レッド・ツェッペリン II
テンプレート:Infobox レッド・ツェッペリン II (LED ZEPPELIN II)は、イギリスのロックグループ、レッド・ツェッペリンの第2作アルバム。1969年10月22日発売。プロデューサーはジミー・ペイジ。レコーディング・エンジニアはエディ・クレイマー。
録音
レッド・ツェッペリンのファースト・アルバム『レッド・ツェッペリン I』の成功に気を良くしたアトランティック・レコードは早く次のアルバムを出すよう、バンドに強い圧力をかけた。本作は、こうしたプレッシャーの中で制作された。
そのため本作は、多忙なステージ・スケジュールの合間を縫って、ホテルの部屋で作曲したものを英米各地のスタジオで断続的に録音することとなった。ベーシック・トラックの多くはロンドンのオリンピック・スタジオで収録されたが、オーバーダビング、ミックスダウンなどは、その時その時、手近にあるスタジオに飛び込んで行なわざるを得なかった。時にはスタジオにちゃんとしたモニター・スピーカーが無く、ヘッドフォンでバランスを確認しながら作業したこともあるという。しかしながら全体としては統一感のある作品に仕上がっている。
ジャケット
前作のモノクロ・シングル・ジャケットから一変して、カラーの見開きジャケットとなった。表にはツェッペリン飛行船のシルエットを背景にした飛行服の一団が描かれ、その中にレッド・ツェッペリンのメンバーもいる。これはドイツ空軍の資料写真にエアブラシでメンバーの顔を描き込んだもの。インナー・スリーブには神殿(または墓所)の上空に漂うツェッペリン飛行船が描かれている。
収録曲
(LPレコードの表記をもととする)
Side A
- 胸いっぱいの愛を(Whole Lotta Love / Bonham, Jones, Page & Plant)
- 強き二人の愛(What is and What Should Never Be / Page & Plant)
- レモン・ソング(The Lemon Song / Bonham, Jones, Page & Plant)
- サンキュー(Thank You / Page & Plant)
Side B
- ハートブレイカー(Heartbreaker / Bonham, Jones, Page & Plant)
- リヴィング・ラヴィング・メイド(Livin' Lovin' Maid <She's Just A Woman> / Page & Plant)
- ランブル・オン(Ramble on / Page & Plant)
- モビー・ディック(Moby Dick / Bonham, Jones & Page)
- ブリング・イット・オン・ホーム(Bring It on Home / Page & Plant)
本作からロバート・プラントが作者としてクレジットされ、「ペイジ&プラント」コンビの出発点となった。他方、前作と同様にクレジットの不備による著作権表示の不正が見られた。
- A-1の歌詞には独自なものは無く、歌詞の全てがウィリー・ディクソンが書いたマディ・ウォーターズのナンバー、"You Need Love"から流用されたものである。後に著作権問題で訴えられ、クレジットをDixon, Bonham, Jones, Page, Plantに変更した。
- A-3はハウリン・ウルフの"Killing Floor"に、ロバート・ジョンソンの"Travelling Riverside Blues"の歌詞が織り交ぜられている。後にローリング・ストーン誌から勧められたハウリン・ウルフに抗議されたが和解、クレジットをHowlin' Wolf, Bonham, Jones, Page, Plantに変更した。
- B-5のオープニングとエンディング部分のブルースはサニー・ボーイ・ウィリアムソンIIの同名ブルース曲の引用である。『伝説のライヴ』(2003年発売)において、この曲は"Bring It on Home" (Dixon, Page, Plant)と"Bring It on Back" (Bonham, Jones, Page, Plant)とのメドレーとしてクレジットされた。
- なお、1969年6月に"We're Gonna Groove"が録音されたが、このアルバムには収録されなかった[1]。
チャート・アクション
『レッド・ツェッペリン II』は1969年10月22日、まずアメリカで発売された。ビルボードのチャートで初登場199位であったが、翌週には15位へと、チャート史上空前の大躍進を遂げる。年末には彼らにとって初めての首位を獲得し、7週間その地位を守った。イギリスでは10月30日に発売され、138週チャートイン。1970年2月には首位を獲得した。
影響と評価
『レッド・ツェッペリン II』は極めて過酷な環境の中で慌ただしく録音された。しかし過酷な環境はむしろメンバーに高揚感を生じ、アルバム収録全曲が鋭角的で攻撃的な仕上がりとなった。このアルバムの力で「レッド・ツェッペリン」=「大音響のヘヴィ・ロック」という図式が聴衆に浸透した。A-1「胸いっぱいの愛を」は短縮版がシングルカットされ大ヒットし、ビルボードのチャートで4位となる。「ツェッペリンといえば胸いっぱいの愛を」というイメージができあがった。このイメージから脱却するため、次作『レッド・ツェッペリン III』では大きく路線の転換を図った。
「胸いっぱいの愛を」で使われた「一度と五度のみ(三度省略コード)の連打リフ」は後に多くのハードロック、ヘヴィ・メタルのバンドに模倣され、ロックの基本バッキングフレーズとなった。
注
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- ↑ 『最終楽章 (コーダ)』所収の"We're Gonna Groove"は、1970年1月9日、ロイヤル・アルバート・ホールで録音されたライヴ音源に手を加えたものであることが判明しているが、レコーディング・エンジニアのアンディ・ジョーンズは「1969年、モーガン・スタジオでレコーディングを行なった」という主旨の証言をしている。