パーキンソン症候群

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テンプレート:Infobox Disease パーキンソン症候群 (Parkinson's syndrome) とはパーキンソン病およびパーキンソン病症状を呈する疾患の総称である。パーキンソニズム (parkinsonism) ともよばれるが、パーキンソニズムは疾患群を意味するほかに下記の症状そのものをも意味する。

定義

パーキンソン症候群とは安静時振戦、無動(瞬目減少、仮面様顔貌、運動量の減少、運動の緩慢さ)、筋強剛、姿勢保持反射の主要四徴候のうち2つ以上が認められる場合をいう。文献によっては四肢体幹の屈曲位、すくみ現象を含めた六徴のうち安静時振戦、無動のほかもうひとつがあった場合を指す場合もある。筋強剛を中核症状と考えることが多い。

分類

大まかに1.パーキンソン病、2.その他の神経変性疾患、3.症候性 (二次性) パーキンソニズムに分けるとわかりやすい[1]

パーキンソン病

症状の原因が明らかでないパーキンソニズムを本態性パーキンソニズムという。そのほとんどがパーキンソン病であるが、そのほかに若年発症パーキンソニズム、遺伝性パーキンソニズムを分類することがある。 テンプレート:Main

孤発性パーキンソン病

以下の3疾患を合わせて「レビー小体病」と呼ぶ概念も提唱されている。

家族性パーキンソン病

  • 常染色体優性遺伝性
  • 常染色体劣性遺伝性

他の神経変性疾患

  • 進行性核上性麻痺
    進行性核上性麻痺(しんこうせいかくじょうせいまひ、PSP (progressive supranuclear palsy))は、視床下核、黒質など脳内の特定部位の神経細胞が減少することにより、眼球運動障害(特に垂直方向)、歩行異常や姿勢異常(頭部や上半身の後屈)、認知症や嚥下困難などを起こす疾患。このような古典的症状を呈する型 (リチャードソン症候群ともよばれる) 以外に、様々な亜型が存在することがわかってきた。日本では特定疾患に指定されている。パーキンソン病との鑑別が難しいことがある。また、パーキンソン症と異なり薬物による治療法は現在ない。
  • 大脳皮質基底核変性症
    大脳皮質基底核変性症(だいのうひしつきていかくへんせいしょう、CBD)は、パーキンソン症状や、腕や手が思い通りに動かない観念運動失行などを主な症状とする疾患。日本では特定疾患に指定されている。
  • 多系統萎縮症
    パーキンソン症状、小脳失調、自律神経障害などを症状とする孤発性の疾患。元来線条体黒質変性症 (SND) 、オリーブ橋小脳萎縮症 (OPCA) およびシャイ・ドレーガー症候群 (SDS) の3つの疾患が一つの疾患として認められるようになった。現在では、パーキンソニズムを主な症状とするMSA-Pと小脳症状を主とするMSA-Cに分類するようになった。
  • パーキンソン病認知症複合
    パーキンソン認知症複合(PDC) とも筋萎縮性側索硬化症/パーキンソン認知症複合 (ALS/PDC) とも呼ばれる。
  • ハンチントン病
  • 前頭側頭型認知症パーキンソニズム (FTDP-17)
  • アルツハイマー病

症候性パーキンソニズム

パーキンソン症状の要因が明らかなものを症候性パーキンソニズムという。

症状

テンプレート:Main 安静時の振戦(ふるえ)、筋強剛(筋固縮)、無動(または、寡動)、姿勢保持反射障害の運動症状を主徴とする。結果として小刻み歩行・加速歩行(注1)などの歩行異常、前傾姿勢、表情が乏しくなる仮面様顔貌、小字症などの症状が見られる。また、無動のため言動が鈍くなり一見して認知症(痴呆)のようにみえることもあるが、実際に認知症を合併する疾患もあり鑑別を要する。また、うつ症状などの精神症状を合併する場合がある。他には発汗低下、起立性低血圧、便秘、排尿障害(尿閉)などの自律神経症状も見られる。

注1:血管性パーキンソニズムでは加速歩行(突進現象)は比較的生じにくいとされている。

これらの症状をすべて合併したもの、または一部が見られる症候をパーキンソニズム(パーキンソン症状)とする。ADL(生活に必要な能力)を大きく障害するため福祉リハビリテーションにおいても大きな課題となる。

原因

原因が不明ともされているが、脳の血管障害、薬の副作用だけではなく、一酸化炭素#一酸化炭素中毒の後遺症として本症状が発生する事が多くある。[2][3]

治療

現在唯一治療可能なものは薬剤性パーキンソニズムであり、何よりも原因となった薬剤の投与を中止する。それ以外のパーキンソニズムに対しては治療は対症的なもののみで、原因に対するものはまだ実験段階である。

パーキンソン病をはじめとして、これに属する疾患はいずれも完治は困難である。様々な医学的アプローチが検討されているが、現在のところ一時的な症状改善や進行を遅らせる程度にとどまっている。

薬物療法

薬物療法としては、ドーパミンの前駆物質であるL-Dopa(ドパストン®)、ドーパミン分泌を促進する塩酸アマンタジン(シンメトレル®)等のドーパミン作動薬を投与しドーパミンを増やしたり、効果を増強する、ドロキシドパ(ドプス®)の投与でノルアドレナリンを増やす、塩酸トリヘキシフェニジル Trihexyphenidyl (アーテンArtane®)やアトロピンなどの抗コリン薬の投与によりアセチルコリンの影響を減らす、等が行われるが、徐々に必要量が増加する他に、症状の日内変動、日差変動も生じることが多く、症状の変動に合わせた処方の調整が必要である。

他にネオドパストン®・メネシット®(カルビドパ+レボドパの合剤、カルビドパは末梢でのレボドパの消費を防ぐ)、ドーパミン受容体刺激薬であるパーロデル®(プロモクリプチン)、ビ・シフロール®(プラミペキソール)やカバサール®(カベルゴリン)、MAO-B阻害剤であるエフピー®(セレギリン)などがある。 ドーパミン受容体刺激薬はジスキネジアやon-off現象が少ないといった特徴がある。

その他

薬物療法以外では、姿勢反射障害、歩行困難等に対しては、足底装具の処方、リハビリテーション訓練などが行われる。

また、スティーヴン・ホーキングが使用しているような意思伝達装置の導入により、意思伝達を行っている人がいる。 日本語版には、伝の心(でんのしん)・トーキングパートナー、英語版には、ホーキングと同じwordsplus・ワンタッチで操作可能なezkeysがある。

鑑別疾患

脚注

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関連

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