ドナウエッシンゲン音楽祭

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テンプレート:Portal クラシック音楽 ドナウエッシンゲン音楽祭:Donaueschinger Musiktage、直訳は「ドナウエッシンゲンの音楽の日々」)は、南ドイツの人口2万人余りの小さな町ドナウエッシンゲンで開催される、世界初の初演作品のみの現代音楽祭であったが最近では重要な作品は再演も顧慮されている。

歴史

戦前の1921年から開催され、今もなお世界の若い前衛作曲家の登竜門として、デビュー、ならびに音楽家の発掘の場として注目されている。毎年ライブを録音したCDなどが発売され、現地に足を運べないファンからも支持されている。現在SWR南西ドイツ放送が主催。他に現地のビール会社フュルステンベルクが費用の半分を負担し共催している。現在の総監督はSWRのアーミン・ケーラーでドレスデントロンボーンを専攻した経歴を持つ。

初期には新ウィーン楽派パウル・ヒンデミットイゴール・ストラヴィンスキーダリユス・ミヨーオリヴィエ・メシアンジョン・ケージらがここで新作を初演している。

1950年より南西ドイツ放送(現在の統合したSWRではなく、その前身であるSWF)との連携で開催されるようになり、放送局の持つ南西ドイツ放送交響楽団が常時参加するようになる。

近年では、決して斬新な作曲家の登竜門になっていない点、作曲家や演奏家の人選の偏向など、問題点も山積しており、例年開催から隔年へと切り替えることも提唱されているが、ドイツ銀行などの資金援助によって一応棚上げされた。それにもかかわらず、すぐれた新作の発表の場としての意義は今なお失われてはいない。また最近は3日間の全部の音楽をSWRのFMで生放送されている。

会場

ドナウエッシンゲン市内の複数の場所で行われているが、いずれも徒歩で移動可能の範囲である。主要な会場はドナウハレと呼ばれる町で一番大きなホールであり、これは音楽用に設計されたドナウハレAと、多目的な舞台設置が可能であるドナウハレBの二つのホールを持つ。ドナウハレBで上演される場合は、舞台要素を含む作品が多い。二つのホールを繋ぐ別室では、期間中に各楽譜出版社やCDの見本市も開かれていて展示即売し、昨日や今夜初演する曲のスコアも自由に見ることができるシステムでは世界最大である。

バール体育館は、音響面では期待できないものの、体育館の長方形配置を活かした空間配置による多群のオーケストラ作品の上演が多い。この他、高校の体育館では主に室内楽や電子音楽のミクストピース作品、また電子音楽のみの作品の上映には町内の映画館や教会なども用いられている。

古い邸宅を元にした図書館では毎年インスタレーション作品の上演(または展示)も行われている。年によっては有名な観光名所であるドナウの泉(ドナウ川の源泉とされる泉)もインスタレーションに使われることがあり、近年では2003年ゲオルク・ヌスバウマーのインスタレーションが展示された。

2003年より新設の中規模ホールが新たに加わり、ヴァディム・カラシコフの作品が杮落としに演奏された。その歴史の古さから最近の音楽祭のチケットはバイロイト音楽祭のように売れ切れ状態となり、一般聴衆は早くからの申し込みが求められる。

外部リンク