ヴェネツィア国際映画祭
ヴェネツィア国際映画祭(ヴェネツィアこくさいえいがさい、Mostra Internazionale d'Arte Cinematografica)は、イタリアのヴェネツィアで、毎年8月末から9月初旬に開催される映画祭。ベニス国際映画祭、ヴェニス国際映画祭、ベネチア国際映画祭、ヴェネチア国際映画祭などとも表記される。
カンヌ国際映画祭・ベルリン国際映画祭と並ぶ世界三大映画祭のひとつで、世界最古の歴史を持つ映画祭である。ただし中断期間があるため、中断なく一貫して行われている映画祭ではエディンバラ国際映画祭が世界最古である。
2006年の映画祭は、国際映画製作者連盟 (FIAPF) 公認の国際映画祭のうち、上映作品数で第41位(115本)、来場者数では第10位(174,000人)であった。
歴史
最も歴史の古い国際美術展であるヴェネツィア・ビエンナーレの第18回(1932年)の際に、映画部門として開始された。国際映画祭としては最初ともいわれる。初回の最優秀賞は観客の投票で決められた。1934年から1942年までは、最高賞が「ムッソリーニ賞」であった。第二次世界大戦のために1940年から1942年は参加作品が激減する。戦後も低迷していた中、1950年代に多くの日本映画を世界に紹介した。
1979年から1982年にカルロ・リッツァーニがディレクターを務めた間に、現在のプログラム構成に繋がるプログラミングが行われ、再度脚光を浴びることとなった。長らくマーケット部門を持たず商業よりも芸術の映画祭として続いてきたが、2002年にマーケットが設けられるなど、商業映画の比重は次第に高まっている。
公式賞
- 金獅子賞 (Leone d'Oro / Golden Lion)
- 最高賞 (作品賞)。受賞者には金色の獅子のトロフィーが贈られる。
- 銀獅子賞 (Leone d'Argento / Silver Lion)
- 監督賞。受賞者には銀色の獅子のトロフィーが贈られる。
- 審査員大賞 (Gran Premio della Giuria / Grand Jury Prize)
- 男優賞、女優賞
- 正式には男優賞と女優賞をあわせてヴォルピ杯 (Coppa Volpi / Volpi Cup) であり、同名のトロフィーが授与される。映画祭の創設者であるジュゼッペ・ヴォルピの名を冠している。
- マルチェロ・マストロヤンニ賞 (Premio Marcello Mastroianni / Marcello Mastroianni Award)
- 新人俳優に授与される (新人俳優賞)。イタリアの俳優マルチェロ・マストロヤンニを冠している。
- 脚本賞 (Premio per la Migliore Sceneggiatura / Award for Best Screenplay)
- 審査員特別賞 (Premio Speciale della Giuria / Special Jury Prize)
- ルイジ・デ・ラウレンティス賞 (Il Premio Luigi De Laurentiis / The Luigi De Laurentiis Award)
- 全長編上映作品の中から初監督の作品を対象に贈られる (新人監督賞)。イタリアのプロデューサーであるルイジ・デ・ラウレンティスを冠している。
- クィア獅子賞 (Leone Queer / Queer Lion)
- 全長編上映作品の中からLGBTやクィアカルチャーを扱っている作品を対象に贈られる。
- 監督・ばんざい!賞 (Premio Jaeger-LeCoultre Glory to the Filmmaker / Glory to the Filmmaker! award)
- 現役で、将来に渡って活躍が期待される映画監督を対象に贈られる。北野武監督の『監督・ばんざい!』に因んでいる。
- 栄誉金獅子賞 (Leone d'oro alla carriera / Golden Lion – Honorary Award)
- 栄誉賞。映画芸術に特別な貢献をした映画人に贈られる。
他にオリゾンティ部門の上映作品に対する賞、短編部門の賞などがある。
日本に関係した事象
また、第54回(1997年)には、塚本晋也が日本人として大島渚以来となる審査委員を務めた。
1982年、50周年記念行事で歴代グランプリ作品中最高の作品「獅子の中の獅子」栄誉金獅子賞 (Career Golden Lion) に黒澤明の『羅生門』が選ばれた。2005年には宮崎駿に、優れた業績を表彰するために栄誉金獅子賞が贈られた。