パブリック・イメージ・リミテッド

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テンプレート:Infobox Musician パブリック・イメージ・リミテッド(Public Image Ltd)は、ジョン・ライドンが1978年に結成したイギリスロック・バンド。略称はPIL

メンバー

  • ジョン・ライドン - ヴォーカル
  • ブルース・スミス - ドラム
  • ルー・エドモンズ - ギター
  • スコット・ファース - ベース

元メンバー

来歴

1978年セックス・ピストルズを脱退したジョン・ライドンは、レゲエの本場ジャマイカで3週間の休暇を過ごしたのち[1]、レゲエ好きの友人ジャー・ウォブルと、ザ・クラッシュの元ギタリストキース・レヴィンに声を掛け、新バンドを結成した。ドラマーのジム・ウォーカーはオーディションによって雇われた。1978年12月にファーストアルバム『PUBLIC IMAGE』をヴァージンから発表。しかし大きな反響は得られなかった。

約1年後、満を持してセカンドアルバム『Metal Box』(1979年11月)を発表。既にドラマーのジム・ウォーカーは制作開始時には在籍しておらず、ドラムはデービッド・ハンフリー、リチャード・デュダンスキー、ジャー・ウォブルキース・レヴィンマーティン・アトキンスによって演奏された。このアルバムはヒットチャートの上位にランクインし、音楽的なユニークさからもかれらの代表作とされている。発表直後、ウォブルが意見の相違のためバンドを脱退。彼の最初のソロアルバムは、『メタル・ボックス』の音源を無断流用したものだった。またマーティン・アトキンスも一旦解雇となる。

メンバーはマーティン・アトキンスを呼び戻し、新しいベーシストを迎えることなく、『Flowers Of Romance』(1981年4月)を発表[2]

長いブランクを挟み、ジョン・ライドンキース・レヴィンは『Commercial Zone』を録音。しかしリリース直前に意見の相違によりキース・レヴィンが脱退。キース・レヴィンは自主制作盤としてこの録音を発表。PIL(ジョン・ライドンマーティン・アトキンス)はその別バージョンといえる『This is what you want, This is what you get』(1984年7月)を発表。

その後PILはライドン中心の流動的なプロジェクトとなり、『Album』(1986年2月)を発表。『Happy?』(1987年9月)以降はパーマネントなバンド編成となり、『That What Is Not』(1992年2月)を最後に活動を休止。2009年12月のイギリスミニツアーで活動を再開した。

2012年5月に『This Is PiL』を発表。20年間リリースが無かったことについて「自分の意志でそうしたわけではない」「レコード会社との契約が邪魔して取りかかれなかった。待ってタイミングを計るしかなかったんだ」と発言している[3]

ディスコグラフィ

1.THEME 2.RELIGION I 3.RELIGION II 4.ANNALISA 5.PUBLIC IMAGE 6.LOW LIFE 7.ATTACK 8.FODDERSTOMPF
ピストルズ時代のR&Rを拒絶したジャーマンロック的なサウンド。ライドンのヴォーカルスタイルも高くいななくようなものに変わっている。
1.ALBATROSS 2.MEMORIES 3.SWAN LAKE 4.POPTONES 5.CAREERING 6.NO BIRDS DO SING 7.GRAVEYARD 8.THE SUIT 9.BAD BABY 10.SOCIALIST 11.CHANT 12.RADIO 4
45回転LP3枚組が、文字通り金属製のボックスに入った形で発売されたアルバム(映画のフィルムケース、あるいは地雷にも似た円盤状のボックス)。ジャー・ウォブルの地を這うようなベースと、キース・レヴィンのギター、ライドンの声が絡み合う。
  • Second Edition, 1980
『Metal Box』に追加曲を組み込んで通常の33回転LPとしたレギュラー・バージョン。
1.THEME 2.CHANT 3.CAREERING 4.BAD BABY 5.LOW LIFE 6.ATTACK 7.POPTONES
パリ公演。観客に向かい、"Shut up!" と冷たく言い放つライドン。初期PILの貴重な記録。
1.FOUR ENCLOSED WALLS 2.TRACK 8 3.PHENAGEN 4.FLOWERS OF RMANCE 5.UNDER THE HOUSE 6.HYMIES HIM 7.BANGING THE DOOR 8.GO BACK 9.FRANCIS MASSACRE
ベースレス編成になったことで民族音楽に接近、呪術的なドラムサウンド。
1.ANNALISA 2.RELIGION 3.LOW LIFE 4.SOLITAIRE 5.FLOWERS OF ROMANCE 6.THIS IS NOT A LOVE SONG 7.DEATH DISCO 8.BAD LIFE 9.BANGING THE DOOR 10.UNDER THE HOUSE
初来日公演を記録したライブ盤。45回転LP2枚組でリリースされた。セッションミュージシャンを起用した演奏は評判が悪かったが、アルバムとしてはヒットした。
1.BAD LIFE 2.THIS IS NOT A LOVE SONG 3.SOLITAIRE 4.TIE ME TO THE LENGTH OF THAT 5.THE PARDON 6.WHERE ARE YOU 7.1981 8.THE ORDER OF DEATH
『コマーシャル・ゾーン』の曲の再演では大胆にディスコサウンドを取り入れた。
1.FFF 2.RISE 3.FISHING 4.ROUND 5.BAGS 6.HOME 7.EASE
ビル・ラズウェルがプロデュースしたハードなサウンド。坂本龍一スティーヴ・ヴァイジンジャー・ベイカーが参加。
1.SEATTLE 2.RULES AND REGULATIONS 3.THE BODY 4.SAVE ME 5.HARD TIMES 6.OPEN AND REVOLVING 7.ANGRY 8.FAT CHANCE HOTEL 9.SAVE ME
マガジンポップ・グループなどの元メンバーが集まったバンド編成となる。サウンド的にはポップ路線。
  • 9, 1989
1.HAPPY 2.DISAPPOINTED 3.WARRIOR 4.U.S.L.S. 1 5.SAND CASTLES IN HE SNOW 6.WORRY 7.BRAVE NEW WORLD 8.LIKE THAT 9.SAME OLD STORY 10.ARMADA
前作を引き継いだポップ路線の第2弾。ペット・ショップ・ボーイズニュー・オーダー等のプロデューサーとして知られるステファン・ヘイグがプロデュース。
1.PUBLIC IMAGE 2.DEATH DISCO(7" Mix) 3.MEMORIES 4.CAREERING 5.FLOWERS OF ROMANCE 6.THIS IS NOT A LOVE SONG(LP Version) 7.RISE(Bob Clearmountain Remix) 8.HOME 9.SEATTLE 10.THE BODY(UK 12" Remix) 11.RULES AND REGULATIONS 12.DISAPPOINTED(12" Mix) 13.WARRIOR(Dave Dorrell Remix) 14.DON'T ASK ME
初のベスト盤。内容はレヴィン脱退後である後期の曲が中心。
1.ACID DROPS 2.LUCKS UP 3.CRUEL 4.GOD 5.COVERD 6.LOVE HOPE 7.UNFAIRGROUND 8.THINK TANK 9.EMPEROR 10.GOOD THINGS
一部メンバーが入れ替わったポップ路線の第3弾。ピストルズの曲をサンプリングに使っている。
  • Plastic Box (box set), 1999
全シングルのAB面と代表曲を集めたボックスセット。
  • Public Image/Second Edition (two-in-one), 2003
  • Public Image/Second Edition (3LP再発), 2006

脚注

  1. ヴァージン・レコードリチャード・ブランソン社長も同行していたという。
  2. 渋谷陽一がこのアルバムをラジオ番組で紹介した際、「来日したときジョン・ライドンに和太鼓のレコードをプレゼントした。かれはそれを興味深く聴いていたそうで、その影響が感じられる」と語っている。
  3. PILが20年ぶり新作をリリース! ジョン・ライドン「オーディション番組は音楽をバカにしてる」@niftyミュージック 2012年5月30日

外部リンク

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