三井記念美術館
テンプレート:博物館 三井記念美術館 (みついきねんびじゅつかん) は、東京都中央区日本橋室町にある、旧財閥三井家の伝来品を収蔵展示するために設立された私立美術館である。1985年、東京都中野区上高田に「三井文庫別館」(三井文庫本館は史料館)として開館し、2005年10月8日より、東京都中央区日本橋室町の三井本館(重要文化財建造物)7階に移転し、「三井記念美術館」と改称した。運営は、公益財団法人三井文庫。
概要
旧財閥三井家が所蔵する、膨大な社会経済史料の保存のため、1965年(昭和40年)、三井グループ各社の資金提供によって財団法人三井文庫が設立された。その後1985年(昭和60年)に至り、三井家に伝来する貴重な文化財を散逸させず、保存公開するための施設として「三井文庫別館」が開設された。
三井家は、本家にあたる総領家を含め11家に分かれているが、三井記念美術館には、おもに北家(総領家)、新町家、室町家伝来の文化財が収蔵されている。
北家(総領家)伝来品は、三井文庫別館開設時に11代当主・旧男爵の三井八郎右衛門(三井高公、1895-1992)から寄贈されたものである。円山応挙が三井家のために描いた『雪松図』、国宝2件を含む刀剣類、藤原定家の日記の一部である「熊野御幸記」、金剛右京家伝来の能面類などが著名である。
新町家伝来品は、同家10代当主・旧男爵の三井高遂(みついたかなる、1896-1986)から寄贈されたもので、火葬墓から出土した墓誌としては日本最古の年紀をもつ「船氏王後墓誌」(ふなしおうごぼし)が著名である。
室町家伝来品は1993年(平成5年)に寄贈されたもので、日本製の陶磁器としては数少ない国宝のひとつである、志野茶碗「卯花墻」(うのはながき)が著名である。
他に、南家当主・三井高陽(みついたかはる、1900-1983)の収集にかかる、世界有数の郵趣コレクションも収蔵されている。
主な収蔵品
国宝
重要文化財
- 紙本金地著色日月松鶴図 六曲屏風
- 紙本着色東福門院入内図 四曲屏風一双
- 旧金剛宗家伝来能面 54面(明細は後出)[1]
- 楽焼黒茶碗(雨雲)本阿弥光悦作
- 黒楽茶碗(俊寛)長次郎作
- 唐物肩衝茶入(北野)
- 鸞天目茶碗
- 太刀 銘国信
- 太刀 銘助真
- 太刀 銘則宗
- 太刀 銘備州長船基光
- 太刀 銘備州長船住兼光 暦応二年正月日
- 薙刀 銘一
- 刀 銘国広
- 古林清茂墨蹟 与無夢一清偈 泰定四年至節後三日
- 手鑑「たかまつ」(百八十六葉)
- 清拙正澄墨蹟 霊致別称偈 延元元年仲夏
- 日本航海図(羊皮紙著色)
その他
- 聚楽第図屏風(じゅらくだいず・びょうぶ / じゅらくていず・びょうぶ)
翁(伝春日作)、不動、孫次郎(伝孫次郎作)、顰(しかみ、伝赤鶴作)、白色翁(伝日光作)、黒色翁(伝春日作)、黒色翁(伝日光作)、小尉(伝小牛作)、小尉(伝小牛作)、石王尉(伝福来作)、稲尉、大癋見(おおべしみ、伝赤鶴(しゃくつる)作)、小癋見(伝赤鶴作)、長霊癋見(伝長霊作)、牙癋見(伝赤鶴作)、大飛出(おおとびで、伝赤鶴作)、小飛出(伝赤鶴作)、獅子口(伝赤鶴作)、顰(伝夜叉作)、黒髭(伝赤鶴作)、天神(伝徳若作)、怪士(あやかし、伝千種作)、三日月(伝徳若作)、痩男(伝日氷(ひみ)作)、平太(伝夜叉作)、中将(伝福来作)、若男(伝徳若作)、童子(伝千種作)、喝食(伝夜叉作)、喝食(伝春若作)、小面(伝龍右衛門作)、孫次郎、増女(ぞうおんな、伝増阿弥作)、宝来女(伝宝来作)、曲見(しゃくみ、伝龍右衛門作)、泥眼(でいがん、伝龍右衛門作)、十寸髪(ますかみ、伝龍右衛門作)、痩女(伝日氷作)、老女(伝日氷作)、姥(伝千代若作)、山姥(伝福来作)、山姥(伝徳若作)、般若(伝龍右衛門作)、蛇(じゃ)、舞尉(伝三光坊作)、阿古父尉(近江満昌作)、三光尉(出目満照作)、三光尉(金剛長頼作)、茗荷悪尉(出目満照作)、癋見悪尉(洞白満喬作)、三日月(古元休満永作)、中将(金剛頼勝作)、猩々(金剛頼勝作)、景清(出目満照作)
利用案内
- 開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)
- 休館日:月曜日(月曜日が祝日・休日の場合は開館、翌平日が休館日)
- 入館料:大人1000円、大学・高校生500円、小・中学生は無料(障害者無料)
交通アクセス
東京都中央区日本橋室町2-1-1 三井本館7階
脚注
- ↑ 2008年に既指定の重要文化財の能面4件(翁、孫次郎、不動、顰)を統合し、これに重要美術品40面、未指定品10面を追加指定し、「旧金剛宗家伝来能面 54面」の名称であらためて重要文化財に指定された。