パブリック・イメージ・リミテッド
テンプレート:Infobox Musician パブリック・イメージ・リミテッド(Public Image Ltd)は、ジョン・ライドンが1978年に結成したイギリスのロック・バンド。略称はPIL。
メンバー
- ジョン・ライドン - ヴォーカル
- ブルース・スミス - ドラム
- ルー・エドモンズ - ギター
- スコット・ファース - ベース
元メンバー
- ジム・ウォーカー - ドラム(1978)
- ジャー・ウォブル - ベース(1978-80)
- キース・レヴィン - ギター(1978-83)
- マーティン・アトキンス - ドラム(1979-80, 1982-85)
来歴
1978年、セックス・ピストルズを脱退したジョン・ライドンは、レゲエの本場ジャマイカで3週間の休暇を過ごしたのち[1]、レゲエ好きの友人ジャー・ウォブルと、ザ・クラッシュの元ギタリストキース・レヴィンに声を掛け、新バンドを結成した。ドラマーのジム・ウォーカーはオーディションによって雇われた。1978年12月にファーストアルバム『PUBLIC IMAGE』をヴァージンから発表。しかし大きな反響は得られなかった。
約1年後、満を持してセカンドアルバム『Metal Box』(1979年11月)を発表。既にドラマーのジム・ウォーカーは制作開始時には在籍しておらず、ドラムはデービッド・ハンフリー、リチャード・デュダンスキー、ジャー・ウォブル、キース・レヴィン、マーティン・アトキンスによって演奏された。このアルバムはヒットチャートの上位にランクインし、音楽的なユニークさからもかれらの代表作とされている。発表直後、ウォブルが意見の相違のためバンドを脱退。彼の最初のソロアルバムは、『メタル・ボックス』の音源を無断流用したものだった。またマーティン・アトキンスも一旦解雇となる。
メンバーはマーティン・アトキンスを呼び戻し、新しいベーシストを迎えることなく、『Flowers Of Romance』(1981年4月)を発表[2]。
長いブランクを挟み、ジョン・ライドンとキース・レヴィンは『Commercial Zone』を録音。しかしリリース直前に意見の相違によりキース・レヴィンが脱退。キース・レヴィンは自主制作盤としてこの録音を発表。PIL(ジョン・ライドンとマーティン・アトキンス)はその別バージョンといえる『This is what you want, This is what you get』(1984年7月)を発表。
その後PILはライドン中心の流動的なプロジェクトとなり、『Album』(1986年2月)を発表。『Happy?』(1987年9月)以降はパーマネントなバンド編成となり、『That What Is Not』(1992年2月)を最後に活動を休止。2009年12月のイギリスミニツアーで活動を再開した。
2012年5月に『This Is PiL』を発表。20年間リリースが無かったことについて「自分の意志でそうしたわけではない」「レコード会社との契約が邪魔して取りかかれなかった。待ってタイミングを計るしかなかったんだ」と発言している[3]。
ディスコグラフィ
- First Issue, 1978
- 1.THEME 2.RELIGION I 3.RELIGION II 4.ANNALISA 5.PUBLIC IMAGE 6.LOW LIFE 7.ATTACK 8.FODDERSTOMPF
- ピストルズ時代のR&Rを拒絶したジャーマンロック的なサウンド。ライドンのヴォーカルスタイルも高くいななくようなものに変わっている。
- Metal Box, 1979
- 1.ALBATROSS 2.MEMORIES 3.SWAN LAKE 4.POPTONES 5.CAREERING 6.NO BIRDS DO SING 7.GRAVEYARD 8.THE SUIT 9.BAD BABY 10.SOCIALIST 11.CHANT 12.RADIO 4
- 45回転LP3枚組が、文字通り金属製のボックスに入った形で発売されたアルバム(映画のフィルムケース、あるいは地雷にも似た円盤状のボックス)。ジャー・ウォブルの地を這うようなベースと、キース・レヴィンのギター、ライドンの声が絡み合う。
- Second Edition, 1980
- 『Metal Box』に追加曲を組み込んで通常の33回転LPとしたレギュラー・バージョン。
- Paris au Printemps (live album), 1980
- 1.THEME 2.CHANT 3.CAREERING 4.BAD BABY 5.LOW LIFE 6.ATTACK 7.POPTONES
- パリ公演。観客に向かい、"Shut up!" と冷たく言い放つライドン。初期PILの貴重な記録。
- The Flowers of Romance, 1981
- 1.FOUR ENCLOSED WALLS 2.TRACK 8 3.PHENAGEN 4.FLOWERS OF RMANCE 5.UNDER THE HOUSE 6.HYMIES HIM 7.BANGING THE DOOR 8.GO BACK 9.FRANCIS MASSACRE
- ベースレス編成になったことで民族音楽に接近、呪術的なドラムサウンド。
- Live In Tokyo (live album), 1983
- 1.ANNALISA 2.RELIGION 3.LOW LIFE 4.SOLITAIRE 5.FLOWERS OF ROMANCE 6.THIS IS NOT A LOVE SONG 7.DEATH DISCO 8.BAD LIFE 9.BANGING THE DOOR 10.UNDER THE HOUSE
- 初来日公演を記録したライブ盤。45回転LP2枚組でリリースされた。セッションミュージシャンを起用した演奏は評判が悪かったが、アルバムとしてはヒットした。
- 1.BAD LIFE 2.THIS IS NOT A LOVE SONG 3.SOLITAIRE 4.TIE ME TO THE LENGTH OF THAT 5.THE PARDON 6.WHERE ARE YOU 7.1981 8.THE ORDER OF DEATH
- 『コマーシャル・ゾーン』の曲の再演では大胆にディスコサウンドを取り入れた。
- 1.FFF 2.RISE 3.FISHING 4.ROUND 5.BAGS 6.HOME 7.EASE
- ビル・ラズウェルがプロデュースしたハードなサウンド。坂本龍一、スティーヴ・ヴァイ、ジンジャー・ベイカーが参加。
- Happy?, 1987
- 1.SEATTLE 2.RULES AND REGULATIONS 3.THE BODY 4.SAVE ME 5.HARD TIMES 6.OPEN AND REVOLVING 7.ANGRY 8.FAT CHANCE HOTEL 9.SAVE ME
- マガジン、ポップ・グループなどの元メンバーが集まったバンド編成となる。サウンド的にはポップ路線。
- 9, 1989
- 1.HAPPY 2.DISAPPOINTED 3.WARRIOR 4.U.S.L.S. 1 5.SAND CASTLES IN HE SNOW 6.WORRY 7.BRAVE NEW WORLD 8.LIKE THAT 9.SAME OLD STORY 10.ARMADA
- 前作を引き継いだポップ路線の第2弾。ペット・ショップ・ボーイズやニュー・オーダー等のプロデューサーとして知られるステファン・ヘイグがプロデュース。
- The Greatest Hits, So Far (compilation), 1990
- 1.PUBLIC IMAGE 2.DEATH DISCO(7" Mix) 3.MEMORIES 4.CAREERING 5.FLOWERS OF ROMANCE 6.THIS IS NOT A LOVE SONG(LP Version) 7.RISE(Bob Clearmountain Remix) 8.HOME 9.SEATTLE 10.THE BODY(UK 12" Remix) 11.RULES AND REGULATIONS 12.DISAPPOINTED(12" Mix) 13.WARRIOR(Dave Dorrell Remix) 14.DON'T ASK ME
- 初のベスト盤。内容はレヴィン脱退後である後期の曲が中心。
- Box (box set), 1990
- That What Is Not, 1992
- 1.ACID DROPS 2.LUCKS UP 3.CRUEL 4.GOD 5.COVERD 6.LOVE HOPE 7.UNFAIRGROUND 8.THINK TANK 9.EMPEROR 10.GOOD THINGS
- 一部メンバーが入れ替わったポップ路線の第3弾。ピストルズの曲をサンプリングに使っている。
- Plastic Box (box set), 1999
- 全シングルのAB面と代表曲を集めたボックスセット。
- Public Image/Second Edition (two-in-one), 2003
- Public Image/Second Edition (3LP再発), 2006
脚注
- ↑ ヴァージン・レコードのリチャード・ブランソン社長も同行していたという。
- ↑ 渋谷陽一がこのアルバムをラジオ番組で紹介した際、「来日したときジョン・ライドンに和太鼓のレコードをプレゼントした。かれはそれを興味深く聴いていたそうで、その影響が感じられる」と語っている。
- ↑ PILが20年ぶり新作をリリース! ジョン・ライドン「オーディション番組は音楽をバカにしてる」@niftyミュージック 2012年5月30日