ナノアーキオータ門
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ナノアーキオータ門(もん、Nanoarchaeota、ナノ古細菌)とは、2002年に提唱された古細菌の門である。同年発見されたNanoarchaeum equitansの16S rRNAの遺伝子配列が、ユーリ古細菌、クレン古細菌、コル古細菌いずれとも大きく異なっていたことを受け提唱された。
N. equitansは、古細菌Ignicoccus hospitalisに共生する非常に小さな生物で、アイスランドのコルベインセイ海嶺より発見された。Ignicoccusは細胞壁をもたない古細菌であり、巨大なペリプラズマやその内部の小嚢など特殊な構造を持つことから共生が成り立つと考えられたが、一方で、2013年に報告されたイエローストーンのナノ古細菌Nanobsidianus stetteri Nst1は、Acd1と呼ばれるスルフォロブス目古細菌と関連する(イエローストーンからはIgnicoccusの配列が検出されていない)。Acd1のゲノムはやや小型なことを除けば、ほぼ典型的なスルフォロブス目古細菌である。細胞壁の遺伝子も保有している[1]。その他にもカムチャッカ半島などからも類似のrRNA配列が検出されている。
これまでに蓄積されたゲノム情報から、ナノ古細菌はARMAN(=パルウ古細菌。細胞壁のない古細菌Ferroplasmaに寄生?)と系統的に近いとされ、共にDPANN上門に属すとも、テルモコックス目に近縁[2]ともされる(後者の場合ユリアーキオータ門に含まれることを意味する)。
参考文献
- ↑ Podar, M., Makarova, K. S., Graham, D. E., Wolf, Y. I., Koonin, E. V., Reysenbach, A. L. (2013). Insights into archaeal evolution and symbiosis from the genomes of a nanoarchaeon and its inferred crenarchaeal host from Obsidian Pool, Yellowstone National Park. Biol. Direct 8:9
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