ヒドロキノン

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テンプレート:Infobox 有機化合物

ヒドロキノン (hydroquinone) は、化学式 C6H6O2、分子量 110.11 の二価フェノールハイドロキノンと表記される場合が多い(英語の発音は「ハイドロキナン」が近い)。体系的なIUPAC命名法では 1,4-ベンゼンジオール、p-ベンゼンジオール。ヒドロキノンの名称はこの化合物がp-ベンゾキノン還元によって得られたことから来ている。ヒドロキシ基の位置が異なる異性体としてカテコール (1,2-体)、レゾルシノール (1,3-体)がある。

性質

常温常圧で無色の固体。にもエーテルにも可溶。動物実験などにおいてはフェノールと同様に変異原性が認められている。

還元力が強く、容易に酸化されて p-ベンゾキノンとなる。

用途

合成や写真現像において還元剤として用いられる。また重合防止剤及びその原料、染料の原料、ゴムの酸化防止剤原料、エンジニアリングプラスチック原料、農薬原料等としても利用されている。ヒドリドを放出してベンゾキノンとなる事ができるため、ヒドリド源としても用いられる。医薬部外品として美白剤として処方されている。これら製品の使用中および使用後はサンスクリーンの使用や肌を守る為の衣服の着用が勧められている。

合成法

主に、フェノールの酸化により製造される。

酸化剤として過酸化水素触媒にベータゼオライト (H-BEA)、助触媒にジエチルケトンを用い、フェノールを酸化する。この際ヒドロキノンと共にカテコールが併産される。H-BEA をアルカリ土類金属でイオン交換することにより選択性が改善する。環境負荷の少ない過酸化水素を酸化剤に用いたヒドロキノン合成プロセスという点では宇部興産によりすでに実用化されていたが、ここで紹介した反応法は、それをさらに改善するための研究で発見されたものである。

過硫酸カリウムを用いるエルブス過硫酸酸化も、フェノールからヒドロキノンを得る一手法である。

p-ベンゾキノンを亜硫酸などの適当な還元剤により還元することによっても得られる。

製造者

生産能力の大きい順にローディア(仏)、三井化学、イーストマンケミカル(米)、ボレガード(諾)、射陽化工(中)が主な製造者である。

美容分野でのヒドロキノン(ハイドロキノン)

医薬部外品としてのヒドロキノン(皮膚薬の場合はハイドロキノンと呼ばれることのほうが多い)は、その強力な漂白作用を利用したもので、美白剤として皮膚科などで処方されるほか、薬局などでヒドロキノン配合の軟膏クリーム等が市販されている。市販のヒドロキノン剤は通常2%~4%程度の濃度のものが多い。アメリカ食品医薬品局(FDA)では2%以上の濃度はドクターの管理下により処方されている。

ビタミンAの一種であるトレチノインと併用することで、皮膚の漂白効果がより高まるとされ、クリーム製剤が市販されている。

東京工業大学新潟薬科大学の研究グループによりヒドロキノンとセタルコニウムクロリド(benzylcetyldimethylammonium chloride、BCDAC)などの界面活性剤との結晶性分子錯体が開発され、その錯体中でヒドロキノンの安定性が向上しかつ徐放性を持たせられた[1]。酸化・変質しにくい性質を利用して「新型ハイドロキノン」「安定型ハイドロキノン」などの名称で化粧品などに配合されている。

人体への危険性

世界保健機関(WHO)の外部機関である国際がん研究機関(IARC)はグループ3(ヒトに対する発がん性は分類できない)と評定したが[2][3]、2006年8月29日、アメリカ食品医薬品局(FDA)は発癌性への懸念があるとして、アメリカ国内での一般用医薬品への店頭販売禁止を提案。現在は2%以下が店頭にて、4%以上は処方箋が必要。

ラットにおける動物実験では腫瘍による腫れ、甲状腺癌赤血球大小不同症白血病、肝細胞腺腫、腎癌などの発生率上昇が認められた[4]

また、複数の研究で組織褐変症の発生が報告された[4][5]

現在、ヨーロッパの多くの国で人体への使用が禁止されている[6][7]

日本では2%までの配合が厚生労働省により許可されている。また、名称が類似したハイドロキノンモノベンジルエーテル(モノベンゾン)は許可されていない。

参考文献

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  1. 大橋、飯村 特許公開2004-99542、特許第3712066号。
  2. [2]
  3. IARCのグループ3の発癌物質のリスト
  4. 4.0 4.1 テンプレート:Cite report
  5. テンプレート:Cite journal
  6. アーサー・ペリー医師による危険性についての回答文
  7. NaturalFairness.comによる警告文