ハンドヘルドコンピュータ
ハンドヘルドコンピュータ(Handheld Computer)とは、持ち運べる程度の小型サイズの「携帯情報端末」のこと。通常は、フルキーボードを備えながらもノートパソコンより小さいものや、キーボードがなく縦長の手帳型をしたもの(「パームサイズコンピュータ」)を指す。場合によっては、ノートパソコン、ポケットコンピュータなど形状を問わず、携帯型のコンピュータ全般を指すが、近年ではこの用法が使用される事はほぼ無くなった。この用法については広義のモバイルを参照。
PDAという単語が普及・定着する以前によく使用されたが、日本では次第に使用されなくなっていった。米国ではまだ比較的使用される用語である。
歴史
1981年、Osborne 1が発売された。持ち運び可能な世界初のコンピュータだが、重さが12kgもあり、バッテリー駆動ではなかった。
1982年、エプソンがハンドヘルドコンピュータHC-20を発売。これが世界初のA4サイズのハンドヘルドコンピュータである。キーボードと液晶ディスプレイ、プリンタ、RS-232Cポートを備えていた。
ハンドヘルドコンピュータ市場を作ったと言えるのは、タンディラジオシャックから1983年に発売された TRS-80 model 100 である。この機種の成功により、各社がこぞってハンドヘルドコンピュータの市場に参入した。しかし、あくまでもニッチな市場であり、当時のマイクロプロセッサで可能なことも限られていたため広く普及したとは言えない。
これら先駆者は「手のひらサイズ」とは言えないもので、むしろラップトップパソコンやノートパソコンにつながるものと考えるべきである。
もうひとつの流れとして、電卓から進化したポケットコンピュータの系統がある。
ハンドヘルドPC
ハンドヘルドPC (Handheld PC) はマイクロソフトの用語であり、ノートPCやラップトップPCより小さいコンピュータを指す。マイクロソフトが定義するハンドヘルドPCは、サイズだけでなく、OSとして"Windows CE"が動作することが絶対条件である。
マイクロソフトの定義するハンドヘルドPCの条件は以下の通り。
- マイクロソフトのWindows CE (Handheld PC Platform Release) が搭載されている
- OEM Platform Releaseとしてアプリケーションをバンドルできる
- ROMを使用
- 640×240 - 640×480あるいはそれ以上の画面解像度のディスプレイを持つ
- キーボードを装備
- CFスロットを装備
- PCMCIAスロットを装備
- 赤外線通信ポート(IrDA)を装備
- シリアルかUSBポートを装備
ほとんどのものは、簡易webブラウザ、メールソフトを搭載し、 パソコン用の文書制作および表計算ソフトで生成されるものと同じファイル形式を扱えるソフトを 搭載しているものも多い。横長のモノクロまたはカラーの液晶が搭載されている。 一般にはマイクロソフトの定義に従っていない同等品もハンドヘルドPCと呼ばれることがある。
機種としてはNECの「モバイルギア」、シャープの「テリオス」、日本ビクターの「インターリンク」、日立製作所の「ペルソナ」、ヒューレット・パッカードの「ジョルナダ」、NTTドコモが販売する「シグマリオン」(製造はNEC)などが代表格だが、いずれも生産終了している。