ワルサーP99

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テンプレート:Infobox ワルサーP99(Walther P99)は、ドイツの銃器メーカーであるワルサー社(Walther GmbH : 創始者カール・ヴァルター)が1996年に開発した自動拳銃ワルサーP38の後継モデル開発に失敗し続けたワルサー社が、ウマレックスUmarex)社に買収されて以降にリリースされた。

特徴

P99は、ワルサー社初のポリマーフレームを採用した。グロック17H&K USP等、先行する他社のポリマーフレーム拳銃を参考にし、独自の改良を施している。フレームが一体成型されている他のポリマーフレーム拳銃と異なり、グリップ後部のバックストラップと呼ばれる部品が交換式となり、使用者の手に合うよう形状を3段階[1] に変更できる。

露出した撃鉄を持たないハンマーレス型となっており、目視や指による触感で撃発可能な状態か確認できるよう、スライド後端からストライカーの一部が突き出す構造になっている。装填についても、薬室内に弾薬が装填されるとスライド側面のエキストラクターが動き、後端に赤い印が現れることで目視と接触による確認が可能になっている。

バリエーション展開として、S&Wによるライセンス生産モデル「SW99」、炭酸ガス式の空気銃(日本では実銃扱い)「CP99」、そして日本向けモデルとしてマルゼンと契約したエアソフトガンなどが存在する。007の主人公ジェームズ・ボンドが愛銃をワルサーPPKからP99に換えたのを記念した特注モデルもある。

初期に生産されたものの中には各部品の耐久性に問題があるものが混入していたため、当時を知る銃砲店員からは評判が悪い[2]

ドイツが警察用ピストルとして認定しているが採用した州は少なく、民間販売も振るわないとされているが、2006年度の初頭には、ヘッケラー&コッホを破り、ドイツのノルトライン=ヴェストファーレン州警察とドイツ税関本部の実行部隊が、ダブルアクションオンリーモデルである「P99DAO」を制式採用した。ポーランドでは、軍や国家警察の次期制式拳銃に、国産ではなく、現行型の本銃を選定したと公式発表した。

ドイツ以外にもポーランドのラドム社(ポFabryka Broni "Łucznik"、 英Łucznik Arms Factory)でも生産されており、ポーランド製のものはスライド部分にFBの刻印がある。

トリガーバリエーション

P99は、トリガー(引金)の動きには、DAO(ダブルアクションオンリー:ダブルアクションのみ)に加えて、二つのパターンが存在する。

  • AS(アンチストレス)
初弾発射後は普通のシングル/ダブルアクションだが、初弾装填時には、引金の動く幅がダブルアクションで作動はシングルアクションという状態になる。この状態は「ロングストロークシングルアクション」と呼ばれる。引き金の動く幅が大きくなることで、極度の緊張時に、不意の物音などで射手の人差し指が思わず動き、暴発させてしまうのを防ぐ働きがある。
  • QA(クイックアクション)
常に撃針がダブルアクションとシングルアクションの中間にあり、シングルアクション以上ダブルアクション未満の重さと動きで発砲できる。スライド上部にAS同様にデコッカー・ボタンがあるが、非常に小型で、ドイツ語マニュアルでは、ボールペン等で押すのがよいと書かれている。

登場作品

映画・ドラマ・テレビ映画

第18作『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』以降から第21作『007 カジノ・ロワイヤル』までジェームズ・ボンドが使用。
シーズン4第12、13話でコンロンが使用。 
兵士が使用。
チェイス&アクション編第1話にてクロロフが使用。サプレッサー装着。
セリーンがセミオートと3点バーストを切り替えられる装置を装着したものを使用。
ミリの使用拳銃。
モーフィアスが使用。
神崎耕平が使用
新見旭が使用
ローグ “ヴィクター・ショウ”がハーフシルバーモデルを使用。薬莢がチタニウム製になっている。
ジョー・ドミンゲスが使用。
マンフレッド・パウエルとアレックス・ウェストが使用。
第22話に登場
特殊部隊の女性隊員が所持(発砲なし)。
ウー・インションがP226に替わるサイドアームとして使用するも、レイ・ムーシャに奪われ犯行の濡れ衣を着せられてしまう。
主人公ジャック・グラム(アル・パチーノ)が使用。
カイル・ホッブス(チャールズ・メジャー)が使用。

漫画・アニメ

「誰がために星は瞬く」を除き、ルパン三世が使用。もともと所持していたP38の後継者という位置づけでもある。
ミレイユが使用。
ジェット・ブラックが使用。
エクレールが使用。
沼井充の支給武器。沼井の死亡後は桐山和雄が、桐山死亡後は中川典子が使用。
峰理子が2丁拳銃で使用。
主人公の春介がP99のエアーソフトガンに、アンダーレイルにレーザーサイトを装着した状態で使用。

ゲーム

プレイヤー・キャラクターの所属する真帝国軍の制式拳銃。
作中名称はウォルフラムP2K。レーザーサイトを標準装備し、サプレッサーの着脱が可能。装弾数16発。
プレイヤー・キャラクターの初期装備の一つ。サプレッサーの着脱が可能。装弾数10発。
プレイヤー・キャラクターの初期装備の一つ。サイレンサーの取り付けが可能。装弾数15発。控え60発。
P9Pとして登場する。サプレッサーおよびフラッシュライトを標準装備している。装弾数は9発。
作中の使用可能な拳銃の一つ。
シルバースライドモデル。サプレッサーやロングマガジンなどのオプション装備が可能。
プレイヤー・キャラクターの装備品の一つ。

ワルサーP99の遊戯銃

ファイル:MODEL P99.JPG
SⅡSのエアコッキングガン(旧バージョン)

日本国内で販売されているP99の遊戯銃は以下のものがある。斜め表記のものは販売終了。

ワルサー社と正式契約を結んだことで、P99を模した玩具ではなく、日本市場向けの6mmBB弾モデルと位置づけられている。P99のガスブローバックガン固定スライドガスガン、P99コンパクトのガスブローバックガンが発売されている。引金はガスブローバックガンがAS、固定スライドガスガンがDAO。
P99DAO。ワルサー刻印入り。
P990のガスブローバックガンと、ワルサー刻印入りのP99のエアコッキングガン。刻印なしの旧バージョンは廃盤。
P99のエアコッキングガン
  • KTW (台湾Y&P製)
ワルサー刻印入りエアコッキングガン
  • BWC (台湾KWC製)
ワルサー刻印入りのP990ガスブローバックガン

脚注

  1. 大きめの手に合う「L」、小さめの手に合う「S」、中間の「M」。
  2. 月刊Gun』2008年11月号 LA支局「ワルサーP99 ジェームズ・ボンドのパートナー」国際出版

関連項目

外部リンク

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