トム・クランシー
テンプレート:Infobox 作家 トーマス・レオ・クランシー・ジュニア(Thomas Leo Clancy, Jr., 1947年4月12日 - 2013年10月1日)は、アメリカの小説家。軍事や諜報活動を扱うテクノスリラー小説を数多く執筆し、また自身の名を冠したテレビゲームの監修も務めた。
目次
概要
メリーランド州ボルチモア生まれ。ボルチモアで保険代理店を営みながら、余暇に書いたデビュー小説『レッド・オクトーバーを追え!』がベストセラーになり、後の軍事シミュレーション小説の先駆けとなる。本作はアメリカの政府関係者が絶賛、映画化もされ、一躍流行作家の仲間入りを果たした。綿密な取材を積み重ねての近未来の政治サスペンス、娯楽アクション大作を得意とする。
シミュレーションゲーム(いわゆるコンピュータゲームではなく、数百のコマを実際に使用して、綿密なシミュレートを行うタイプの複雑なボードゲーム)が趣味であり、自著『レッド・ストームライジング』では、実際に筆者がプレイした際の展開が小説執筆のベースにもなっている。
著書では、元株式ブローカーで軍事史家である中央情報局(CIA)分析官、ジャック・ライアンを主人公とした『ジャック・ライアン』シリーズが代表作。ほかに『国際陰謀』シリーズ、『オプ・センター』(スティーブ・ピチェニックとの共著)などのシリーズがあり、いずれもヒットしている。作品にはレーガン共和党色(ウィルソン的国際干渉)が強いといわれる。彼自身、軍隊経験はないが、精緻な取材により得た情報に基づいてアメリカ軍人の典型を、勇気、愛国心、友情などの主題により描き出す一連の作品を発表している。『日米開戦』では、日本人機長による旅客機を使ったアメリカ合衆国議会議事堂に対する自爆攻撃(=特攻)が描かれており、旅客機を使用した自爆テロの描写は、9.11事件の際その類似性がニュースなどで話題に上がった。
また、1996年にゲーム会社『Red Storm Entertainment』社を設立。同社の2作目のゲーム『Tom Clancy's Rainbow Six』は、タクティカルFPSとして大成功を収める。Red Storm Entertainment社は2000年8月にUbisoftに買収され、以後Ubisoft社から『Tom Clancy's』の名前を冠したゲームが発売され続けている[1]。
2013年10月1日、ボルチモアの病院で死去[2]。66歳だった。
主な著作
ジャック・ライアンシリーズ
- 最新鋭のソ連原子力潜水艦「レッド・オクトーバー」がアメリカへの亡命を希望。ソ連に亡命を悟らせずにいかにレッド・オクトーバーを手に入れるか。なお、この作品は1990年に映画化されている。
- 愛国者のゲーム(Patriot Games, 1987)
- イギリスで休暇中のジャック・ライアンが偶然テロリストによるイギリス皇太子襲撃を阻止。テロリストはアメリカでライアン一家の襲撃を計画する。時代設定は『レッド・オクトーバーを追え』よりも前。『パトリオット・ゲーム』の邦題で1992年に映画化。
- クレムリンの枢機卿(Cardinal of the Kremlin, 1988)
- ソ連の高官に潜むスパイ「枢機卿」が危機にさらされる。ソ連国内の枢機卿救出にライアンが乗り出す。
- 恐怖の総和(The Sum of All Fears, 1991)
- 歴史的な中東和平に反発するテロリストがアメリカで核テロを実行。疑惑が疑惑を呼びソ連と全面戦争の危機に。邦題『トータル・フィアーズ』で2002年に映画化。
- 容赦なく(Without Remorse, 1993)
- 愛する少女のために麻薬組織に単身対決を挑むジョン・ケリー。ジャック・ライアン幼少期、ベトナム戦争時代の物語。2011年の映画公開を予定。
- 日米開戦(Debt of Honor, 1994)
- 日本の関税と同率にアメリカの関税を定める貿易改革法が成立。危機に陥った日本の経済的支配者がアメリカに対して戦争を仕掛けた。ジャンボジェット機を議会議事堂に突入させる描写が、9.11テロ後話題になった。
- 合衆国崩壊(Executive Orders, 1996)
- レインボー・シックス(Rainbow Six, 1996)
- 冷戦後の国際テロに対して、極秘に多国籍組織レインボーが設立される。偶然とは言えないほど頻発するテロ。その背後にあるのは。『クレムリンの枢機卿』で初登場したジョン・クラークが主人公。
- 大戦勃発(The Bear and the Dragon, 2000)
- バチカン大使が中国警察官に殺害され、反発による不買運動で中国経済が危機に陥る。これに対し中国は、シベリアの資源を狙い、ロシア大統領暗殺とシベリア侵攻を目論む。
- 教皇暗殺(Red Rabbit, 2002)
- ソ連の影響下のポーランドで反政府運動が活発化する。ポーランド出身のローマ教皇は共感を覚え、教皇を辞職して支援に向かおうと考えるが、それを知ったソ連は教皇の暗殺を計画する。実際に起こった1981年のローマ教皇暗殺未遂事件が舞台。『愛国者のゲーム』から半年が経過している。なおベン・アフレック主演の『新ジャック・ライアンシリーズ』の映画化のために書き起こされた小説(トム・クランシー自身が『トータル・フィアーズ』DVDコメンタリー内で執筆中を示唆)であるが、モデルとなった教皇暗殺未遂事件のヨハネ・パウロ2世が2005年4月に死去したため映画化が頓挫した形となっている。
- 国際テロ(The Teeth of the Tiger, 2005)
- 大統領を辞したジャック・ライアンが新たな諜報機関を極秘裏に設立。ジャック・ジュニアなどが組織に参加、テロリストと対峙する。
- デッド・オア・アライヴ ("Dead or Alive, 2007)
- イスラム・テロ組織の首謀者アミールは、時間差頻発テロを目論み、アメリカに潜入する。アミールの目論見を阻止するために、ジャック・ジュニアやクラークが所属する組織ザ・キャンパスが彼の影を追う。その最中、ジャック・シニアは大統領選挙に出馬することを決意する。
- アミールの捕獲から1年、ジャック・シニアは厳しい選挙戦に身を投じていた。一方で新たなテロの脅威と対峙するザ・キャンパス。メンバーが各々活動する中、ジャック・シニアの盟友、ジョン・クラークに魔の手が忍び寄る。
- 米中開戦 (Threat Vector, 2012)
- (Command Authority,2013)
ネットフォースシリーズ(Net Force)
オプ・センターシリーズ(Tom Clancy's OP CENTER)
- ノドン強奪
- ソ連帝国再建(Mirror Image)
- 欧米掃滅(Games of State)
- 流血国家(Acts of War)
- 自爆政権(Balance of Power)
- 国連制圧(State of Siege)
- 油田爆破(Divide and Conquer)
- 起爆国境(Line of Control)
- 聖戦の獅子(Mission of Honor)
- 被曝海域(Sea of Fire)
- 叛逆指令(Call to Treason)
- 最終謀略(War Of Eagles)
<剣>シリーズ
- 千年紀の墓標(Power Plays: Politika, 1997)
- 南シナ海緊急出撃(Power Plays: Ruthless.Com, 1998)
- 謀略のパルス(Power Plays: Shadow Watch, 1999)
- 細菌テロを討て!(Power Plays: Bio-Strike, 2000)
- 死の極寒戦線(Power Plays: Cold War, 2001)
- 謀殺プログラム(Power Plays: Cutting Edge, 2002)
- 殺戮兵器を追え(Power Plays: Zero Hour, 2003)
- 石油密輸ルート(Power Plays: Wild Card, 2004)
その他
- レッド・ストーム作戦発動(ライジング)(Red Storm Rising, 1986)
- 国内の油田を破壊されエネルギー不足に陥ったソ連が中東に侵攻することを決意。NATOを牽制するためにアイスランド、西ドイツに侵攻する。この作品に『ジャック・ライアン・シリーズ』とのつながりはない(いわゆる仮想戦記もの)。
- テロリストの回廊(Against All Enemies, 2011)ピーター・テレップ共著
出典
関連項目
- ジャック・ライアン
- レッド・オクトーバーを追え!
- トータル・フィアーズ
- サム・フィッシャー
- ユービーアイソフト(トム・クランシー原作のゲームを多数発売)
外部リンク
テンプレート:トム・クランシー- ↑ Access Accepted第397回:トム・クランシー氏がゲーム業界に残した足跡
- ↑ 米人気作家のトム・クランシー氏死去 社会新聞 2013年10月2日閲覧