ヤマハ・SYシリーズ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
SYシリーズ(エスワイシリーズ)はヤマハのシンセサイザーの機種のシリーズ。
概要
90年代前半に発売された。このシリーズの特徴は一部の機種を除きPCM音源とFM音源のハイブリッド音源を搭載し、両者をかけ合わせることで、音色を作りかえられるという点である。モジュールタイプ(鍵盤のない音源だけのタイプ)はTGシリーズと名付けられた。以下の機種が発売された。
94年には音色合成より伴奏データ作成を主眼に置いたWシリーズが発売され、それに移行したとも考えられるが、Wシリーズの発売後もSY99、SY85、SY35は継続販売されていた。直系の後継機種と言えるのは、98年発売のハイブリッド音源を搭載するEXシリーズで、EXシリーズ発売によって製造中止となった。
シリーズのモデル
- SY99
- 1991年発売。SYシリーズの最上級モデル。76key。32音ポリ。RCM音源と呼ばれるPCM音源とFM音源をかけあわせられるハイブリッド音源を持つ。PCM音源部は8MBのWAVE ROM。0.5MbyteRAM標準装。(最大拡張時3Mbyte) サンプラーTX16Wの波形を読み込むことも可能である。FM音源部は6オペレーター、45アルゴリズム。最大27000音、10ソング記録可能なシーケンサーを搭載。2系統最大4種類のエフェクトを同時使用可能。マスターキーボード機能も搭載。定価は当時の値段で420,000円(税別)。なお、重量が20kg近くもあった。別売りカードで波形を拡張可能。
- 浅倉大介が初期のaccessで楽曲制作・ライブに多用していた。(映像や誌面等でも確認できる)DREAMS COME TRUEでも90年代を通して使用されていた。
- SY77
- 1989年発売。61key。32音ポリ。SY99と同じくRCM音源内蔵。SY99より先にリリースされたため、PCM波形の量が少ない。シーケンサーを搭載したワークステーションタイプである。定価は当時の値段で300,000円(税別)。3Uサイズにした、モジュール版TG77もある。別売りカードで波形を拡張可能。
- SY85
- 1992年発売。SYシリーズの最終モデル。PCM音源オンリーの機種。61key。30音ポリ。スライダーを利用して音色変化可能。WAVE ROMは6MB。SY99同様、サンプラーTX16Wの波形を読み込むことも可能。同じくMIDIサンプル・ダンプ・スタンダート基準にも対応。別売RAMボードの他、汎用のSIMMでもメモリーの拡張ができる。シーケンサーを搭載したワークステーションタイプである。
- ソフトバレエがMILLION MIRRORSツアーでマスターキーボードとして使用していた。また小室哲哉も“篠原涼子 with t.komuro”『恋しさとせつなさと心強さと』のPVで、P-500の上にセットしていた。
- SY55
- 1990年発売。PCM音源オンリーの機種。61key。イニシャルタッチ、アフタータッチ付き。16音ポリ。波形容量2MB。74種類。デジタルフィルターはローパス、ハイパス、バンドパスを搭載。フィルターはレゾナンス発振可。デジタルエフェクターはリバーブ系は34種類を搭載。8トラックのシーケンサーを搭載しているワークステーション。
- SY35
- 1992年発売。FM音源、PCM音源のハイブリッドモデル。61key。16音ポリ。コルグのWAVE STATIONと同じようにベクターコントローラーを持ち、リアルタイムに音色変化可能。SY22の音色を差し替えたリニューアルモデル。SY22から波形メモリーが2倍に増やされている。シーケンサーなしのモデル。デスクトップタイプのモジュール版TG33もある。
- SY22
- 1990年発売。FM音源、PCM音源のハイブリッドモデル。61key。16音ポリ。ベクターコントローラーを持ち、リアルタイムに音色変化可能。シーケンサーなしのモデル。
備考
- アナログシンセサイザーにもSYと言う型式の機種がある。それは、同社のシンセサイザー第一号機のSY-1である。