三だいの機関車
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『 三だいの機関車(汽車のえほん1)』(さんだいのきかんしゃ(きしゃのえほん1))(原題 : The Three Railway Engines)は、低学年の児童向け絵本シリーズ「汽車のえほん」の第1巻である。
概要
イギリスのウィルバート・オードリー牧師が1945年8月に発表した汽車のえほんシリーズの第1巻。4話の短編作品を収録。挿絵はウィリアム・ミドルトン、のちにレジナルド・ダルビーが担当。オードリー牧師は実物志向なので、柔らかく淡い描線のミドルトンの挿絵に非常に不満を抱いており、重版時にダルビーによって描き直された。 ポプラ社から1973年11月に日本語訳が出版されていたが、2004年ごろ品切重版未定となり、2005年に新装改訂版が出版された。また、2010年12月にミニ新装版が発売された。
成立の過程
汽車のえほんシリーズの第1巻であるため、成立の過程は、汽車のえほんの中で詳述。
収録作品
- エドワードのたのしい一日 (Edward's Day Out)
- いばりんぼうのゴードン (Edward and Gordon)
- なさけないヘンリー (The Sad Story of Henry)
- なかよしになった三だい (Edward, Gordon and Henry)
登場キャラクター
テレビシリーズの機関車紹介と重複する解説は省略、本巻の内容で特筆すべきものを紹介。
- メインキャラクター
- エドワード:オードリー牧師はファーネス鉄道「ラージャー・シーガル」4-4-0をモデルにしてスケッチを描き、前任者ミドルトンはそれなりに特徴を捉えて描いたが、ダルビーは鉄道に関する知識を持ち合わせないのにオードリー牧師と十分な打ち合わせをしないで描いてしまったので、モデルとはかけ離れたデザインになってしまった。
- ゴードン:絵本の最初の挿絵には、車庫に6台の機関車がおり手前から2番目がゴードンらしい。オードリー牧師の息子クリストファーの子供時代の近所のガキ大将が名前の由来、顔のモデルは担当編集者のエリック・マリオットらしい。実在の機関車のモデルはロンドン・アンド・ノース・イースタン鉄道の「クラスA1」だが、これも鉄道に関する知識を持ち合わせないレジナルド・ダルビーの手により、小型のテンダーと四角いバッファーというA1にはありえない装備を施されてしまった。しかし画的には四角いバッファーがゴードンの個性になっている。
- ヘンリー:絵本の最初の挿絵には、車庫に6台の機関車がおり一番奥がヘンリーらしい。トンネルの中に閉じこもってしまい、入り口を塞がれて放置されてしまうが、これは19世紀イギリスのある鉄道でアメリカ製の機関車がトンネルの中で故障し、そのまま放置された出来事が元になっている。また、トンネルに入る前は軸配置が4-6-2であるが、出てきた後は軸配置が4-6-0になるというミスが起こっている。4話のエピローグで緑色から青色に塗り替えられたが、5巻から再び元の緑色に戻ってしまう。これは似ているゴードンとの区別をはっきりさせるためである。レジナルド・ダルビーは色彩の使い方や構図の採り方など画作りは流石なのだが、鉄道に関する知識の無さと一貫性の無さが本シリーズの挿絵画家としては問題だった。なお、オードリー牧師が示したスケッチでは軸配置4-4-2のエドワードに似たデザインになっている。
- ジェームズ:絵本の最初の挿絵には、車庫に6台の機関車がおり奥から3番目がジェームズらしい。ヘンリーがトンネルに閉じこもった時も後続列車として登場。旧版の表紙見返しの機関車紹介の欄には「ジェームズ 1・2・3・5・6・7・8・9・10・11・12・13・14・15巻にでてきます.」と4巻を除く全巻に登場していると翻訳スタッフは判断している。これが正しいのであればジェームズということになるが、本文中にはジェームズを特定する記述は無く、ジェームズだと仮定してもこの時点では黒の旧塗装であったはずである。実のところ、出版社がレジナルド・ダルビーを使って1巻の挿絵を入れ替えた際に、ダルビーは3巻→2巻→1巻の順に挿絵を描き直したので時系列に混乱を起こし、赤いジェームズ登場というのが真相らしい。「Island of Sodor」ではイーグルというジェームスとは別の機関車と書かれておりノランビーの支線を走っているらしい。
- サブキャラクター
- 87546号と98462号:絵本の最初の挿絵には、車庫に6台の機関車がおり奥から2番目と4番目の青い機関車。ダルビーがいい加減に創作して描いてしまった機関車で、これについて読者から質問されたオードリー牧師がのちに番号を与えた。よって本文中にも形式を特定する記述は無い。この巻以降の話に登場しない理由は、生意気で行儀が悪いため他の鉄道に売却されてしまったということになっている。人形劇ではこの2台の青い機関車は登場せず、代わりにトーマスが登場する。