ホン
ホン (phon) またはフォン、ホーンは、ラウドネス(音の聴覚的な強さ)のレベルの単位である。
基準音圧を20μPaとした音圧レベルのデシベル (dB) 値を周波数ごとに補正した値であり、
という特徴を持つ。
過去には、「ホン」が騒音レベルの単位としても使われていたことから、ときに混同されるが、ラウドネスレベルと騒音レベルは下記のように異なる定義を持つ物理量である。
ラウドネスレベル
1000ヘルツの純音のホンは、その音圧レベルを表すdBに等しい。これ以外の周波数のホン値は、同じラウドネスに聞こえる1000ヘルツの純音のデシベル値に等しい。したがって、同じホンの音は(個人差等もあるがほぼ)同じ大きさに聞こえる。
音圧レベルのdB値とホンの関係は等ラウドネス曲線に一致するはずだが、実際には測定条件や個人差などの違いにより、研究者ごとに異なる等ラウドネス曲線が導き出されている。ホンの算出には、ISO 226:2003で規格化された等ラウドネス曲線を使う。
なお、等ラウドネス曲線が等間隔でないため、同じ周波数で音圧が1dB増えてもラウドネスレベルが1ホン増えるとは限らない。
ラウドネス「レベル」ではない、ラウドネスの単位にソーンがある。ホンとソーンには「ホン ÷ 10 - 4 = log2ソーン」の関係がある。ラウドネスはISO532で規格化されている。
騒音レベル
騒音レベルは、周波数ごとに定められた特性値を音圧レベルのdBに足して得られる。音圧で考えれば、周波数ごとに定められた値を掛けていることになる。
騒音レベルは騒音計で測定される。通常、レベル化する際には時間的に平滑化するために時間重み特性をかける。
特性には、IEC 61672:2003で規格化されたA特性(または周波数重み付けA)、B特性(ほとんど使わない)、C特性があり、それらを使って得られた騒音レベルはかつてはホン(A)、ホン(B)、ホン(C)で表された。ただしこの意味でのホンは日本の計量法上は1997年9月30日で廃止され、現在は単にデシベル(dB)を使う。
A特性であることを明示する場合にはdB(A)、dBAなどと書くが、単にdBとだけ書くことが多い。ISOやJISのJIS Z8203では単位記号 (dB) に余計な記号を付けることは推奨されない。
騒音は多数の周波数の音が混合しているため、実際の測定では、騒音を周波数分解して、それぞれの周波数ごとの音圧に特性のデシベルを比に換算した値を掛け、それらを足し合わせてデシベルに換算する。
なお、騒音レベルは聴覚補正はされているが、電気回路化が容易であるように、特性が実際の等ラウドネス曲線より単純な曲線であることと、デシベルでの単なる加減算であることから、ラウドネスレベルとはあまり一致せず、同じデシベル値を持つ騒音レベルでも、周波数の違いにより同じ大きさに聞こえるとは限らない。また、単なる加減算であるため、同じ周波数なら音圧が1dB増えれば騒音レベルも1dB増える。