スケートボード
スケートボード(Skateboard)とは、一枚の板に車輪が付いた乗り物(運動用具)。単にスケート(Skate)と呼ばれる他、日本ではスケボーと略して呼ばれることもある。
スケートボードに乗ることはスケートボーディング(en:Skateboarding)。日本の愛好者間では「滑る」とも呼ぶ。スケートボードに乗る人間はスケートボーダー(Skateboarder)またはスケーター(Skater)[1]。
目次
概要
通常は四つの車輪を持つ一枚の板に足を固定せずに立って乗る。全長31インチ(約78cm)程度のものが一般的。
日本でのプロ認定や各種競技会は日本スケートボード協会(AJSA)が行なっているが、フラットランドに関しては日本フラットランドスケートボード協会(JFSA)が執り行っている。
スケートボーディングの種類
- ストリート(Street)/ パーク(Park)
- ストリート(街中)に存在する斜面、縁石、手摺り等を技に利用する事から発展し、それらと同様の構造物を設置したスケートパークも作られる様になった。
- フリースタイル(Freestyle)/ フラットランド(Flatland)
- ボードに逆立ちする、ボードを横に倒して乗る、ボードを立てて乗るといった様々な技をフラットランド(平地)のみで行う。
- バーチカル(Vertical)/ バート(Vert)
- 大型のハーフパイプ(バーチカルランプ)でジャンプ等を行う。
- スラローム(Slalom)
- 一列に並べたパイロンを潜り抜けながら進んで行く。
- Josh Blackwell (614350537).jpg
ストリート
- Melon sad.jpg
パーク
- Steveinzero.JPG
フラット
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バート
- Slalom.jpg
スラローム
歴史
用語については#スケートボード用語と#主なスケートボードトリックを。
スケートボーダーについてはプロスケートボーダー一覧を参照。
1960年代(第一世代)
ローラースケートを流用した木製四輪キックスクーターからハンドルを取ったものが原型と言われている[2]。その後カリフォルニアのサーファーが水を抜いたすり鉢状のプールで乗り始めた事から流行が本格化する。当時は「サイドウォークサーフボード」「ロックライダー」などと呼ばれていた。ウィール(車輪)の材質はゴム、鉄、プラスチック、粘土など。
1970年代(第二世代)
それまでの単なるサーフィンの練習用のものから、グラスファイバーを使ったスラローム向けの小さめ(幅約15cm)の板と、合板を使ったランプ向けの大きめ(幅約25cm程)の板に分派した。ウィールはポリウレタンが一般化する。
プレイスタイルとしては、ボウルやハーフパイプを備えたスケートパークが建設され、様々な技が生み出される。パーク以外でもフラットランドスケートボーディングが発達する。1978年にはアラン・ゲレファンドがランプ(斜面)で手を使わずにボードを浮かせる技「ノーハンドエアリアル」を開発する。この技は彼のニックネームである「オーリー(Ollie)」の名で広まった。
またこの時代より、大きめの板の「裏側」に着目して飲料水メーカーなどのグラフィックが描かれる様になる。この裏面のグラフィックアートが、その世代の流行を反映しながら今日まで続いている。
有名なところではZ-Boysが世間に名を知らしめた時代である。
1980年代(第三世代)
トニー・ホークやクリスチャン・ホソイがバートランプで名を馳せた。 また、フラットランドで活躍したロドニー・ミューレンが平地でのオーリーを開発し、ストリートスタイルの発展に大きく貢献する。この頃から優秀なスケーターにはスポンサーがつき、シグネチャ・モデルのスケートボードが登場する。また、バスケットシューズを発展させたスケートボード専用シューズが登場する。
この時代にはロックミュージックの一つスラッシュメタルが「スケートロック」とも呼ばれてスケーターに支持され、スケートボード裏面にはレコードジャケットのようなグラフィックが主に用いられた。
- ボード
- 材質は楓の合板が一般化する。デッキ(表面)の縦にコンケーブ(凹み)、更に滑り止めとして、前足部及び後ろ足部に荒い紙やすり状のグリップテープが張られ、デッキ裏にはスライドをし易くする為のレールガードが付けられた。テール部にも角度(キックテール)がつけられた。また1970年代からもあった小技だが、オーリーの成功率をより高く、高さもより飛べるようにつま先を引っ掛ける為のU字型の簡易ドアノブをノーズに付けるのが流行した。
- 競技
- 環境
- 1970年代から活発な活動をしていたZ-BOYSのトニー・アルバが設立した「アルバスケーツ」を筆頭に、スケートボードの宣伝が各社により活発になった。また本格的にスケートボードウェアーを開発するメーカーも現れた。「THRASHER」をはじめとするスケートボード専門誌が設立され、世界的にも広く普及し始めた。
1990年代(第四世代)
ヒールフリップ・スライド・マニュアルなどのプレイスタイルを主体とし、文字どおり街頭の建造物を使用したストリートスタイルが発展する。デッキ裏面には時代の流行音楽を反映し、ハードコアパンクやオルタナティブロック、ヒップホップ調のグラフィックがあしらわれた。また、有名企業の商標をパロディしたものも流行した。
- ボード
- デッキの寸法は(幅187.5×縦800mm (7.5"×32") )程に収斂されて行く。ボードを水平回転させるトリックが発達したため、どちらが前後になっても問題ないようにノーズとテールは同じ形になり、トリックの成功率を上げるためコンケーブも強めになる。トリックの多様化でボード全面を使う為、デッキ表側全面にテープが貼られる。ウィールの直径は50~56mm。
- 逆にそういった主流からはずれ、サーファーやスノーボーダー向けに意図的なスライドやボードの傾斜を意識した特殊なボードも開発されてゆく(下記ギャラリー参照)。
- 40incheslongboard.JPG
ロングスケートボード(en:Longboard)。長さや形状は様々。
- Flowboard.jpg
フローボード(en:Flowboard)。深いバンクが可能。
- 競技・環境
- スケートボードの宣伝がさらに活発になり、ビデオマガジンが発売された。また、スケートボードやシューズのブランドがスポンサーとなり、プロスケートボーダー4~6名のチームによる活動を始めた。[4]
2000年代
従来のスケートボードはストリートスタイル普及の結果、街頭の建造物がスケートボーダーにより破壊される問題が発生し、街頭でのスケートボーディングが一部制限される。代わりにストリートセッション中心の公共スケートパークが増え、パークスケートボーディングが発展した。
主なスケートボードトリック
- プッシュ(Push)
- 地面を蹴って進む、一番の基本
- チックタック、チクタク(Tick tack)
- 前輪を左右交互に振って進む
- フェーキー(Fakie)
- 後ろ向きに進む
- マニュアル(Manual)
- 前輪を浮かせるウィリー走行。後輪だとノーズマニュアル
- ボンレス(Boneless)
- 片手でボードを掴みながら片足で地面を蹴って飛ぶ
- オーリー(Ollie)
- テールを蹴りながら人間がジャンプし、更にノーズも蹴ってボードを浮かせる
- キックフリップ(Kick flip)
- オーリーをしながら爪先でデッキを横に蹴って回す
- ヒールフリップ(Heel flip)
- オーリーをしながら踵でデッキを横に蹴って回す
- ハンドプラント(Hand plant)
- ボードに乗ったままランプや地面に片手を着いて逆立ちする
- スライド(Slide)
- デッキをセクションに当てて滑る技。ノーズスライド、ボードスライド、テールスライドなど
- グラインド(Grind)
- トラックをセクションに当てて滑る技。50-50グラインド、5-0グラインド、Kグラインド、ノーズグラインドなど。前方はボード、後ろはトラックを掛けてグラインドするトリックもある。体重とボードの掛け方でスミスとフィーブルに分けられる。
スケートボードでは背中側に曲がる(または技をかける対象物が胸側にある)事をフロントサイド(F/S)、腹側に曲がる(または技をかける対象物が背側にある)ことをバックサイド(B/S)と呼称する。回転時の呼称に関してはサーフィンと逆である。ただし、スケートボードの場合、ランページのコーピングなど、対象物の高い位置での動きは、サーフィンのリッピングと同じ名称動きとなる。従って、サーフィンのトップターンを基準にして名称が付けられたと考えるのが妥当である。
スケートボード用語
- ノーズ(Nose) - デッキ前方
- テール(Tail) - デッキ後方
- レギュラースタンス(Regular stance) - 左足が前になる乗り方。
- グーフィースタンス(Goofy stance) - 右足が前になる乗り方。
- スイッチ(Switch) - スタンスの変更
各パーツ
- デッキ(Deck) - 足場となる板。カエデ合板が使われる。
- トラック(Truck) - デッキとの固定部分から車軸までを一まとめにした部品。左右に傾ける事で進行方向が変わる。
- ウィール(Wheel) - 車輪。ポリウレタン製
- ベアリング(Bearing) - ウィール内にはめ込む回転部品。ボールベアリング
- グリップテープ(Grip tape) - デッキ上面に貼る紙やすり状のすべり止め。
- キングピン(Kingpin) - トラックのベースプレートとハンガーを固定するボルト。ナットの締め具合でトラックの動作量を調節する。
- ブッシュ(Bush) - キングピンで挟むエラストマー。硬さによってトラックの動作量が変わる。
- アクスル(Axle) - ウィールを通すシャフト。トラックのハンガーを当てる技名にも使われる。
- アクスルナット - 外側のベアリングを留める為のナット。
- ワッシャー- アクスルに通す円形状の部品。ナットとベアリングが直接触れないように両者の中間に入れる。ベアリングとスペーサーの間に入れることもある。
- スペーサー- ベアリング同士の間に入れる部品。アクセルナットの締めすぎによるベアリングの破壊を防ぐ。
- ビス - トラックをデッキに取り付ける際に使う部品。デッキの表面から差込、裏面でナットで留める。大別して六角タイプとプラスタイプがある。ボルトやハードウェアと呼ぶこともある。
- ハンガー トラックの上半分。
道路交通法律上の扱い
日本
テンプレート:Seealso 日本の法律上にスケートボードの定義は無いが、道路交通法で定められた禁止行為である「交通のひんぱんな道路において、球戯をし、ローラー・スケートをし、又はこれらに類する行為をすること」[5]が公道上でスケートボードを規制する根拠とされており[6]、実際に逮捕・検挙者も出ている[7][8]。
関連項目
- プロスケートボーダー一覧
- スケートパーク
- フィンガーボード (玩具) - スケートボードのミニチュア版。指で扱う。
- フィラデルフィア - JFKプラザ(en:LOVE Park)やフィラデルフィア美術館など有数のストリートスポットを抱え、東海岸のスケートボーディングのメッカとなっていたが、景観破壊が進んだ為にスケートボードが全面禁止となった。これにボーダーが反発し、石膏で出来た「スケートの石碑」を、街中のあらゆるスケートスポットに置くなどの行動に出たテンプレート:要出典。
- ストリートボード - 旧スネークボード。デッキを三分割したスケートボード
- フリーラインスケート - スネークボードの前後を分離し、ウィールを縦一列に並べたもの
- キャスターボード
- ロードコーン - オーリーの高さの指標として用いられる事が多い。立てた状態を飛べればオーリーをマスターしているといえる。
- スケート - スケートボードの略称。ただし、日本ではアイススケートを指す場合が多い。
- スケートサイクル - 2つの車輪が真ん中の軸で一個に繋がった手錠型スケートボード
脚注
- ↑ 年少のスケーターを指す「キッズスケーター」は和製英語。
- ↑ 映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」にそのパロディがあり、時代こそ1955年となっているが、舞台はスケートボーディング発祥の地カリフォルニアである。
- ↑ 特にカリフォルニアの一角には、ゴンザレスが特に攻め込んだ『ザ・ゴンズ』というポイントもあった。
- ↑ 具体的には「FLIP」「ALIEN」「DC SHOE」など。
- ↑ 道路交通法第76条4項3号
- ↑ 商店街を猛スピードで走るスケボー。どうしたらいいの? - Blue Ocean Lesson 教えて!中田先生 - TOKYO FM 80.0MHz - 中田光一知・望月理恵
- ↑ GATE スケートボード BLOG: 迷惑スケボー男を逮捕=駅前で乗り回し、苦情85件−大阪
- ↑ 繁華街でスケボー、4人検挙 道交法違反容疑 大阪 朝日新聞 2013年8月31日