冥王せつな
テンプレート:Pathnav 冥王 せつな(めいおう せつな)は、武内直子作の漫画作品『美少女戦士セーラームーン』に登場する架空の人物。
海外名はTrista(トリスタ)。
人物
セーラープルートに変身する。褐色の肌で、黒に近い深緑色の長髪の一部をお団子にして頭頂部の中央で結っている。マゼンタ色の瞳を持つ、大人で神秘的な雰囲気を纏う女性。
原作では大学生(KO大学理学部1年・基礎物理学科理論物理学専攻)、その後卒業(?)し東京湾天文台(モデルは国立天文台)に勤務、原作16巻以降ではちびうさが通う港区立十番小学校の養護教諭になっている[1]。テレビアニメ版では無限学園大学理学部。
当初第2部・「ブラック・ムーン編」(テレビアニメ版ではR後半にあたる第75話、第82話)に、外部太陽系セーラー戦士としては初めて登場したが、変身後の姿しか表さず、しかも異空間での出会いのみであった。ルナによると、クイーン・セレニティから「時空の扉を永遠に守り続け、その存在を知ることも許されず、誰もその姿を見たことのない孤独な戦士が居る」という話を聞いたという。その後第3部・「デス・バスターズ編」(テレビアニメ版の「S」にあたる)になってから、はるかとみちるのピンチに際し初めて変身前の姿が描かれ(第110話)、全編を通して謎を含む描き方をされる。転成後の土萠ほたるからは、『せつなママ』と呼ばれており、実質的なほたるの保護者であった。
テレビアニメ版第82話で、セーラームーンに対し、「あなたはいつも私をてこずらせてばかり」と意味深な発言をする[2]。
スモール・レディ(ちびうさ)と仲が良く、テレビアニメ版ではちびうさが過去の世界へ逃げた後もルナPボールを介して彼女を励まし続けていた。原作ではいじめっ子にいじめられて城の奥へ逃げ込んだちびうさと出会い、その際彼女にルナPボールをプレゼントしたことが説明されている。原作の第2部でちびうさがブラックレディとなってしまった際、最大の禁忌を破って命を落とす直前にブラックレディに「キスしたり抱きしめたりするだけでなく、遠くから見守る愛もある」と語りかけ、彼女を元の姿に戻すきっかけを作った。ちびうさからは「プー」と呼ばれている。
原作では前の主であるクイーン・セレニティから以下3つの禁忌を直接承っており、特に3番目の時間を停めるべからずは時空の門番の最大の禁忌(タブー)とされている。
- 時間を移動するべからず
- 守るべき扉から決して離れるべからず
- 時間を停めるべからず
孤独な時空の扉の番人としてシルバーミレニアム時代から生き続け、原作第2部終盤で皆を助けるために最大の禁忌を破って死亡し、ネオ・クイーン・セレニティによってせつなに転生して第3部に登場、という解釈が有力である(テレビアニメでは「R」で死なず、聖杯召喚と聖杯を扱うメシア探索のために未来・時空の門からはるか、みちると合流。その後S終盤で結界で覆われた無限学園の中にはるかとみちるを突入させるため、最大の禁忌を破った後に行方不明。第五期序盤で時空にかつてない揺らぎを感じ取れる為に再び出現する)。しかし、原作においても第3部9巻でのセーラーサターンに関する説明の中で、シルバーミレニアム時代の終焉の際にウラヌス、ネプチューンと共に転生したという記述があり、シルバーミレニアム時代から生きていたという記述と矛盾する部分もある。
原作者・武内直子のお気に入りのキャラで、彼女のキング・エンディミオンへの片思いを描きたくて第2部を書いたほど[3]。テレビアニメ版ではその設定は活かされなかったが、ミュージカルなどでは描写されている。
プロフィール
プロフィールは殆ど原作のもの。
- 年齢:不明
- 誕生日:10月29日
- 誕生石:トパーズ
- 星座:蠍座
- 血液型:A型
- 好きな色:えんじ色
- 好きな食べ物:お茶
- 苦手な食べ物:茄子
- 好きな教科:物理
- 苦手な教科:音楽
- 趣味:ショッピング
- 特技:裁縫
- 苦手な物:ゴキブリ
- 将来の夢:デザイナー
- 経歴:KO大学理学部→東京湾天文台→港区立十番小学校(原作。テレビアニメでは無限学園大学理学部)
セーラープルート
冥王星を守護星に持つ時空と変革の戦士。
時の流れを超越した時間と空間を司る戦士で、古代の時代から侵入者を防げた外部太陽系三戦士の成員の一人である。時間と空間の狭間(テレビアニメでは時空の回廊)にある冥土の扉「時空の扉」を守って、時を司る神・クロノスの血を引く美しく孤独の番人[4]。精神力が高いセーラープルートは、他のセーラー戦士より年上だけあって、落ち着いているのが特徴[5]。戦闘力も高く、本編中では彼女の必殺技が効かなかった敵は(一般の妖魔等との戦闘シーンが描かれていないセーラーサターンを除けば)セーラー戦士の中で一番少ない。しかし時間を操るや空間転移・転送などの強大な力を持ったキャラクターは扱いにくいためか、テレビアニメ(S、StarS)では決戦のときにプルートとサターンを除きウラヌスとネプチューンだけで挑むことが多く、そのことも原作者のテレビアニメの不満の一つとなっている。時空の扉の番人だが、そのほかにもちびうさの悪夢の原因を断ち切るために、うさぎ達を夢の中に送り込むこともできる(テレビアニメ75話)。
原作第二期Act20より「プリンセス・セレニティの四守護神とはその使命も立場も全く違う」、「時間は最後の犯すべからざる領域だ。セーラープルートは遥かな昔からその禁じられた領域・時空の扉をたった一人で統括する」、「セーラープルートは誰よりも長く生き、あらゆる時代を見聞きし、そして誰よりも忍耐強く適確な判断をくだせる、たよれる戦士だ」だとキング・エンディミオンに述べられている。
テレビアニメ第三期は原作とは異なり、ウラヌスとネプチューンのタリスマンが現れた際、それと引き換えに2人は命を落とし、タリスマンを奪ったユージアルを制止するために突然現れた。その時、手に持っていた第3のタリスマン「ガーネット・オーブ」が光を放ち、ユージアルから剣と鏡のタリスマンを奪い返した。実はタリスマンの宿主が犧牲になる必要はなかったとされる。ただし、珠のタリスマンの由来は不明。
テレビアニメでの決め台詞は特に無いが、3人集合時に「時空の星、冥王星を守護に持つ、変革の戦士セーラープルート」と言い、その後に「外部太陽系三戦士、新たな危険に誘われて、(ウラヌス)ここに参上!!(3人)」と続く。また特別なものとして「時を司るセーラープルート、この愛すべき地球を、貴方の思い通りにはさせません」(劇場版S『かぐや姫の恋人』より)がある。原作第二期より初登場の時「私は時空の扉を掌るもの、冥界の番人 セーラープルート! 禁忌(タブー)を侵す者は消去します!」と名乗っている。原作第三期の登場台詞は「冥界の星! 冥王星を守護にもつ時空の戦士! セーラープルート!」。
セーラー戦闘服は黒系統の色がメイン[6]で、胸前と後ろ腰のリボンは深い茶色。チョーカーには丸い形の真っ赤な宝玉を付けている。膝まであるロングブーツはマーキュリーと同型だが、やはりブーツのヒールが高め。原作のマーキュリーと同じく肩のプロテクターは無し。胸のブローチは原作第2期とアニメ全般では赤であるが、原作第3期では転生の際に黒に変化している[7]。イメージカラーは黒。[8]
- スーパーセーラープルート
- セーラーサターンが再び覚醒した時にパワーアップする姿。他のセーラー戦士と同じブローチ、リボンやセーラー襟に白いラインが入り(ウラヌス・ネプチューン・サターン同様)肩の部分など変わった。
- プリンセス・プルート
- 原作の第4期末で新しい聖杯が誕生した時に変化したプリンセスとしての姿。冥王星のセーラープリンセスの城として「カロン・キャッスル」という城を持っている。コスチュームの基本カラーは黒色で、色以外は基本的にプリンセス・サターンと同じコスチュームである。主な相違点は、肩紐とひし形の飾りがひとつ多いこと。またプリンセス・ウラヌスの物と同じく、スカート部分の左右に深い切れ込みがあり、中から薄い色のスカートが覗く。
- 備考
- プルート=ローマ神話のプルートー、ギリシャ神話のハーデースは冥府の神。惑星探査機も未踏のため「デッドスクリーム」は天文学上の冥王星の姿ではなく死のイメージの力場球をぶつけている。タリスマンのガーネット・オーブは三種の神器の八尺瓊勾玉から。
- 神話のプルートーに時を支配する権能はなく、それは劇中でも「時空の扉を開く呪文」に其の名が出る時間の神・クロノスの管轄である。
- プルートの変身前の名前「せつな」というのは仏教用語で「刹那」(一瞬)のことである[9]。
アイテム
- リップ・ロッド(テレビアニメ版S)
- プルートへ変身する際に使用する藤色のスティック形状のアイテム。先端は球形で両側に小さな球体がくっついた形になっており、その上に冥王星の紋章が刻まれた六芒星型の飾りが付いている。変身する時の口紅が塗られるところから、中に収められた口紅の色がウラヌスたちとは異なる。
- カギのチェーンベルト(原作第2期)
- 腰についている、時空の鍵がいくつも下がったチェーンベルト。鍵のデザインはそれぞれ少しずつ異なる。新装版の原作第三期では外部太陽系三戦士に集結することで取り払われている。
- 時空の杖(ガーネット・ロッド)/時空の珠(ガーネット・オーブ)
- 防御を司るタリスマン[10]。プルートが携えている巨大な鍵の意匠をした錫杖であり、「時空の扉」を開く鍵となっている。先端部分の水晶玉のような形をした真紅色の珠玉は宝珠のタリスマン「ガーネット・オーブ」で、このタリスマンの力で主に時間を操っていたが、時間移動や時間停止など時空を動かす強大な禁忌の力を持つ。また、どんな攻撃も防ぐ力を持っており、テレビアニメの中で力を発揮する場面は少なくなっている。原作ではこれで身を守るバリアなどを発生させている。テレビアニメでは宝珠部分はクロヌス・オーヴ明記だが、宝珠形態で登場したのは聖杯出現の際の共鳴状態の時だけで、後はガーネット・ロッドでの状態が続いた。また「R」と「S」ではオーブの形がかなり違っていて、オーブのデザインが決まった「S」でも「R」時代のデザインが使用されたこともあった。
- プルート・クリスタル(原作第4期)
- 他のセーラー戦士のクリスタルと同じ形になった、せつなのセーラークリスタル。エターナル化の際に、形が星型へ変化する。
変身呪文
- プルート・プラネットパワー!メイクアップ!
- リップ・ロッドに冥王星のマークが輝き、リップ・ロッドを握って右回りに回転する円陣から大量の砂礫を吹き上げて、全身に包まれた後に流砂がガーネット・ロッドを生成する。マゼンタ色のルージュを唇につけて後、ポーズを決める。
- プルート・クリスタルパワー!メイクアップ! (原作第4期)
セーラープルートの必殺技
- 破滅喘鳴(デッド・スクリーム。原作第二期、テレビアニメ第三期第113話より)
- 原作ではガーネット・ロッド(時空の杖)のオーブ部分を鳴らし、宝珠のタリスマンが発する烈風の波動で敵を打ち砕く技。
- テレビアニメでは「冥界の風[11]」の別名だが、低い声で技名を言いながら、ガーネット・ロッド(時空の杖)のオーブ部分に荒ぶる風のエネルギーを集中させ、エネルギー球として相手に放ち、敵を一瞬にして吹き散らす。長い時を閉じ込めたエネルギー球を敵にぶつけ、砂になって風化させる絶命の一撃である[9]。ただし、ロッド先端のオーブ部分にタリスマンの力を含むであろう絶大的な破壊力が見られた[9]。
- スーパーファミコン版の対戦格闘ゲームではガーネット・ロッド(時空の杖)を振りかざしたり、小型の竜巻や竜巻の壁を作ることで攻撃できる。また、高い声を言いながら技名へ変わった。
- 時間よ止まれ(タイム・ストップ。原作第二期、テレビアニメ第三期第124話)
- 時空の門番であるプルートの最大の禁忌。ガーネット・ロッドの先端に眩い光芒を射放つ、一定の間特定の人間以外の時間を停止させることができるが、その代価として使用者自身の命を失うリスクを負う(テレビアニメではプルートの実体が現実世界の中に消えていった)。3DO対戦格闘ゲームでは「時間停止(じかんていし)」という技名になっている。
- 時空嵐撃(クロノス・タイフーン。原作第三期より)
- 原作とゲームではガーネット・オーブ(時空の珠)で勢いの強い竜巻を作り出し相手を蹴散らす。
- 劇場版Sでは頭上にガーネット・ロッドを高速で回転させて、敵を打ち倒した[12]。
- 時空球(ガーネット・ボール。原作第三期より)
- ガーネット・オーブを使用し、球体状のバリアーを張る。その状態のまま移動することも可能である。
- 冥空封印(ダーク・ドーム・クローズ。原作第三期より)
- 「偉大なる時空の守護神われらが父クロノスよ われに力を 裂かれた禁忌の扉を閉じよ!」という詠唱がつき、ガーネット・ロッド(時空の杖)のエネルギーを放出して「時空の扉」を出現させ、異界と別の異界とを繋ぐ時空の通路を永久に封印する技。
脚注
テンプレート:美少女戦士セーラームーンfi:Sailor Moon#Setsuna Meiō- ↑ しかし大学で物理学を専攻していたにもかかわらず、養護教諭の職に就いたこと、ましてや1年で大学を卒業することに関しては疑問が残る。
- ↑ 原作第二期Act19より「あなたがたは昔から私をてこずらせてばかり」と意味深な発言をする。
- ↑ 特にキング・エンディミオンに対し、「わたし…自分の使命にとても誇りを…もっていました……キング……あなたの顔がこんな近くにある…そんな顔をしないで…ラベンダーのマント、美しいうすむらさきの…朝焼けの色だわ……キング……」と語っている。
- ↑ 『美少女戦士セーラームーンS こんどはパズルでおしおきよ! 取扱説明書』第17頁より。
- ↑ 『美少女戦士セーラームーンSuperS 真・主役争奪戦』ブックレット第27頁より。
- ↑ 一部のイラストでは黒がかった緑、アニメなどではミッドナイトブルー(黒がかった青)に見えることがある。
- ↑ 『美少女戦士セーラームーン 設定資料集』から。第4期以降の一部イラストで確認することができる。
- ↑ 『美少女戦士セーラームーン 設定資料集』から
- ↑ 9.0 9.1 9.2 『なかよしメディアブックス&アニメアルバム44 美少女戦士セーラームーンS II』第31頁より。
- ↑ 『なかよしメディアブックス&アニメアルバム44 美少女戦士セーラームーンS II』第38頁より。
- ↑ 『なかよしメディアブックス&アニメアルバム27 映画 美少女戦士セーラームーンSuperS メモリアルアルバム』第49頁より。
- ↑ 『なかよしメディアブックス&アニメアルバム13 映画 美少女戦士セーラームーンS メモリアルアルバム』より。