する20個の指輪の総称。特にサウロンの持つ「一つの指輪」をいうこともある。

概要

そもそもはケレブリンボールをはじめとするエルフの手によって作られたが、サウロンはかれらの技術を盗み、モルドールオロドルインにおいてすべてを支配する「一つの指輪」を自分のために鋳造した。かれらによって鋳造された力の指輪の内訳は、エルフに三つ、ドワーフに七つ、人間に九つとサウロンのものである一つとなっている。

「一つの指輪」はもちろん、「七つの指輪」と「九つの指輪」にもサウロンが鋳造に関与しており、その所持者はかれの害意により早晩堕落することになる。ただし、「三つの指輪」はケレブリンボールが独力で鋳造したため、サウロンに穢されておらず、その所持者は堕落することはない。しかし、「三つの指輪」と言えど「一つの指輪」の支配下にあることに変りはなく、ひとたび「一つの指輪」がサウロンの手に渡れば、所持者はかれの支配を受けることになる。また「一つの指輪」が消滅すると、「三つ」も含めた残る指輪も力を失うことになる。

一つの指輪

サウロンの手からイシルドゥアがこれを奪い、帰路にあやめ野で殺害され失われた後、ゴクリ(スメアゴル)により偶然発見され、これを『ホビットの冒険』でビルボ・バギンズが見つけ所有し、『指輪物語』でフロド・バギンズの手に譲り渡された。一時期サムワイズ・ギャムジーがこれを所持していたことがある。最後はオロドルインにある滅びの罅裂に投げ込まれ、消滅した。 テンプレート:Main

三つの指輪

『指輪物語』の中では、「三つの指輪」の内、風の指輪ヴィルヤはエルフのギル=ガラドが、かれの死後は半エルフのエルロンドが所持した。水の指輪ネンヤは、ガラドリエルが所持し、火の指輪ナルヤは、初めエルフの船大工キーアダンが所持していたが、後に魔法使い(イスタリ)のガンダルフに譲り渡された。 テンプレート:Main

七つの指輪

ドワーフたちはサウロンから与えられた七つの指輪(Seven Rings)を、富を築くことにのみ用いた。伝説的なドワーフ王たちの七大財宝はこの指輪によるものだという。彼らは指輪の影響で寿命が延び縮みするようなことはなかったが、やがて破滅的行動も辞さないほどの激しい黄金への渇望を掻き立てられ、衰退の道をたどることになった。しかし冥王の魔力をもってしてもこの頑強な種族を隷属させたり、影の存在に変えることはできなかった。そのためサウロンは怒り、長い時間をかけて七つのうち三つを奪い返した。残りの四つはの火によって消滅した。

ドワーフたちの信じるところによれば、ドゥリン3世の指輪はサウロンではなくエルフたちから直接与えられたものだった。しかしこれが真実だとしても、鍛造時にサウロンが手を貸していることには変わりなかった。この指輪は代々秘蔵され、持ち主以外には正確なありかが不明だったため、奪還の希望を抱くドワーフもいた。実際には、最後の所持者スライン2世が無謀にも(おそらく指輪の悪影響で)はなれ山(テンプレート:仮リンク)への探索に向かった際、闇の森に引き込まれてドル・グルドゥアに捕われたため、『指輪物語』開始時点ですでにサウロンの手に渡っていたのだった。 テンプレート:Seealso

九つの指輪

人間たちの中でも、王や妖術師、戦士といった有力者が九つの指輪(Nine Rings)を手にした。彼らはその力で富と栄光と長寿を得た。また、望めば透明になることもできた。しかしこれらの効力はすべてサウロンの意思のもとにあり、やがて彼らは完全にその力に飲み込まれ、サウロンに仕える指輪の幽鬼になってしまった。