ハネジネズミ

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ハネジネズミ跳地鼠)は、脊椎動物門 哺乳綱の1グループ、ハネジネズミ科に属する動物の総称。

ハネジネズミ科は、以前は食虫目(のちに食虫目がモグラ目と呼ばれるようになる以前)に分類されていたが、最近の分類では、独立した目とされることが多い。現生は1目1科。目名は、学名の直訳は長脚目長脚類)だが、ハネジネズミ目とも呼ばれる。

長く伸びた鼻と大きな目、跳躍に適した長い後肢をもつ、ネズミに似た昆虫食の動物である。英語ではその長い鼻から Elephant-shrew (ゾウ-トガリネズミ)と呼ばれる。また、一部の学者は系統が遠い事が判明したトガリネズミとの混同を避け、センギ (sengi) と呼んでいる[1]

ハネジネズミ目には、現生では1科4属15種のみが属する。東アフリカから南アフリカにかけてと、北アフリカのアルジェリアモロッコに生息している。主にサバンナと藪地で生活しており、どの種も体長は10cmから30cm、体重は50gから500gほどの小型の動物である。体長と比べて長い足をもち、いずれも四足歩行をする。鼻の長さは種によってさまざまで、食物を探すためにいろいろな方向に曲げることができる。通常は昆虫など小さな虫を食料としており、甲虫クモミミズアリシロアリなどを地面に落ちた葉の中から探して捕食する。果実や緑の木の食料とすることもある。テングハネジネズミ種は、バンディクートのように地面に穴を掘る。

生息地域

南アフリカの幅広い地域に生息しており、ナミブ砂漠の巨石が地面にむき出しになっている地域から、南アフリカの森林地帯まで、どのような環境でも見ることができる。キタアフリカハネジネズミの1種のみが、アフリカ北西部の乾燥地帯山岳部に生息している。

ほとんどは昼行性だが、活発に活動するため観察するのは難しく、通常見ることはほとんどない。注意深く、擬態が巧みで、素早く移動することで危険を避ける。いくつかの種は茂みの中に一連の道を造り、一生をその道の中だけで過ごすものもある。また、何かあったときには、この通路を逃げ道として使用する。

分類の歴史

このグループの起源については、ほとんどはっきりとした情報がなく、系統関係がはっきりしなかったために、ハネジネズミ類はさまざまに分類されてきた。食虫目(のちのモグラ目)のハリネズミ科に分類されたり、トガリネズミの一種と考えられたり、ウサギ目として分類されていたこともあった。比較的最近まで、モグラ目に分類されていた。の個体が妊娠しないと出血による月経が起こること、モグラ目の他の動物に比べて視覚がやや発達していることで、その中でも霊長目(のちのサル目)につながる動物ではないかと思われたこともあった。

しかし、最近になって、ハネジネズミはひとつの目として認識されるようになり、さらに分子系統学的な研究から、アフリカ獣上目という分類群に位置づけられるようになった。同じアフリカ獣類の仲間としては、ハイラックスカイギュウテンレックキンモグラツチブタ、そしてゾウが挙げられる。

ハネジネズミ目の最も古い化石は5,000万年ほど昔、始新世の初めごろのものが知られている。漸進世には化石記録がないが、中新世になってやや繁栄し、6つの亜科に分かれ、小型化しつつ、トガリネズミのように昆虫食と幅広い草食の動物となった。更新世に入り、2科が絶滅している。絶滅した属としては、ミロミガーレ (Mylomygale) などが挙げられる。

ハネジネズミ目の分類

脚注・出典

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  1. リチャード・ドーキンズ 著、垂水雄二 訳 『祖先の物語(上)』 320頁