ミクストメディア

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ミクストメディア(mixed media) とは、美術において、1つの作品あるいは制作にあって、複数のメディア:媒体を用いた技法のことである。いわば、媒体の合成であって、その作品も指す。

この文脈でメディア或いは媒体は油絵具水性絵具といった特定の種類バインダーによる絵具を用いて、且つ、他の種類のバインダーを用いた絵具を用いない方法を指すこともあれば、版画の技法の併用することを指すこともあり、絵画彫刻写真映画ビデオ音楽、ほか日用品や廃物、拾ってきたものなど様々な操作と素材とを併用する場合を指すこともある。

美術において成立する術語を用いた修辞による修辞的に巧妙な熟語であり、制作様式の形成、確立、及び、立脚にとって示唆的な語である。 ミクストメディアである作品の様相は多様であり、かつては煩雑さを武器に領域を拡大したような形式様式が流布していたが、突如急激に著しく廃れた。近年では諸処の媒体を入念かつ子細に検討し精緻に組み合わせたものも珍しくない。乱雑な併用から抜け出せないようなものもあるし、既存の分類との不整合から仕方なくミクストメディアであるものもある。

インスタレーションアート、特に、複数の「作品」をまとめて1つとするような作品、展示場所と一体化され会場空間自体を作品とする作品などの場合は、ミクストメディアである場合も多い。なお、マルチメディアはミクストメディアとは異なる概念であり、芸術の表現技法の範疇において使われることはない。

日本の絵画において混合技法と呼ばれることがあり、代表的な操作としてテンペラと油彩を交互に使用する古典技法であると宣言された技法である。これに関しては、坂本一道佐藤一郎の影響が大きい。現代美術においては絵画表現に限らず、上記のような複合技法を用いた立体作品などもミクストメディアと表記されることがある。

ミクストメディア

ミクストメディアを使用する絵画を起点とする技法を採用する作家

ミクストメディアの作品と紹介されている例

  • ロブスター・テレフォン、サルバドール・ダリ1936年、15x30x17cm、ボイマンス・ファン・ベーニンゲン美術館(ロッテルダム)、テート・ギャラリー(英国、ロンドン)、エドワード・ジェームズ財団(英国、サセックス)、『世界の美術』(アンドリュー・グレアム=ディクソン、河出書房新社、2009年)475ページより

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