ストロマトライト
ストロマトライト(テンプレート:Lang-en-short[1])は、藍藻(シアノバクテリア)類の死骸と泥粒などによって作られる層状の構造をもつ岩石のことである。特に、内部の断面が層状になっているものを指す。
概要
ストロマトライトは藍藻類と堆積物が何層にも積み重なって形成される。
この繰り返しで、ストロマトライトは徐々にドーム型に成長していく。成長速度は非常に遅く、1年に数mm程度しか成長しない。なお、ストロマトライトの断面にある縞模様から、当時の一日の長さが推測できる。
分布
化石となったストロマトライトは、世界各地で発見されるが、現生のものはオーストラリア・シャーク湾(ハメリンプール)やテンプレート:仮リンクなど、ごくわずかな水域のみで発見される。
藍藻類は原始的な細菌で、過酷な環境でも生息できる。ストロマトライトは、海水域・淡水域の両方、地球上のあらゆるところにあった。また、最古のものは約35億年前といわれたが、これは今では否定されている。確かなストロマトライトでもっとも古いものは約27億年前のものである。
先カンブリア時代には世界各地に存在し、地球に大量の酸素を提供したとされる。しかし、先カンブリア時代末期(6億 - 8億年前)に、その数は大きく減少した。理由としては、ストロマトライトを餌にする生物が出現したためと考えられている。
ストロマトライトが現生するオーストラリアのシャーク湾やメキシコのテンプレート:仮リンクは、砂漠に囲まれた閉鎖的な海域である。水の蒸発が激しく、潮流が緩いため、外海の海水よりも塩分濃度が高い区域が存在し、その海岸部にストロマトライトが並んでいる。塩分濃度が高いため、藍藻類の捕食者となる貝類や甲殻類のみならず、他の生物もほとんど生息できない。よって、ストロマトライトは現在まで残り、成長を続けている。
研究
古くからこの岩石の存在は知られていたが、1883年にJ. ホールがそれを「クリプトゾーン(Cryptozoon)」と名付けた。しかし当時は、これらが生物によりつくられたものかどうかは不明だった。その後、似たような構造は「エオゾーン」や「コレニア」と呼ばれた。
1908年には、E. カルコウスキー (Kalkowsky) が縞状炭酸塩岩を、ギリシア語の stroma (bed cover)と lith (rock) から「ストロマトライト」と名付けた。19世紀後半から20世紀初頭にかけて、このような縞状の岩石が様々な呼び方で呼ばれたが、カルコウスキーはそれらをまとめてストロマトライトと呼ぶようにした。この頃、これらの岩石は藍藻類によって形成された化石だと言う学者も現れたが、ストロマトライトは淡水域・海水域の両方で形成されたとは考えられていなかった。
1960年ごろになると、オーストラリア西海岸のシャーク・ベイの内湾ハメリーンプール海岸で、現生のストロマトライトが発見された。その場所は砂地の浅瀬で、その表面は真っ黒色であるが、頂部だけがオレンジ色に変色し岩石質である。この黒い着色物の詳しい検査によりシアノバクテリアであることが明確になった。[2]。
だがこの発見は、現生ストロマトライトと化石ストロマトライトを区分するかどうかということで、ストロマトライトについての定義をあいまいなものにした。その後、ストロマトライトについての研究は大きく前進し、多くの研究成果が出た。しかし、ストロマトライトについては未解明な部分もあり、今後それについての解釈が変わる可能性も否定できない。